一般社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会 新理事体制に関するご報告

プレスリリース発表元企業:一般社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会

島根県益田市の課題解決型スマートシティ、「ダブルトップ体制」で取り組み加速へ

日本は課題先進国である。世界に先駆けて少子化や高齢化が急ピッチに進行しており、それを原因とする医療費の増大や都市化、過疎化などの社会問題が顕在化している。加えて、地震や台風、水害などの自然災害が多く、これに対処することも喫緊の課題だ。
こうした数多ある課題を、ICT技術の活用で解決することを目的に、2016年にスタートしたのが島根県益田市でのスマートシティ・プロジェクトである。2018年10月には「一般社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会(MCSCC)」が設立されて取り組みが本格化し、現在では様々な実証実験が始まっている。
MCSCCは2020年4月1日に人事異動を発表し、豊崎禎久氏と橋本剛氏の2名が代表理事に就任することをアナウンスした。



スマートシティの業界団体である一般社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会(島根県益田市「MCSCC」)は、任期満了による又賀善茅代表理事の同日の協議会退任に伴い、社員総会の後に開催された理事会において2020年4月1日付で、以下の通り代表理事および理事と顧問を選任しました。

代表理事  豊崎 禎久(同日付で就任)
代表理事  橋本 剛 (同日付で就任)
専務理事  根本 隆之(同日付で就任)
理事    末松 謙一(同日付で就任)

なお、2020年4月1日時点の理事は、下記の通りです。

代表理事   豊崎 禎久 <新任>
代表理事   橋本 剛  <新任>
専務理事   根本 隆之 <新任>
理事     末松 謙一 <新任>

顧問     石川 智久 理学博士 <新任>
NPO法人 地方再興・個別化医療支援 理事長
一般社団法人ZENグローバルアカデミー ファウンダー
前理化学研究所(上級研究員・テーマリーダー)
元東京工業大学(教授)
元ファイザー社中央研究所(主任研究員・室長・部長)
元テキサス大学M.D.アンダーソン癌センター(助教授)
元ドイツ癌研究センター(プロジェクトリーダー)
元大阪大学医学部(助手)
元ドイツ・デュッセルドルフ大学医学部(博士研究員)


島根県益田市の課題解決型スマートシティ、「ダブルトップ体制」で取り組み加速へ
日本は課題先進国である。世界に先駆けて少子化や高齢化が急ピッチに進行しており、それを原因とする医療費の増大や都市化、過疎化などの社会問題が顕在化している。加えて、地震や台風、水害などの自然災害が多く、これに対処することも喫緊の課題だ。
こうした数多ある課題を、ICT技術の活用で解決することを目的に、2016年にスタートしたのが島根県益田市でのスマートシティ・プロジェクトである。2018年10月には「一般社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会(MCSCC)」が設立されて取り組みが本格化し、現在では様々な実証実験が始まっている。
MCSCCは2020年4月1日に人事異動を発表し、豊崎禎久氏と橋本剛氏の2名が代表理事に就任することをアナウンスした。これまで代表理事は1名体制だったが、これを2名体制に変更したことになる。その目的は何なのか。さらには、益田市におけるスマートシティ・プロジェクトの現状や今後の展開などについて、豊崎氏と橋本氏に聞いた(聞き手:山下勝己=技術ジャーナリスト)。

―――2020年4月1日に、社団法人益田サイバースマートシティ創造協議会(MCSCC)の代表理事に豊崎禎久氏と橋本剛氏の2名が就任しました。まずは、益田市でのスマートシティ・プロジェクトの状況を教えてください。

豊崎 島根県益田市のスマートシティ・プロジェクトは、とても順調に進んでいます。このプロジェクトの特徴は「課題解決型」であることです。従来のスマートシティの多くは、大都市(アーバン)が対象で、テクノロジ・オリエンテッドな取り組みがほとんどでした。一方、益田市の人口はわずか5万人弱。いわゆる田舎(ルーラル)です。しかし、ルーラルであるからこそ、社会課題を抽出しやすい。そうした社会課題に対して、最適なテクノロジを選んで適用し、解決していく。これが基本的な考え方です。

現在展開している実証実験としては水害対策があります。市内の用水路の水位を測定するIoTシステムを導入して何カ所もの水位を測定し、樋門を開閉することで水位を調整して浸水や冠水を防ぎます。測定結果は「LPWA」と呼ぶ無線通信方式で基地局に送ってから光ファイバ網経由でクラウド環境にアップします。

