記事を印刷する | ウィンドウを閉じる

相場展望2月17日号 米国株急上昇vs日本株鈍い動き、その理由は?

2020-02-17 09:53:07

・米国株急上昇vs日本株鈍い動き、その理由は?
・良い情報には敏感に上昇、悪い材料は無視
  ⇒ これが金融相場
  ⇒ 悪材料に反応し始めると怖い相場に

■I.米国株式市場
●1.米国株式市場の動向
 1)2月初めから14日までNYダウは+1,140ドル(4.0%)と大幅高を演じた。
  (日経平均は+482円(2.1%)と、NYダウと比べ上昇幅が小さかった)

【前週は】相場展望2月10日号 金融相場が、脆弱な実体市場を支える株式市況続く

●2.米国株式市場の強み
 1)米国市場の最大の支援者(1)トランプ大統領 (2)パウエルFRB議長の存在。

 2)巨大ハイテク企業であるGAFAが株式市場を強力に牽引するエンジン役。
   GAFA:グーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン

 3)世界中から運用資金を集められる力。

■II.中国株式市場
●1.中国が抱える困難な課題
 1)新型ウイルスの流行が拡大中

 2)米国との通商対立もまだ解決していない

 3)多くの銀行が資本不足で、経済の成長支援がままならない
  ・2020年の中国経済の成長率は30年ぶりの低い伸びで、銀行は既に記録的な貸し倒れに苦しんでおり、遥かに深刻な脅威が銀行システムを飲み込みつつある。

●2.中国、最悪の経済シナリオに現実味
 1)UBSの予測
  (1)2019年末時点の経済成長率は6.0%。
  (2)2020年1~3月期の経済成長率は3.8%に急減速。
  (3)2020年通期
   ・ウイルスが3ヵ月以内に封じ込めると、5.4%。
   ・感染が長期化した場合は、年間成長率は5%を割り込む。

 2)ゴールドマン・サックスの予測
  (1)2020年1~3月期は4.0%。
  (2)2020年通期は5.5%。

 3)格付大手S&Pグローバル・レーティングの予測
  (1)2020年の通期成長率を、従来の5.7%から5.0%に大きく引き下げた。

 4)米ピーターソン国際研究所の予測
  (1)2020年1~3月期は4.0%。

 5)JPモルガンの見方
  (1)2020年1~3月期は1.0%。

 6)米セントルイス連銀のブラード総裁は11日、中国経済は新型コロナウイルス感染拡大への対抗措置(都市封鎖・交通遮断・自宅隔離・休日延長など)で、2020年上期は「目に見えて減速する」との見方を示した。
  また、米2年国債利回りの低下は、米経済に対する疑念ではなく、むしろ「中国を発生源とする新型コロナウイルスが世界経済に及ぼすリスクを反映している公算が大きい」と述べた。

 7)格付会社S&Pが中国の格下げの可能性あり、との報道があった。

●3.新型肺炎の影響
 1)中国、春節期間の旅行者は新型肺炎の感染拡大で▲40%減少
  ・中国・交通運輸省が9日発表
  ・中国の大半の省・市が、新型ウイルスの拡散を抑えるため、休暇期間を9日まで1週間延長していた。
  ・中国の出稼ぎ労働者は約2億8,800万人と、労働人口の3分の1を占める。ただ、各地で実施の移動制限のため、連休からのUターンは進んでいない。北京では居住地域によっては数日間の自宅待機が義務付けられており、「人材の確保が難しい」という。

 2)中国の物価高騰
  ・白菜1個が1,000円と春節前の3倍、ダイコンとキュウリは2倍の値。
  ・新型肺炎による肺炎の感染拡大で、中国の生産や物流が滞って物価が急騰。
  ・1月の消費者物価指数(CPI)上昇率が5.4%と、8年3ヵ月ぶりの高水準。

 3)中国の1月自動車販売は前年比▲18%減少
  ・中国の自動車業界団体の中国汽車工業協会は14日、新型コロナウイルスの影響で上半期の国内自動車販売が▲10%以上減少する見通しを示した。

