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相場展望8月5日号 日本の8月は特異月、10年連続の外国人売越し、警戒 中国長江・淮河の流域大洪水で中国食糧危機の恐れ

2020-08-05 07:35:15

・中国長江・淮河の流域大洪水で中国食糧危機の恐れ ⇒国民の眼を海外にそらす為に海外諸国と摩擦激化?

■I.米国株式市場
●1.米株式は、NYダウ続伸し26,828ドル、ナスダックは10,941と市場最高値更新
 1)8/3、NYダウは+236ドル高と続伸し、ナスダックも+157と続伸し史上最高値を更新
  ・アップルは株式分割発表、マイクロソフトは中国動画ティックトックの米国事業買収で上昇した。この2社だけでNYダウを+150ドル押し上げた。7/31もアップル1社でNYダウをマイナスからプラスに転じ、跛行色が気になる。
  ・7月ISM製造業景況指数が54.2と1年4カ月ぶりの水準になったことも好感。

【前回は】相場展望8月3日号 米国の中国に対する『怒り』を具現化した『香港自治法』 ドル決済禁止付きで日本等の金融機関にも罰則適用

 2)8/4、NYダウは+164ドル高と2日連続上昇、ナスダックも+38と最高値更新
  ・経済対策合意を巡って様子見だったが、原油高を背景に引けにかけて強含んだ。
  ・金先物が2,021ドルに上昇、米国債10年利回りが0.507%と低下したのに注目。

■II.中国株式市場
●1.上海総合指数、7/31終値3,310 ⇒8/4引け値3,371、+61上昇
 1)景気回復の経済指標を受け、上昇。

●2.7月中国製造業購買担当者景気指標(PMI)は8/3、+1.6高い52.8と9年半ぶり高水準
 ・中国景気回復が期待できる指標数値の発表となる。

●3.長江・淮河(わいが)の流域大洪水がもたらす、中国の食糧危機の恐れ
 ⇒ 共産党独裁揺るがす懸念 ⇒ 国民の眼をそらす為の海外諸国との摩擦激化か

 1)この一帯は穀倉地帯で、2019年の食糧生産の30%以上を占めており、中国の食糧生産量は大洪水で大きく落ち込むことが予想される。またこの流域には、中国の人口の40%以上に相当する6億人が生活していると言われる。

 2)加えて、中国イナゴの被害が、湖北省・広西チワン自治区・湖南省の一部で広がっている。ラオスから侵入したバッタが雲南省の一部に侵入し、竹や農産物が全滅状態にある。最も恐れる東アフリカで発生したサバクトビバッタがパキスタン経由してインド・ネパールまで東進し、中国に迫っている。

 3)中国では2020年5月頃から、中国メディアが「復耕荒田(荒れた田畑の再耕作)」を呼びかけている。さらに地方政府は農民たちに一定期間内に荒れた田畑の再耕作を始めなければ当該の田畑の「承包権(請負権)」を回収すると、中国政府の意向として伝えている。なお、中国政府は「食料は豊富で、食糧備蓄が十分にあるので、問題ない」と宣伝しているが、ならば請負権の回収まで表明して「復耕荒田」を強制しているのは何故か?

 4)米農務省は、7/14に米企業がトウモロコシ176.2万トンを中国へ輸出契約を調印したと発表。また、4日前の7/10には136.5万トンの輸出契約を締結している。この契約は、米中の第1段階の目標達成というよりも、中国国内の食糧危機を見越した「背に腹は代えられない」事情があると考えるのが筋だろう。なお、中国はすでに、ブラジルから農産物を前年比+90%増の買付をしたという。

 5)最近の中国共産党・政府の諸外国への強硬姿勢は、食糧不安からくる中国国民の不満が反共産党エネルギーに向くことを恐れ、国民の眼をそらす方策とも見て取れる。

●4.中国軍が、「台湾が実効支配する東沙諸島の奪取演習を明言」で、南シナ海に緊張も
 1)香港の親中国系雑誌「紫荊」8月号に、中国人民解放軍国防大学の李大光教授が寄稿した記事の中で、「中国軍は8月に南シナ海で、台湾が実効支配する東沙諸島の奪取を目標と
 する大規模な上陸演習を行う」と記載した。

 2)米エスパー国防長官は、演習計画について「極めて重大に受け止める」と中国を強く牽制。

続いて、「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

■III.日本株式市場
●1.日経平均は8/3~4は+863円高、6日連続下落▲1,174円に対して+73.5%戻し高
 1)日経平均は8/3、+485年高の22,195円。7/21の22,884円から6日連続下落▲1,172円安となっていただけに、円高もあって買戻しが入りやすかった。

 2)1株利益(EPS)が、7/22の1,271円⇒8/4に1,185円と▲86円減となっており、企業業績の低下が見られる。従って、株価収益率(PER)は8/4に19.04倍まで跳ね上がった。

 3)コロナ禍でも成長期待を背景に高値を付けていたNECなど国内IT株の業績が思いの他悪く、また中国関連のファナックなど、決算発表後に急落する例が相次いでいる。円高懸念も重荷。高いPER、低下傾向のEPSを考えると、当面の高値近辺にあるといえる。

 4)7/31・8/3の2日間だが、米国株を牽引するのがアップルとマイクロソフトの2社だけに投資資金の流入が集中しているというのも気掛かり。

●2.8月の日本株市場は、外国人投資家の10年連続の売り越しという特異月に警戒
 1)過去8月は、「上旬に上昇、中旬以降は大きく下落」というパターンが見受けられる。

 2)理由としては、
  (1)夏季休暇シーズン前の海外投資家のポジション整理が出やすい。
  (2)外国人の買いが少ない。

 3)また、過去8月の日経平均騰落率も、年間で最悪となっている。

 4)さらに、潮目の変化も感じられる。
  (1)円高
  (2)利益確定売りの増加
  (3)個別銘柄選定のシビアさの高まり
  (4)ITやハイテク株のハードルの高まり
 
 5)従って、反騰が期待できる8月上旬に売って、秋の上昇に備えるのが得策とみる。

●3.日本の中国関連株の株価は、中国株式上昇に連動せず
 1)中国では政府の育成支援を受けた建機などの中国企業へ受注が集中し、日本企業には発注が回ってこない構造に変化している。

 2)中国経済復興が、日本の中国関連企業の業績に反映しない状況が鮮明化している。
  例:コマツ、日立建機、ファナックなど

●4.企業決算(4~6月期)
 1)三菱重工  事業利益▲713億円の赤字。
 2)日本製鉄  発足以来最大の最終赤字▲420億円。9月中間期▲2,000億円の赤字予想。
 3)ソニー   営業利益は前年同期比▲1.1%減の+2,283億円の黒字。今年度業績予想は営業利益で前年比▲26.7%減の+6,200億円の黒字。スマホ向けセンサーが不振。
 4)5大手銀行 最終利益は前年同期比▲47%減。コロナ感染拡大で悪化。貸倒れ引当計上が3,165億円に増えたことが響く。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)
 ・9843 ニトリ    ウィズ・コロナで好調。
 ・6981 村田製    アップル効果。

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

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