さらに益田市では、壮年期の住民の血圧が高いという課題があります。そこで、IoT機能が付いた血圧計を配布し、高齢者が測定した血圧データを収集し分析することで、健康状態を見守る仕組みを導入しました。

―――このタイミングで代表理事を刷新した理由は何でしょうか。

豊崎 そもそも前任者の又賀善茅氏は2020年3月末で任期満了であり、2020年4月は新しい代表理事を選ぶ運びになっていました

どう選ぶのか。今後、MCSCCが取り組まなければならない事業案件が数多くあります。国との関係や、グローバル企業との協業、別の地方都市への展開、新しいテクノロジへの対応など。それらを1人だけでコントロールしていくには無理がある。そこで「ダブルトップ体制」への移行を決断しました。

「ダブルトップ体制」で役割を分担

[画像: https://prtimes.jp/i/40013/10/resize/d40013-10-939140-0.jpg ]


―――役割分担はどうなりますか。

豊崎 益田市でプロジェクトをさらに進めて行くには、国とのやり取りが必須です。例えば、個人情報の扱いに関する法律の整備などです。もちろん、我々が法律を作るわけではありませんが、その過程で「モノ」を申す必要があります。

さらに、国の助成金が必須なわけではないですが、現実的には助成金という形で支援してもらい、地方都市のインフラ整備を加速させることも1つの方策だと考えています。そのためには、国の仕組みを良く分かっている人、すなわち農林水産省において官僚経験のある橋本さんに就任していただくことが最適だと判断しました。

その一方で、我々が開発したスマートシティの仕組みをグローバルな都市に移植するビジネスも展開していく考えです。このビジネスは国際競争を勝ち抜かなければなりません。しかし、全員と戦っても勝ち目はない。協業する相手を選び、そしてチームを編成しなければなりません。それには「ハイテク環境」をよく理解している人材が不可欠なので、もう1人の代表理事に私が就任しました。

―――両氏はこれまで、どのような関係だったのでしょうか。

橋本 スマートシティに関して2人の接点ができたのは2014年ごろです。当時、豊崎さんは、アーキテクトグラウンドデザイン(AGD)とオムロン、慶応義塾大学大学院と共同で、センサーとLPWAなどを組み合わせたIoTプラットフォーム「IoT PLANET HIGHWAY」の開発に取り組んでおり、その社会実装の場として長崎市を「プランA」として検討していました。

その当時の私は、農林水産省を辞めて長崎市で行政書士事務所を立ち上げていました。豊崎さんも私も生まれは長崎市。地元の長崎市でできることはないか。そのときに豊崎さんのプロジェクトを知り、協力することしたのです。


―――長崎市におけるスマートシティはどうなったのですか。

橋本 2014年に長崎市で行政や大学、企業などにプロジェクトへの参加を働き掛け始めました。何回も勉強会を開催したのですが、IT企業は興味を持ってくれるものの、課題を認識して対策を打たなければならない行政や事業体などは興味を持ってくれない。2014年当時はまだ、IoTやスマートシティという言葉があまり浸透していなかったからです。このため、いつまでたってもプロジェクトは前に進まず、同じところをグルグル回っていました。そのとき島根県益田市から声が掛かりました。

―――なぜ、益田市が声を掛けてきたのでしょうか。

豊崎 キッカケは、私が所属するAGDが2014年11月に開催した「第4回ニッポン半導体再成長させる会シンポジウム」です。そこで、IoTプラットフォームの開発で関係が深かったオムロンの方の紹介で参加されていたシマネ益田電子の方と知り合ったのです

それから1年以上、シマネ益田電子の方には連絡を取らなかったのですが、プランAがなかなか進まない。代替地はないのか。そのとき、益田市が「プランB」に急遽浮上したのです。シマネ益田電子の方に連絡を取り、その結果、2016年に任意団体「IoT益田同盟」を数社で立ち上げるに至りました。

地方都市の「縮図」
―――なぜ益田市を選んだのでしょうか。

豊崎 益田市は、調べれば調べるほど興味深い。市内には高津川という清流が流れています。上流には環境に配慮した流水型ダム(穴あき)が設置されており、コンクリートで覆った護岸が少ない。従って、流域の雨量がしきい値を超えると、水害に見舞われてしまいます。少子高齢化が急ピッチに進んでおり、人口は減少する一方です。このままでは、「消滅自治体」になってしまう危機感もあった。つまり課題が多く、日本の地方都市の「縮図」のような街だったのです。

