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相場展望5月13日号 トランプ『FRBにマイナス金利を要求』で、2番底に警戒

2020-05-13 07:32:27

・株価は(1)過剰マネー(2)米株(3)経済活動再開で堅調だが、企業決算発表で業績悪化が表面化

■I.米国株式市場
●1.米トランプ大統領、FRBにマイナス金利導入を要求 ⇒ 『楽観⇒悲観』への転換に警戒
 1)米大統領は12日、ツイッターに『ほかの国がマイナス金利の恩恵を受けている以上、アメリカもその贈り物をもらうべきだ』と投稿した。新型コロナウイルスの影響で経済が悪化する中、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)に対してマイナス金利を導入するよう求めた。

【前回は】相場展望5月11日号 株価は利益成長と共に成長が原則、今は真逆で1株利益減少のなかでの株高が続く(1/2)

 2)マイナス金利は、預金しておくと金利収入が得られるのではなく、逆に手数料がかかる形になるため、資金の活用が増える効果があるとされている。

 3)パウエルFRB議長は3月時点では、「適切な対応になるとは思えない」と、導入に慎重な考えを示していた。

 4)市場が金融緩和追加という受け止めをすると、株価上昇の弾みになる可能性がある。

 5)しかし、経済指標が悪化する中で、株式相場だけが『楽観』ムードで株価上昇しており、経済の実態悪に目を向け『悲観』に転換する可能性も秘めており、2番底に警戒したい。

●2.米財務長官、失業率は4月14.7%から、今後さらに悪化すると予想
 1)米政府は給与税の減税を検討も。

●3.米経済、年後半の成長は「緩慢で不均等」に(シカゴ連銀のエバンス総裁発言)
  米経済のV字型回復は見込めない(ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁発言)
  3兆ドルの景気対策が経済を下支えする(サンフランシスコ連銀のデイリー総裁発言)

 1)新型コロナのよる打撃を受けた米経済は、年前半に急激に落ち込む。

 2)年後半は成長に転じるが、回復のペースは緩慢で、業種によって異なる公算が大きい。

 3)新コロナによる社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)の確保は長期間継続を要する。ワクチンと有効な治療薬が開発されるのに1~2年は要する見込みのため、4月非農業部門雇用者▲2,050万人減という「壊滅的な雇用喪失」からの回復は「ゆっくり長い時間がかかる」と予想した。

 4)2021年はプラス成長になると見込む。

●4.新型コロナ抑制策の緩和は、「第2波を強く警戒」しながら慎重に(世界保健機関(WHO))
 1)感染拡大抑制を緩和した、ドイツ、韓国で再度感染が広がり始めたことを受け。

●5.米政府は台湾積体電路製造(台湾、TSMC)に対し、米国での生産を要請
 1)新型コロナ蔓延で、米政府は半導体のアジア依存を軽減し、半導体の自給自足を目指す。

 2)TSMCの主な発注先に米企業があり、米国生産で最大顧客アップルと協議済みという。

 3)TSMCは中国本土で半導体工場を稼働させたが、台湾への回帰策で台南に新増設中。

 4)TSMCは極微細回路の半導体製造では世界最先端企業で首位。

 5)米国にとっての国家安全保障の観点からも整合する。

●6.各国の動向
 1)ニュージランド 条件付きで経済活動を14日から再開。

 2)独 新型コロナの影響で人員削減広がる。主に自動車、ホテル、旅行、飲食

 3)格付け会社フィッチの見方「デフォルト国の数は過去最高」を予想
  ・2020年は複数の国が今後も、デフォルト(債務不履行)する国が過去最多となる公算が大きいとの見方を示した。
  ・既にアルゼンチン、エクアドル、レバノンの3ヶ国が債務不履行。
  ・2020年1~4月で「格下げ」された国は最多の29ヶ国に達す。

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

■II.中国株式市場
●1.中国は米国の足元を見て、通商合意「第1段階」の見直し求める声(環球時報:中国共産党系)
 1)米中の通商合意「第1段階」の合意の際に、中国は妥協した。

