医学部 生理学 高橋琢哉 教授が令和3年度 文部科学大臣表彰を受賞

プレスリリース発表元企業:横浜市立大学

配信日時: 2021-04-08 10:00:00







 横浜市立大学学術院医学群の高橋琢哉教授(生理学 教授)が、令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
 表彰式は、令和3年4月14日(水)12:10よりライブ配信されます。

◆高橋琢哉 教授(医学群 生理学)
受賞実績 「シナプス可塑性のトランスレーショナル研究」


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(受賞コメント)
この度はこのような栄誉ある賞を頂くことになり、大変光栄に感じますと同時に身の引き締まる思いもしております。私はシナプス可塑性のトランスレーショナルリサーチを行っています。「基礎研究と臨床の死の谷を埋める」ということを目指して研究に没頭してきました。統合失調症、うつ病、双極性障害、自閉症といった精神疾患や、脳卒中や認知症、パーキンソン病などのように神経疾患に苦しむ患者さんは多く、その患者さんたちの苦しみを軽減させるためには科学的な診断・治療法の開発が必要です。これからも精神神経疾患に苦しむ患者さんに福音をもたらすために研究を推進してまいります。


【主要論文】
1)「Visualization of AMPA receptors in living human brain with positron emission tomography.」Nature Medicine, 26(2), 281–288, 2020.

2)「CRMP2-binding compound, edonerpic maleate, accelerates motor function recovery from brain damage.」Science, 360(6384), 50-57. 2018.

1)脳の機能を担う最重要分子であるAMPA受容体を、生きているヒトの脳で可視化する世界初の技術となる、陽電子断層撮影(Positron Emission Tomography: PET)用AMPA受容体標識トレーサー([11C]K-2)の開発に成功。これまでブラックボックスであった精神・神経疾患の病態解明や、てんかんの診断薬の開発につながることが期待されます。


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AMPA受容体のシナプス移行
AMPA受容体は神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体のひとつで、シナプス膜上にイオンチャネルを形成し、グルタミン酸がAMPA受容体に結合すると、細胞内にイオンが流入しシナプスが応答するため、シナプス膜上のAMPA受容体の数が増えるとシナプス応答が増強する。シナプス応答の増強は記憶学習をはじめとした脳内情報処理の変化の中心的メカニズムであることが知られている。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/202001takahashi_NMED.html

2)脳卒中後のリハビリテーション効果を大きく促進する新薬の候補化合物を特定し、脳損傷後の機能回復のメカニズムである脳の可塑性が向上し、リハビリテーションによる運動機能回復効果が改善することを、げっ歯類、霊長類のモデルで示しました。


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リハビリテーション効果促進薬の考え方
リハビリテーション等の外部からの刺激に応答した脳の変化(脳の可塑性)がおこるとき、神経細胞の情報伝達を担うシナプス応答の増強が見られ、AMPA受容体がシナプスの膜上で増加することが、明らかにされており、薬剤の介入で、外部からの刺激によりAMPA受容体のシナプス移行を促進すること(脳の可塑性を向上させること)をマウス実験で示した。この脳の可塑性向上を、損傷後の脳でも誘導し、リハビリテーション治療の効果を促進する。


https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/20180406Takahashi.html


参 考
■令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰について
(文部科学省サイトより引用 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00547.html


文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として、次のとおり各賞を授賞している。
○科学技術賞(開発部門、研究部門、科学技術振興部門、技術部門、理解増進部門)
○若手科学者賞
○創意工夫功労者賞
○研究支援賞

■表彰式
○日時:令和3年4月14日(水曜日)12時10分から
※ライブ配信(後日、映像は YouTube にもアップロードされます。)
○場所:文部科学省3階 講堂(東京都千代田区霞が関3-2-2)
○出席者:荻生田文部科学大臣(予定)、各賞代表者 等





本件に関するお問合わせ先
横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

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