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相場展望9月28日号 今週の注目すべきポイント (1) 欧州での新型コロナ再拡大 (2) 米大統領討論会 (3) 米雇用統計

2020-09-28 08:22:35

■I.米国株式市場
●1.米株式市況の推移
 1)9/23、NYダウ▲525ドル安の26,763ドル
  ・下落理由は9/21の下げと同様に、米金融当局者は追加財政刺激策の必要を強調。
  ・米株式市場は時価総額で約68.5兆円が吹き飛ぶ急落となった。SP500は▲2.4%安、ナスダック総合も▲3.0%の下落、NYダウは▲1.9%下げた。

【前回は】相場展望9月23日号 欧州発の世界株式大幅下落(9/21) 1.欧州でコロナ感染急拡大 2.大手金融機関の資金洗浄発覚 3.米国政治混乱で経済失速懸念

 2)9/24、NYダウ+52ドル高の26,815ドル
  ・主力ハイテク株が買われ相場を牽引、ダウは一時+300ドル超となったが、景気回復の鈍化懸念から景気敏感株の一角が売られ、相場の方向感が乏しくなった。
  ・ゴールドマンサックスの1銘柄でNYダウ上昇に+59ドル高の貢献をした。

 3)9/25、NYダウは+358ドル高の27,173ドル
  ・序盤は米追加景気対策の見通し不透明で下落したが、その後、テクノロジー株が上昇を牽引し、押し目買い優勢となった。
  ・NYダウは+1.3%高、ナスダック総合は+2.3%高、SP500は+1.6%高。個別株では、ボーイングが737MAXの試験飛行予定が伝わり急伸した。
  ・ただし、SP500指数は週間ベースでは下げ、4週続落となった。

●2.米株式市場の今週の動向予想
 1)11月の米選挙まで荒れた市場環境が続くという見解がある一方、オプション取引の状況から類推すると、市場には楽観論もまだ多い。

 2)大統領候補討論会が9/29と10/15に開催される。特に、9/29の第1回目討論会の反応に注意したい。トランプ大統領が不利であれば一時的な波乱が想定される。

 3)10/2に米雇用統計の発表。

 4)以上の状況にため、積極的な上値追いは期待しにくい。

 5)なお、ナスダック総合は、200日移動平均線と上方への乖離が20%を超えた。この20%超えの事例は過去20年で3回ある。
  (1)2000年3月のITバブル
  (2)2003年9月のNY同時多発テロ後のリバウンド局面
  (3)2009年9月のリーマン・ショック後のリバウンド局面
   現在の上昇局面から下落したケースは(2)(3)で、ボックス相場を経て緩やかな上昇に戻った。逆に、さらに上昇を続けた(3)は、乖離率が50%を超え、その後大幅な反動安となった。現状で一服すれば相場が大荒れしない可能性があるが、(3)のケースとなれば大幅な反動安も視野に入れておく必要があろう。

●3.パウエルFRB議長、「平均2%インフレで、必要ならば金利引下げ余地あり」と述べた
●4.米最高裁判事任命で野党・民主党が反発し、追加経済対策が決まらず、経済失速の懸念深まる
 1)例えば、米航空会社支援策は9月末で期限切れとなるため、アメリカンとユナイテッド航空会社だけで3万人以上の解雇が現実的になる。

●5.米ゴールドマンサックス、2020年10~12月の米経済成長率予想+6%を+3%に下方修正
 1)財政面での追加景気対策は来年まで実施されないと判断したため下方修正。
 2)年間成長率は、2020年▲3.5%のマイナス、2021年は+5.8%と予想した。

●6.米新規失業保険申請は予想に反して前週比でわずかに増加した
●7.米新築住宅販売、8月は年換算で101万戸を突破、2006年以来の高水準
 1)住宅市場は、(1)住宅ローン金利の低さ (2)新型コロナで在宅勤務を強いられて広い新居を求める動きが強まった、ことに支えられている。

●8.米カリフォルニア州、2035年から全てのガソリン車の新規販売を禁止(時事通信より
 1)ニューサム知事は9/23、州内の新規乗用車販売について、2035年から全て電気自動車(EV)など排ガスを出さない車にするように義務付ける行政命令に署名した。
 2)これにより、温室効果ガスを▲35%以上削減できるという。
 3)さらに、中・大型商用車についても2045年までに可能な限り排ガスを出さない車に切り替えることを求めた。ただ、住民がガソリン車を保有、中古市場でガソリン車を販売することは禁じていない。

続いて、「中国株式市場」、「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

■II.中国株式市場
●1.上海総合指数
 1)9/18の3,338 ⇒ 9/25の3,219と▲119安・▲3.6%の下落となった。

●2.中国「国慶節」で6億人が旅行などで大移動か
 1)「国慶節」とは中華人民共和国の建国記念日で、10/1~8までの1週間の連休となる。

●3.日系企業1,757社(7月末時点)が中国から移転申請へ、日本政府の支援策を受け
 1)移転理由
  ・中国コスト高:日本100に比べ、中国80、ベトナム74、カンボジア65、ミャンマー60(2019年、日本貿易振興機構(JETRO)調査)
  ・経営不自由度:中国の地方政府・共産党からの経営介入が多く、経営自由度が制限。
  ・米国の関税高:米国への輸出コスト高による事業採算の悪化など、多くの貿易障壁。
  ・中国集中弊害:中国にサプライチェーンを集中したことのデメリットが多いと気付く。
  ・日本政府支援:新型コロナで、サプライチェーンの中国集中の弊害が日本国内で表面化したための改善策。(例:マスクや部品の日本での品切れ等で支障発生)移転による政府補助金は当初予算2,400億円だが、申請額は約1兆8,000億円のため、予算増額を検討するとみられる。

