米量的緩和維持:市場のサプライズは読みの甘さ?焦点は「いつ縮小?」に逆戻り

2013年9月19日 09:43

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記事提供元:フィスコ


*09:43JST 米量的緩和維持:市場のサプライズは読みの甘さ?焦点は「いつ縮小?」に逆戻り
米連邦準備理事会(FRB)は日本時間19日未明、毎月850億ドルの資産購入プログラムを現状維持にとどめる方針を決定した。市場参加者は、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小の開始が決定されるのをほぼ確実視しており、据え置きの決定は相当なサプライズになったようだ。

縮小先送りについて、市場からは「経済見通しと政策の適切な道筋に関するコンセンサスが明らかに欠けていたことを反映している」(TDセキュリティーズ)などの意見が出ているが、当局のコミュニケーション不足を読み切れなかったこと、またコンセンサスを強化するほど縮小を後押しする強い経済指標が並んでいなかったことを市場参加者が軽視し、これが大方の予想と異なる結果になった可能性もある。

FRBは米長期金利の急上昇に対する警戒感を明らかにし、これが「経済と労働市場の改善ペースを鈍化させる可能性がある」と指摘。これについて、クレディ・アグリコルは「FRBが長期金利の操作をやめることに消極的であることを示唆」するもので、「利回りに対する当局の影響力が一段と低下しつつある」との見方を提示。さらに資産購入と利上げに向けたガイダンスの両方で確信のなさと予測可能性の欠如が示唆されたとも述べた。

FRBは資産購入規模の縮小に取り掛かる前に「情勢の改善が持続的なものになるという、さらなる根拠を待つ」と述べ、アグリコルの言う通り、現時点でFRBは確信がなく、予測可能性を高めることができないと判断したのかもしれない。一方、大部分の市場専門家がこうしたFRBの状況を予測できなかったことも問題なのではないか。

さて、市場の関心は「縮小規模がどれくらい?」から「いつ縮小が始まるの?」に逆戻りした。FOMC結果を受けて、来年まで現在の購入規模が維持されるとの見方がある一方、今年12月に開始されるとの予想がある。緩和縮小が10月に開始されるとの意見があるものの、同月のFOMCではバーナンキ議長の会見は予定されていない。とはいえ、バーナンキ議長は19日の記者会見で、「FOMCには予定外の記者会見の選択肢もある」と述べており、10月開始の選択肢も捨てきれない状況となった。《RS》

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