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【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】週末7日に米2月雇用統計、ウクライナ情勢も警戒してリスク回避の動きを強める可能性も
■株式・為替相場展望(3~7日)
来週(3月3日~7日)の株式・為替相場は方向感に乏しく、先物主導で一時的にリスク回避の動きを強める可能性もあるだろう。6日には追加利下げ観測のあるECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、週末7日には米2月雇用統計を控えている。ウクライナ情勢の緊迫化や中国の金融不安も意識される。米国株は堅調だが、米主要経済指標には寒波の影響もあって強弱感が交錯しているだけに、安心感につながるかは微妙だ。
前週の株式市場は2月25日に大幅上昇して日経平均株価が1万5000円台を回復する場面があったものの、週間ベースでは日経平均株価が24円60銭(0.17%)の下落、TOPIXが10.65ポイント(0.87%)の下落となった。為替がやや円高方向に傾くだけで過敏に反応するなど、先物の仕掛け的な動きに振られる場面もあった。全体として方向感に乏しく売買代金もやや低水準となった。
外国為替市場のドル・円相場は、概ね1ドル=101円台後半~102円台前半のレンジで膠着感を強めた。米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に対する思惑が交錯して、米10年債利回りが小動きだった。ウクライナ情勢緊迫化や中国金融不安への警戒感で、リスク回避の円買いが強まる場面もあったが、株式市場は外国為替市場睨み、外国為替市場は株式市場睨みの展開が続いている。
前週末2月28日の米国市場では終盤にリスク回避の動きが強まり、株式市場は高安まちまちとなり、為替は1ドル=101円60銭台で終了した。3月1日発表の中国2月製造業PMI(国家統計局)が3カ月連続で前月を下回ったことや、ウクライナ情勢が緊迫度を増していることもあり、週初3月3日の日本市場ではリスク回避の動きを強める可能性がありそうだ。
その後は、米主要経済指標に対する米国株の反応を睨みながらの展開が基本だが、ウクライナ情勢の緊迫化、中国の金融不安への警戒感、そして6日のECB理事会での追加利下げ観測など、海外要因で為替は円高方向に傾く可能性があり、週末7日の米2月雇用統計を控えて、株式市場・外国為替市場とも先物主導で一時的にリスク回避の動きを強める可能性があるだろう。
国内要因としては、1月全国消費者物価指数を受けて日銀の早期追加金融緩和に対する期待感が一旦後退した。一方では4月からの消費増税まで1カ月を切り、景気への悪影響に対する警戒感は日増しに高まる。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に関しては、2月22日~25日の閣僚会合で大枠合意が見送られた。14年度予算案が2月28日に衆院を通過して年度内に成立することが確定したとはいえ、安倍晋三首相の熱意は集団的自衛権に向いたままであり、外国人投資家の日本株売りが継続する可能性もあるだろう。
需給面では裁定買い残の減少や高水準の空売り比率に加えて、外国人投資家の売り越し額がピークアウトしたとの見方もあるが、一方では個人投資家の信用買い残は高水準であり、3月期末に向けて機関投資家の益出しの売りも警戒される。
ただしチャート面で見ると日経平均株価、TOPIXともに2月28日まで4営業日連続で25日移動平均線を上回った。当面は25日移動平均線が下向きのため強気にはなれないが、下値支持線として意識され、上向きに転じるまで維持できれば安心感に繋がりそうだ。
株式市場での物色動向としては、消費増税の反動影響や追加金融緩和期待感後退の影響を受けにくいセクターや銘柄として、ゲーム関連、再生エネルギー関連、ロボット関連、公共投資関連などで日替わり物色の傾向が強まり、さらに3月期末が接近して高配当利回りの中小型株に対する配当権利取りの動きが注目され、新興市場ではIPO人気が刺激材料として注目されそうだ。
その他の注目スケジュールとしては、3月3日の日本10~12月法人企業統計、中国2月非製造業PMI(国家統計局)、米1月個人所得・消費支出、米1月建設支出、米2月自動車販売台数、米2月ISM製造業景気指数、4日の日本1月毎月勤労統計、日本2月マネタリーベース、豪中銀理事会、豪10~12月期GDP、中国2月サービス部門PMI(HSBC)、中国・全国人民代表大会(全人代)開幕、ユーロ圏10~12月期GDP改定値、米2月ADP全米雇用報告、米2月ISM非製造業景気指数、米地区連銀経済報告、米15年度予算教書、米上院銀行委員会でフィッシャーFRB副議長候補の指名公聴会、5日~6日の英中銀金融政策委員会、6日の独1月鉱工業受注、米1月製造業新規受注、7日の日本1月景気動向指数、独1月鉱工業生産、米1月貿易収支などがあるだろう。
その後は8日の中国2月貿易統計、9日の中国2月PPI・CPI、10日の日本10~12月期GDP2次速報、10日~11日の日銀金融政策決定会合、18日~19日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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