記事を印刷する | ウィンドウを閉じる

新型コロナで苦境の映画館が猛反発、『トロールズ』デジタル配信1億ドルの裏で…

2020-05-01 08:46:18

新型コロナウィルスの感染拡大でアメリカの映画館が閉鎖され、新作映画は公開が延期されたり、デジタル配信が前倒しされている。写真:『トロールズ ミュージック★パワー』 (C)A UNIVERSAL PICTURE (C)2020 DREAMWORKS ANIMATION LCC.ALL RIGHTS RESERVED.

新型コロナウィルスの感染拡大でアメリカの映画館が閉鎖され、新作映画は公開が延期されたり、デジタル配信が前倒しされている。写真:『トロールズ ミュージック★パワー』 (C)A UNIVERSAL PICTURE (C)2020 DREAMWORKS ANIMATION LCC.ALL RIGHTS RESERVED.

 新型コロナウィルスの感染拡大でアメリカの映画館が閉鎖され、新作映画は公開が延期されたり、デジタル配信が前倒しされている。通常であれば劇場公開開始からデジタル配信までの期間を3ヵ月空けなくてはいけないルールだが、劇場公開と同時にデジタル配信する作品も登場した。

 ・新型コロナで動画配信が急拡大、ディズニー+は1億6700万人Netflixを猛追

 アニメ『トロールズ ミュージック★パワー』で、全米で4月10日に「プレミアムVODレンタル」(48時間のレンタルで19ドル99セント)が始まった。現地時間の4月28日、ユニバーサルは『トロールズ』が配信後約3週間で1億ドルを売り上げたと発表した。1億ドルで大ヒットといわれる興行収入に匹敵する数字だ。

 NBCユニバーサルのジェフ・シェルCEOはウォール・ストリ−ト・シャーナル紙のインタビューで「『トロールズ』の結果は期待を上回るもので、プレミアムVODの可能性を証明してくれた。映画館が再開後も、新作を劇場公開と同時にデジタル配信する」と語った。

 実は前作の興行収入1億5370万ドルには届かなかったものの、ユニバーサルの取り分は大きい。映画会社側のVODの取り分は売り上げの80%といわれ、『トロールズ ミュージック★パワー』は8000万ドルに相当する。一方、興行収入では映画会社の取り分は半分なので、1作目の取り分は7700万ドル。映画会社にとってVODの利益率は高い。

 一方、「映画館が再開後も、新作を劇場公開と同時にデジタル配信する」としたユニバーサルに対し、猛反発しているのが映画館だ。劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会(NATO)は声明を発表。「『トロールズ』の好調ぶりは家にこもっている多くの人たちが娯楽を求めている表れで、映画の視聴嗜好が(劇場から配信へと)変化している表れではありません。また配信の好調ぶりはユニバーサルが劇場公開向けに行った宣伝に助けられており、通常の配信タイトルとは違います」。

 NATOよりも強い態度に出たのが、全米最大のシネコンチェーンAMCだ。今後ユニバーサル作品を上映しないと発表した。AMCのアダム・アロン会長兼CEOはユニバーサル・フィルムド・エンタテインメント・グループのドナ・ラングレイ会長に書簡を送り、「(新作を劇場公開と同時にデジタル配信する)リリース方針の変更は受け入れがたい。アメリカ、ヨーロッパ、中東にあるAMCの映画館全てでユニバーサル作品を上映しない」と記している。

 ワーナー・ブラザースはアニメ『弱虫スクービーの大冒険』を劇場公開せずに5月15日にアメリカとカナダでデジタル配信する。レンタルが19ドル99セント、購入が24ドル99セント。元々映画会社側は劇場公開からデジタル配信までの期間を短縮するよう劇場側に求めてきた。ワーナーの動向次第では、ユニバーサルのように映画館側からの反発を引き起こしたり、映画会社のデジタル配信強化の動きが加速するかもしれない。(文:相良智弘/フリーライター)

ムビコレ

© Copyright Zaikei Shimubun 2020 All rights reserved.