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日本の貿易赤字拡大、為替は円安になるか?

2020-07-31 18:10:45

●貿易赤字が拡大
 戦後、輸出大国で貿易黒字国だった日本も、近年は貿易赤字が続いている。コロナショックが襲った2020年1-6月は、2兆2395億円の貿易赤字となり、2019年の年間赤字額1.6兆円を上回っている。主力産業である自動車産業の回復が見込めず、2020年通年では4兆~5兆円程度まで赤字が膨らむという予想もある。

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 為替の方は、足元では米国の景気への懸念や米中の対立への懸念から円高ドル安が進んでいる。貿易赤字は円安に誘導すると言われるが、今後もリスクオフの円高が続くのか、それとも貿易赤字が続くことで円安に向かうのか?

●貿易赤字と為替の関係
 貿易収支は、財務省が貿易統計として毎月発表しており、通関ベースの輸出額と輸入額の差額で算出する。輸出額が輸入額を上回れば貿易黒字で、輸出額が輸入額を下回れば貿易赤字となる。

 一般的に貿易黒字が増えると、受け取る外貨が増加し、それを売って円に交換することから円が買われ、円高になりやすい。一方で貿易赤字になれば、支払のために円を売って外貨を買うため、円安になりやすい。

●日本は貿易赤字国に定着し、円安になるのか?
 貿易統計によれば、東日本大震災があった2011年から、2015年までは貿易赤字が続いた。その後、2016、17年は黒字となったが、2018年からは再び貿易赤字となっている。

 日本は貿易赤字となっても、企業が海外から受け取る所得収支は黒字のため、円安は進まないのでは、という意見もある。しかし、コロナショックで世界的な金利低下が所得収支を減少させるのではないかという懸念もある。

 また日本には、米国の”GAFA”(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と並ぶような世界経済をけん引するような企業は少なく、今後日本の企業がさらに稼げなくなり、貿易赤字国に定着する可能性もある。

 だが貿易赤字が即座に円安になるとは限らない。

 FRB(米連邦準備委理事会)は2022年までゼロ金利政策を維持することを表明しており、日銀もイールドカーブコントロール政策(YCC)で短期金利をマイナス1%、長期金利も0%に誘導している。

 日米の金利差がなくなっており、貿易収支に関係なく、円高が続く可能性もあるのだ。

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