コミュニケーション課題解決について

2012年2月8日 18:42

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■コミュニケーションに悩む企業が多い
 最近、色々なコンサルティング場面で企業のコミュニケーションの課題を聞く。上司と部下、部門間等コミュニケーションが取れない悩みが増えている。

■コミュニケーション不足の要因とは
 この要因はさまざまあると思うが、私は次の三つが主要因ではないかと思う。

 一つ目はITの進化である。従来は人と人がFACE TO FACEで話をしたり、議論をしていたが、パソコンのメールに始まり、情報システムを使った仕組み等により、話をする必要が少なくなった事が一つ目の要因と思う。コミュニケーションは本来、直接あって顔を見ながら話をする事、聞く事により図れると考える。

 二つ目は企業の経営の効率化により、社員旅行、運動会、親睦会等の自然にコミュニケーションが図れる「フォーマルな場」がなくなった事。

 三つ目は仕事が終わってから飲み会等みんなで仕事の愚痴を言い合ったり、組織を飛び越えて真剣に仕事の議論をするような「インフォーマルな場」がなくなった事が要因と考える。

■トヨタでは・・・
 トヨタは色々な「インフォーマルネットワーク」を作り、このコミュニケーションの問題を解決している。仕事が終わってからの食事会、会社の中の同期会、同じ大学の同窓会、役員と一般社員の話し合いの場、色々な課題解決の為の研究会等である。コインの裏表のように「フォーマルな場」と「インフォーマルな場」を設定し日々改善できる仕組みを作っている。

■コミュニケーションの課題解決には
 コミュニケーションの改善を図る仕掛けは企業の体質、状況により色々あると思うが、基本的にはFACE TO FACEで本音が議論できる「フォーマルな場」そして「インフォーマルな場」をいかに作るかが重要だと考える。

 特にこの「インフォーマルな場」は1980年代に盛んに行なわれたQCサークル活動(小集団活動)がこの原点だと思う。現場の課題を解決する為に自主的にチームを作り、日々改善する活動を実施していた。残念ながら最近はこの活動を実践する企業はほとんどなくなったが、この有効性を再度見直しても良いと思う。

 現在、さまざまなクライアント先のコミュニケーションの課題解決の支援をしている。あるクライアント先では部屋のパーテーションをとり、大部屋化して全員が話をしやすい環境づくり、そしてフォーマルなプロジェクト活動による業務改善、種々のインフォーマルなネットワーク作りによるコミュニケーション改善を推進している。また、自主的なQCサークル活動の仕掛けを依頼されている企業もある。

 今後「やらせ」ではない自主的、自立的な活動の仕掛けをいかに造るかを観点にコミュニケーション改善を図って行きたいと思う。

著者プロフィール

中山 幹男

中山 幹男(なかやま・みきお) 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役

大阪大学工学部機械学科卒業後、大手自動車メーカにおいて商品企画、設計・開発、品質管理、環境対策業務等に従事。その後大手コンサルティングファームの経営コンサルタントとして7年間勤務。
韓国の大手家電メーカを手始めに製造業を中心としたコンサルティングを実施する。1997年に「現場主義を貫き、行動的に活動して成果を出す経営コンサルティング」を目指し、A&Mコンサルトを設立し現在に至る。激変の環境変化の中で、企業の永続的な存続を前提に戦略構築、仕組改革、組織風土改革のトライアングル視点で企業の体質強化を図る。
会社URL  http://www.a-and-m.biz

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