私は、その益田市に手弁当で乗り込んで行きました。2015年10月28日にシマネ益田電子の会議室に、同社のエンジニアのほか、銀行や県庁/市役所の人たちを約50名集めてもらい「課題解決型スマートシティ」のマスタープランを披露しました。

具体的には、益田市の将来はこうなる。だからスマートシティを構築して、新しい街を作らなければならない。そうすれば、人口を増やすのは難しいが、関係交流人口は増やせる。つまり、テクノロジのショーケースを作ることができれば、ビジネスや視察などで多くの人を集められると説いたわけです。

―――益田市では、どのようにプロセスでスマートシティを構築していきましたか。

豊崎 まずは益田市の悩みをアンケートによって調査しました。その結果、水害という悩みを抽出できたのです。街中に水路が張り巡らされているため、樋門を適切に調整しないと浸水や冠水が発生する。水害は毎年発生していたようです。

―――この課題をどのように解決したのですか。

豊崎 前述のIoTプラットフォームを流用しました。気圧センサーとLPWAの通信機能を統合し、水位計に最適化したソフトウエアと筐体を3カ月程度で開発。その後、すぐに島根県内の企業と共同で実証実験に着手しました。

―――益田市で順調にスタートが切れた理由は何だと思います。

橋本 長崎市は人口が約41万人で、全国的にみれば大都市です。それだけに抱えている課題が多岐にわたり、それを的確に抽出するのが難しい。一方の益田市5万人弱と少ないため、比較的簡単に課題を抽出できます。このくらいの規模の地方都市から、IoT技術を使った課題解決型スマートシティを構築するのが現実的でしょう。

実際に益田市でスマートシティの構築に携わっていると、大都市と地方都市の課題に大きな違いがあることに気づきます。益田市が抱えている課題としては、まずは水害があり、その次に鳥獣害や高齢者対策などが続きます。しかも高齢者対策の中身は大きく違う。大都市では高齢者がギュッと集まって住んでいますが、益田市ではポツンポツンと離れて暮らしています。そうした高齢者たちをいかにケアするのか。地方都市に特有の課題と言えるでしょう。

コスト削減が成功の必要十分条件
―――日本では様々な企業が、大都市においてスマートシティの開発や導入に取り組んでいます。益田市のスマートシティとの違いは何でしょうか。

豊崎 都市型のスマートシティは、資源やエネルギー、人手などの無駄を廃して、最適化や効率化を高めることで生産性を上げることが目的です。しかし、益田市のような地方都市では、人口が減っていくと同時に高齢者の割合がどんどん高まっていきます。これはもう避けられません。そうなると、従来のように担当者を貼り付けて行政サービスを提供していけるのか。税収は減っていくので、正直なところ厳しいでしょう。

こうした条件の中で、住民の生活レベルを維持するにはどうすればいいのか。1つの解として、コンパクトシティの導入があります。住民を1カ所に移住させて、そこで大都市のようにして暮らしてもらうわけです。

しかし実際には、今まで住んでいた土地を離れたくない住民が少なくない。そこで、もう1つの解になるのがスマートシティです。従来通り、住民には様々な場所に暮らしてもらい、デジタル・ネットワークを介して行政サービスを提供するわけです。

―――国の税金で支える事業になるということでしょうか。

豊崎 都市型のスマートシティに比べれば、税金を使うタイプの事業が多くなると思います。少なくとも、自治体が今までと同様の行政サービスを提供していくためには、国や自治体による一定の投資が必要でしょう。しかし、これまでの益田市での取り組みは、民間投資だけで十分に賄えています。現在、国土交通省との間で補助金や助成金に関する話し合いを進めていますが、現時点ではまだ資金提供は一切受けていません。

―――なぜ民間投資だけで運営できているのでしょうか。

豊崎 オムロン ヘルスケアなどから投資を受けているからです。なぜ、投資してもらえるのか。同社にとって益田市は、研究所の役割を果たしていることが理由です。

益田市では、高齢者に血圧を測ってもらい、そのデータを日々収集しています。実際に生活している高齢者の血圧データがリアルタイムで把握できる。こうしたデータは、島根大学医学部で医学研究に活用するほか、オムロン ヘルスケアでは血圧計の新規開発や改良に利用します。つまり、民間企業は投資しても、市民を対象とした研究費として回収できるわけです。

このほか、通信コストを最小限に抑える工夫を凝らしています。一般に、通信事業者の携帯電話ネットワークを利用すれば、当然ながら使用料を支払わなければなりません。そこで、使用料をタダにするためLPWAを採用しました。しかも、益田市はテレビの難視聴地域に指定されているため光ファイバ網が敷設されています。これを利用したわけです。公民館などの基地局を設置し、各家庭から基地局まではLPWAでデータを送ります。その後、光ファイバ網を利用してクラウド環境にデータを集めるわけです。

