NEC、ネットワークの自律運用技術を開発

プレスリリース発表元企業:日本電気株式会社

配信日時: 2024-02-02 11:00:00



NEC(注1)は、Autonomous Networks(自律化ネットワーク)の実現に向けたインテント (注2)によるネットワークの自動設計・自律制御システムを開発しました。インテントに基づいてシステムが運用計画(注3)を自動生成し、さらに通信負荷の変化に応じて元のインテント内容を維持するためにネットワーク構成を自律的に変化させることが可能であり、TM Forum(注4)で定義されるレベル5の完全自律化ネットワークの実現に資する技術です。これにより、様々な要件に対応するネットワークを、運用コストを抑えて迅速に構築することが期待でき、ゼロタッチオペレーション(注5)の実現に近づきます。
また、日本電信電話株式会社(注6、以下NTT)および株式会社NTTドコモ(注7、以下NTTドコモ)と共同で、本技術を用いた実証に成功しております。

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TM Forumが定義するAutonomous Networksレベル(注8)

背景:
Beyond 5G /6G時代に先立ち、ネットワークに求められるニーズの多様化や仮想化技術の導入が進み、ネットワーク構成は近年複雑化しています。それに伴い運用にかかる負荷も増大しています。今後もその傾向は続くと考えられ、運用コストを抑えつつ、複雑なネットワークを迅速に構築することへのニーズが高まっています。そのため、運用者のインテントを解釈し、要件に沿ったネットワークを自動で構築・維持することができるインテントベースのAutonomous Networksシステムの実現が期待されています。

実証について:
本実証は、AWS上に構築した5Gモバイルネットワークの実環境に、NTTのインテントからネットワークサービス要件を抽出する技術(注9、インテント抽出技術)、ドメイン横断でリソース割当を最適化する技術(注10 、マルチドメイン制御技術)、および体感品質(QoE:Quality of Experience)の劣化を事前に予測する技術(注11、QoE劣化検知技術)と、NECの自律運用技術、ネットワークスライシング機能(注12)、End-to-Endオーケストレーション機能(注13)を組み合わせました。NTTシステムとNECシステム間では、インテントによるやり取りを行っており、NECシステムでは受け取ったインテントからモバイルネットワークのリソースレベルまでの詳細化を行った運用計画の自動生成と、インテントに応じたネットワーク構成の自律変化を行う本開発機能が動作するインテントベースの運用システム(以下、本システム)を構築しました。またNTTドコモは本実証の進捗管理・試験項目作成といった全体統括と、モバイルネットワークへ自律運用ネットワークの適用を考慮したシナリオの詳細検討を行いました。
本システムを用いることで、システム運用者がチャットボットに入力したインテントに基づき、ネットワークスライスごとのアプリケーション、5Gコアネットワーク機能(注14)とそれらを配置するデータセンター、およびネットワーク経路を自動で設計・構築し、要件を満たすネットワークを実現しました。また、トラフィック量の増化などQoEの低下の原因となる変化を本システムが事前に検知し、自動でネットワークスライスを増設/再配置することで、QoEを維持できることも確認しました。
なお、実証の成果は2024年2月29日までdocomo Open House’24のオンライン展示にて紹介しています。(注15)
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実証のシステム構成概要と主な役割


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ネットワーク運用プロセスの比較

NECの自律運用技術について:
インテントに基づいたネットワーク構成の自動設計と、環境変化に応じてインテントを維持する自律制御によって運用者の負担とシステム運用コストを低減することができることが特長です。さらにそれらの運用計画を事前に生成し、運用者がネットワークにおける変化を確認した上で運用を開始できる機能も搭載しています。これにより運用計画のブラックボックス化を避け、信頼性を担保した高い実用性を有しています。
なお、本研究成果の一部は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー))の委託研究(JPJ012368C04801)により得られたものです。

今後の展望:
今後、運用計画の生成に掛かる時間の短縮やユーザビリティの改善、およびEnd-to-Endネットワーク全体の運用自律化への対応などの取り組みを進め、あらゆるネットワークの完全な自動化を目指して、研究開発を推進していきます。また、NECはインテントベースのオーケストレータの2025年度の製品化を目指しています。

本件に関するNECのコメントは以下のとおりです。
NECは長年にわたり通信事業者のオペレーション効率化に携わってきました。Beyond 5G/6Gの時代においては、各産業界からの様々な要望に対応するネットワークを迅速に提供できることが、社会からのテレコムネットワークへの期待であると考えております。今回の成果はそうしたAutonomous Networksの社会実装に向けた大きなマイルストーンであり、通信事業者のみなさまとその実証を確認できたことを大変喜ばしく思っています。今後NECはネットワーク構築・運用の完全自動化の実現に向けてIntent-Driven Orchestratorの技術開発を進め、通信事業者と共に社会課題の解決に貢献してまいります。
NEC  Corporate SVP ネットワークソリューション事業部門長  佐藤 崇


(注1) 本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田 隆之
(注2)サービス提供者やユーザがサービスやネットワークに求める要件
(注3)ネットワークの状態、その時にとるべきネットワーク構成、その構成に遷移するための自動実行手順を示す。
(注4)情報通信業界の国際標準化団体。
URL:https://www.tmforum.org/
(注5)ネットワークの運用をそのネットワーク自体が行う事。
(注6)本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明
(注7)本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井伊 基之
(注8)「[TM Forum Exploratory Report] “Cross-Industry Autonomous Networks - Vision and Roadmap” (IG1193)」を元に作成
(注9)
サービス提供者や利用者が自然言語で入力した内容からインテントを抽出する技術。
https://journal.ntt.co.jp/article/18762
(注10)
サービスの品質要件を考慮しながら、ネットワーク・クラウドサーバなどのドメイン横断で全体最適となるようなリソース割当を算出する技術。
https://journal.ntt.co.jp/article/18759
(注11)ネットワークで測定可能なスループット等の情報からQoEを推定し、QoE劣化を検知する技術。
(注12)ネットワークを仮想的に分割し、サービスの要求に合わせた仮想ネットワークを提供する機能。
(注13)ネットワークスライスの自動運用を実現する技術。
(注14)本実証においてはUPF(User Plane Function:ユーザーデータ処理装置)にあたる。
(注15)https://docomo-openhouse24.smktg.jp/public/session/view/111

本件に関するお問い合わせ先
日本電気株式会社
テレコムサービス企画統括部 
contact@nwsbu.jp.nec.com

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