NYの視点:FOMC=QE縮小は予想外の見送り、声明は年内縮小を示唆

2013年9月19日 07:02

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記事提供元:フィスコ


*07:02JST NYの視点:FOMC=QE縮小は予想外の見送り、声明は年内縮小を示唆

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)において予想外に資産購入策の縮小を見送った。FRBが同時に発表した予測では、市場の予想通り2013年の国内総生産(GDP)見通しが引き下げられるなど、景気見通しが量的緩和第3弾(QE3)縮小を正当化しないとの見方。QE縮小に踏み切る前に、経済の回復が安定していることを確認する更なる証拠が必要だとした。フォワードガイダンスの変更はなかった。

FRBの予測で、メンバーは2015年に利上げに転じると見ているものの、その後2016年にかけた利上げは慎重なペースにとどまることを示唆している。

FOMC後に行われた会見でバーナンキ米FRB議長は、出口戦略のロードマップの中で度々繰り返していた「量的緩和第3弾(QE3)の終了は、失業率が7%まで低下したとき」との言及はしなかった。「年末までにQE縮小を開始する可能性はある」としながらも、資産購入の行方はあくまでも「景気見通し次第で、カレンダーにそうものではない」との方針を強調。5月時点よりも、タカ派姿勢が後退した。

この背景として、議長がロードマップを発表後、米国債券利回りがFRBが望む以上に上昇してしまったこと、新興諸国市場からの資本の流出が加速し、新興市場相場が急落したこと、また、過去に日本が量的緩和を時期尚早に解消、利上げに転じたため経済が再び落ち込んだ例を見て、緩和姿勢を維持する方針を決定したと見られている。

■声明のポイント

1.QE縮小が近いことを示唆
FRBは「MBS(住宅ローン担保証券)を各月400億ドル規模の購入を維持」「米国債の各月450億ドル規模の購入を維持」「資産購入に踏み切る前に景気や雇用状況の改善を確認する更なる証拠が必要」とした。しかし、声明ではQE縮小が近いことを示唆する文言も見られた。「the Committee will at its coming meetings assess whether incoming information continues to support the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective.委員会は今後の会合で、指標が雇用状況の改善やインフレが長期の目標に近づいているとの予想を支援するものかどうか見直す」前回までの声明「the Committee was prepared to "increase or reduce the pace of asset purchases委員会は資産購入のペースを拡大または縮小する用意がある」にとどまり、「今後の会合で」との文言はなかった。

2.フォワードガイダンス「政策金利は失業率が6.5%以下に低下、またはインフレが2.5%以上に上昇するまで異例な低水準を維持へ」に変更なし

ただ、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、「インフレの下限は賢明な目安になりうる」、労働参加者の低下から、「失業率は労働の完全な指標とならない可能性」を指摘した。

3経済活動の評価は若干引き下げ

経済活動の評価で、今回の声明では「いくつかの指標は労働市場の最近数ヶ月のさらなる改善を示すsome indicators of labor market conditions" have shown further improvement in recent months」前回の「"have risen further,"一段と改善した」からトーンが弱まった。さらに、「金融状況の逼迫が見られ、継続した場合、経済や雇用の改善に影響を与えるthe tightening of financial conditions observed in recent months, if sustained, could slow the pace of improvement in the economy and labor market"」と慎重な見方が追加された

4. FRB予測

2013年、2014年国内総生産(GDP)見通しは下方修正された

国内総生産(GDP):2013:2.0-2.3%(6月2.3-2.6%):2014年2.9-3.1%(3.0-3.5%):2015:3.0-3.5%(2.9-3.6%)

メンバーのFF予測では2014年末まで0.13%。2016年末までに1.81%まで上昇を予想している。しかし、長期の3.25-4.25%を大幅に下回る水準にとどまる。《KO》

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