「益田モデル」を日本各地の移植へ
―――今後、益田市のモデルをどのように日本全国に展開していく計画ですか。

橋本 「益田モデル」と称して、順次、地方都市に移植していく予定です。まずは熊本県八代市への移植を計画しています。さらに愛媛県西条市も今後移植する計画に入っています。私と豊崎さんの地元である長崎県についてもあきらめていません。長崎市は大都市なので難しいですが、例えば平戸市や西海市などの小規模な都市、あるいは大都市内の離島のように小規模で完結した地域であれば適用しやすいでしょう。

―――なぜ次は、八代市や西条市なのでしょうか。

豊崎 コアとなる人材を確保できているからです。八代市は、国内の電子柵市場で約3割の市場シェアを抑えている末松電子製作所の代表取締役社長である末松謙一氏、西条市は石川智久氏がコアとなる人材です。石川氏は、かつて理化学研究所で上級研究員を務め、癌治療や高齢者の個別化医療などの専門家です。現在は西条市において、地方再興・個別化医療支援というNPO法人を運営しています。

そもそも大企業を含めて、多くの人たちがスマートシティは儲かると考えているようです。しかし実際には、今日明日には儲かりません。少なくても10年の時間軸で考えなければならない。「桃栗三年柿八年」では無理です。従って、長い期間、粘り強く事業を牽引していくコア人材がどうしても必要になるのです。

―――八代市や西条市への移植には、どのくらいの時間がかかると考えていますか。

豊崎 2~3年はかかるでしょう。日本全国に「益田モデルがたくさん広がってきたなぁ」と感じるのは10年後ぐらいになると思います。

―――益田モデルをほかの地方都市に簡単に移植できるのでしょうか。

橋本 地方都市には、ベースとしての基本共通項があります。しかし、地形や人々の気質などが違う。その違いをコミュニケーションの段階で洗い出し、特異なものが浮かび上がれば、それに合わせて技術開発やサービス開発をしなければなりません。

豊崎 イメージとしては、ジグソーパズルのピースを変えるという感じです。その地方都市に合った最適なピースを埋め込んでいくわけです。

橋本 益田市は川がゆったり流れているので、市内に水位計が必要になります。一方で、長崎県内の都市は川の流れが急なため、川上で雨がドンと降れば下流で氾濫してしまいます。そこで上流での降水量のセンシングが必要になります。つまり、基本的な技術は同じですが、それに載せるものが変わるというイメージです。

―――使用するセンサーや通信モジュールには同じものが使えるのでしょうか。

橋本 その通りです。同じもの使う予定です。そうすれば大量生産が可能になるので、コストを低減できるようになります。


テクノロジは「プラグイン」
―――LPWAやセンサーなど、現時点では最適な技術ですが、時間が経てばいずれも廃れてしまいます。インフラを支える技術の移行について、どのように考えていますか。

豊崎 LPWAに固執しているわけではありません。テクノロジは常に進化するもの。基本概念だけを共通項にして、通信方式を含めてテクノロジは「プラグイン」にして利用しようと考えています。

その方式についてはその都度、最適なものを選ぶつもりです。そもそも益田市のスマートシティでLPWAを選択したのは、光ファイバ網がすでに敷設されていたからです。ほかの地域では、通信事業者の携帯電話ネットワークを使うことになる可能性が高いので、「NB-IoT(Narrow Band IoT)」などを選択することになるでしょう。さらに将来を見渡せば、「IEEE802.15.4k」の採用も視野に入ってくると思います。

―――益田市におけるスマートシティの構築について、今後の抱負をお聞かせください。

豊崎 日本が世界に先行して突き進んでいる超高齢化社会。いずれ世界もこの課題に向き合うときがやってきます。さらに世界は、地球規模の気候変動による気象災害の増加という新しい課題にも対処しなければなりません。これらの課題に解決するサービスの中で、どのようなものがビジネスとして展開できるのか。それは本来であれば国レベルで考えるべき事柄です。しかし我々は、民間企業と地方自治体がタッグを組みことで課題を解決するサービスをビジネス化できることを証明しました。これを国家の未来戦略に組み込んでいただきたいと考えています。そして、益田市というテストベッドで生まれた仕組みを、日本の地方都市だけでなく、インドネシアなどの新興国にもプラットフォームとして展開して行きたいと思います。

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