 2)しかし、(1)米経済の落ち込み (2)今年の米大統領選挙 を踏まえ、「合意打ち切りが中国の利益にかなう」と指摘。

 3)「合意の全てがやり直しとなれば、米国に貿易戦争を再開する余裕などない」との見方を示した。

●2.企業動向
 1)中国国営の石油最大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ、中国石油)の1~3月期決算
  ・前年同期比で売上高▲14.4%減少、純利益は約1,550億円の黒字から約▲2,450億円の赤字に転落した。
  ・今後の見通しは不安定な状況が長引くと予想。

■III.日本株式市場
●1.日経平均の堅調要因は(1)日銀による過剰マネー(2)緊急事態宣言の一部解除を好感
 1)PER 18.32倍に急伸と割高に、主要因はEPSの下落と日経平均株価の上昇
       3/18    5/12
  PER  10.63倍  18.64倍(+75.3%増)
  EPS  1,566円  1,092円(▲30.2%減)
  (注)PER:株価収益率 EPS:1株当たり利益

 2)日経平均VI(恐怖指数)は5/12 26.38と、3/16の60.67から低下したが、まだ注意を継続したい。

 3)日経平均が上昇する最近の条件
  ・(1)野村の買い(2)米国株の上昇(3)短期筋のCTA(投資顧問)の買い仕掛けが揃った時。
 
 4)海外投資家の先物・現物は昨年までと違って、年初からの売り基調継続は変わらず。
  ・日本株を買い難い理由
  (1)オイルマネーは原油価格の低下で、国家財政が苦境にあり、買いの期待ができず。むしろ、売却のスタンスを継続。
  (2)海外の長期投資家にとって、日本の成長性が各国と比べて低いため、投資し難い。
  (3) 米国のGAFAMのような成長企業が日本は少ない。
   (注)グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど。
  (4) PERが高く割高感があるため、買い難い。

 5)日本株の堅調も米国株式に連動したものであり、米国株の転換点に注意したい。

●2.サウジがコロナ対応で緊縮策、付加価値税率を3倍の15%に上げ ⇒ 財政赤字で株売却か
 1)サウジアラビア政府は、(1)新型コロナウィスの感染拡大と(2)原油価格急落に、対応するため緊急措置(規模は総額1,000億レアル、約2兆8,500億円)を発表した。

 2)緊急措置内容
  (1)付加価値税率を従来の3倍の15%に引き上げ。7月1日実施。
  (2)政府職員の生活費手当の撤廃。6月実施。
  (3)「ビジョン2030」含め資本支出計画の一部が中止・先送り。

 3)財政赤字の補填で、海外投資の株式売却の可能性高まる。日本株を大量売却する恐れ。

●3.日本の半導体部材メーカーの日本回帰を促すため、世界大手半導体の米インテル、台湾TSMCを日本に誘致する外資誘致プロジェクトを発足(ダイヤモンド社)
 1)2019年度予算1,100億円には、ポスト5G(第5世代移動通信システム)情報通信システム基盤強化事業が計上され、そのなかに「先端半導体製造技術の開発」の項目があり、日本にはない先端性を持つロジック半導体製造技術開発用の予算を使って「外資半導体メーカー誘致資金」の活用ができる。

●4.企業動向と決算
 1)SUBARU   群馬の工場再開も生産は通常の半分程度に。
 2)三越伊勢丹   2020年3月期の最終赤字▲110億円。新型コロナの影響。
 3)アサヒ     1~3月期営業利益は▲44.5%減(前年同期比)の+129億円。
          来期は未定。
 4)トヨタ     決算&来期見通し   売上高 (前年比) 営業利益  (前年比)
          2020年3月期決算 29.9兆円 ▲ 1%減  + 2.4兆円  ▲ 1%減
          2021年3月期予想 24    ▲19.8  +0.5    ▲79.5
 5)資生堂     1~3月期の最終損益は+14億円と前年同期比▲95%減と大幅減少。
 6)ダイキン    2020年3月期決算の営業利益は、前年同期比▲3.9%減の+2,655億円。
          2020年9月中間決算の営業利益は前年同期比▲76%減の見通し。
 7)スクリン    2020年3月期決算の営業利益は前同期比▲57.6%減。
          2021年3月期の予想は未定。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)
  ・6981 村田製作所   5G関連の電子部品
  ・6367 ダイキン    エアコンの製品・販売に強み
  ・6758 ソニー     半導体が好調

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