 2)中国進出の企業動向
  ・中国に進出した日本企業は約13,600社で、移転を決めた1,757社は約13%に当たる。(帝国データバンク調査)
  ・ただし、移転企業の多くは中小企業で、大企業にまでは及んでいない。

●4.米政府は、中国の半導体受託製造会社SMICへの輸出を一部制限へ(英FT紙報道)
 1)英フィナンシャル・タイムズ(FT)は9/26、米国が中国の半導体受託生産会社・中芯国際集成電路製造(SMIC)への一部輸出を制限する措置を打ち出したと報じた。
 2)中国のテクノロジー産業に新たな打撃となるもので、知的財産や国家安全保障を巡る緊張を高めることになりそうだ。
 3)FTは、米商務省がSMICに送付した書簡を引用し、製品が軍事目的に転用されかねない「容認不可能なリスク」を理由に、複数の米企業は今後、SMICへの一定の製品輸出に当たって米商務省の許可が必要になると、伝えた。
 4)ブルームバーグによれば、SMICの購入先にはクアルコムやブロードコムなどの米半導体メーカーが含まれる。
 5)この米政府の措置によって、SMICは先端半導体製造装置を米国から輸入できなくなり、現状の14nmの増産や、7nm・5nm生産などに障害を抱えることになる。つまり、『中国製造2025』の中核である『半導体生産シェア70%実現はより困難』となる。

■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
 1)9/23、日経平均は▲13円安の23,346円
  ・海外株安を受け一時▲200円超の下落から、日銀のETF(上場投資信託)買入観測と押し目買い意欲も強く、引け値は▲13円安と下げ幅を縮小した。
  ・富士フイルムが昼頃、新型コロナ治療薬候補として「アビガン」の承認申請を10月に実施すると発表したのも支えとなった。
  ・昼には菅首相と黒田日銀総裁が会談したことが、思惑的な買いを誘った。

 2)9/24.日経平均は▲258円安の23,087円
  ・25日移動平均線(23,216円)を下回った。
  ・米ダウ先物の急落で日経平均も連動して下げた。ただ、下落率は▲1.1%と、米SP500の▲2.4%と比べ下げ率は小さく抵抗力を示す。

 3)9/25、日経平均は+116円高の23,204円
  ・中間配当取り狙いの買いの見方から、買い優勢となった。
  ・ただ、配当取り後の需給面での支えが無くなった後の株価動向を懸念する声もあり、買い一巡後の上値は限られた。

●2.日経平均の今週の動向予想
 1)9/28は、中間配当などの各種権利取りの権利付き売買の最終日となる。
  ・そのため最近までは、(1)配当取りの買い (2)配当分の再投資を期待した買い (3)日銀のETF買い支え、によって日経平均は底堅い展開を見せてきた。

 2)9/24には日経平均は8/7以来となる25日移動平均線(23,216円)割れの23,087円となり、上昇トレンドに黄信号が付いた。
  ・25日線を明確に回復できない場合は、75日線(22,789円)を下値にしたレンジ相場になることから、テクニカル的には下振れ懸念が出てきた。

 3)9/29は権利落ち後となることから、需給面での下支え要因が外れる。
  ・加えて、新型コロナ新規感染者数も、減少傾向にあった東京都で9/19からの4連休中の感染増加が表面化してくると予想できることから警戒感も強い。

 4)欧州における新型コロナ感染再拡大を受け、世界経済の失速が警戒され、株式市場はリスクムードにある。
  ・独DAX指数は9/16高値13,255から下落が続き、9/25は12,469と▲5.9%安となる。

 5)これまで株式市場を牽引してきた米ハイテク株の下落もあり、欧米株式が下落した場合、日本株も影響を受けやすくなる。

 6)9/29の米大統領候補の第1回討論会で、トランプ大統領が不利と受け止められると、一時的な波乱が想定されるので、9/30のNYダウ先物の動き次第で日本株も影響を受ける可能性がある。なお、第2回目の米大統領候補討論会は10/15の予定。

 7)10/2に米9月雇用統計の発表も控えている。

 8)以上の観点から、積極的な上値追いの買いは期待しにくい。

●3.企業動向
 1)西武    最終赤字▲630億円見通しで配当無し、鉄道乗客大幅減などが響く。
 2)企業合併  三菱UFJリースと日立キャピタルは9/24、経営統合の契約締結と発表。
 3)HIS    上場初の通期赤字▲318億円見通し、新型コロナが響く。
 4)キオクシア 10月上場は中止、米中対立の影響でファーウェイ向けに出荷できず、事業環境の先行きが不透明になったと判断したため。
 5)日本郵船  需給改善し、4~9月期業績予想を上方修正。営業利益は均衡⇒150億円黒字

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします) 
 ・7309 シマノ   コロナ禍で「自転車」「釣り」が人気化し、受注増加。
 ・5384 フジミ   省エネ効果大の酸化ガリウム半導体の研磨・洗浄に注力。
 ・4502 武田薬品  シャイヤーとの経営統合が良好に進捗。

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

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