 4)世界の航空会社の損失、「2003年のSARS」と同レベルの見通し
  ・世界の航空会社30社が中国便の運行を一時停止。
  ・SARSは、60億ドルの損失をもたらした。
  ・アナリストは、感染拡大の収束で、航空需要は急速に回復と述べた。

 5)米WTI原油価格は、中国等の需要減の懸念で1年ぶり安値の49ドル台

続いて、「日本株式市場」の分析と「注目銘柄」へ

■III.日本株式市場
●1.日本株市場のコメント
 1)新型肺炎の拡大による不透明感は根強く、海運や非鉄金属など景気敏感株の売りが目立つ。

 2)決算発表が本格化し、業績が低調な銘柄が売られて、相場の重荷に。

 3)1株利益(EPS)は1,621円(2月10日)まで急低下したため、PERが15倍まで買われたとしても24,315円が天井かもしれない。これ以上の上値追いはリスキーだが、金融相場の流れには勝てない局面もあり得る。

●2.企業業績
 1)2020年3月期の純利益予想は、2019年11月時点と比べ▲1.6%の減益で前期比▲8.4%に下方修正。加えて、新型肺炎で更なる下方修正の可能性が高い。

●3.日経平均予想
 1)1株当たり利益(EPS)と株価収益率(PER)の推移
             EPS    PER    日経平均
    2019年1月04日  1,763円  11.09倍  19,561円 
    2020年2月13日  1,622円  14.69倍  23,827円

 2)上記から、企業利益の低下にもかかわらず、日経平均株価は米国株高に連動して上昇していることが見て取れる。

 3)米国株の強みは
  (1) アップル、アマゾン、グーグルなどGAFA銘柄の巨大成長企業が存在し、米国株式市場を牽引している。
  (2) 強力な自社株買い(2018年度で約77兆円)が株価を押し上げている。
  (3) 米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和策の支援がある。

 日本株の現状は
  (1)日本を大きく牽引する新たな成長企業が見当たらない。
  (2)自社株買が増加しているが、米国の規模に比べると2019年で4.2兆円と少額で力不足。
  (3)日本銀行による、利下げ余地が無く、更なる金融緩和は望めない。
  (4)新型肺炎が炙り出した日本経済の問題点
   i.高い対中輸出依存度(輸出総額の19%で第2位、第1位は米国)
   ii.外国人観光客の30%が中国(インバウンドへの大きな打撃)
   iii.消費増税でふらつく個人消費

   ⇊

 つまり、
  (1)日本株は、外国人が買わないと上昇しない
  (2)米国株高に連動しないと日本株は上昇できない

   ⇊

 結果として、
  (3)日本株は2018年1月以降の2年余りの間で、24,300円を超えられない
    2018年1月23日  2018年10月02日  2020年1月20日
     24,124円      24,270円      24,083円
   いわゆる『三尊』を形成しており、チャートは次なる下落とも読める。短期3ヵ月間で見ても『三尊』となっている。
    2019年12月17日  2020年1月20日  2020年2月12日
     24,066円      24,083円      23,861円

 日本株の予想
  (1)24,000円程度が天井圏とすると、
     2018年12月25日   2020年1月20日 上昇幅
     19,155円    ⇒ 24,083円    +4,928円
  日経平均予想底値  2月14日比
   i.下げ幅▲38.2%の場合 ⇒ 22,201円   ▲1,882円の下落
   ii.下げ幅▲61.8%の場合 ⇒ 21,038円   ▲2,649円の下落
   iii.下げ幅▲76.4%の場合 ⇒ 20,318円   ▲3,369円の下落
  (2)NYダウは金融相場で3万ドルはあり得るが、日経平均3万円説は無い。
  (3)日経平均が24,000円に接近すると反落するパターンが続いているなか、外資系短期筋は先物で高水準の買いポジションのため、気が抜けない。


■IV.注目銘柄
 ・3753 フライト   電子決済端末や決済アプリを展開。事業が急成長。
 ・1925 大和ハウス  不祥事を嫌って売られただけであり、回復期待。
 ・6998 リクルート  ハイテク企業にとして成長中。

執筆:中島義之(なかしま よしゆき) 

© Copyright Zaikei Shimubun 2020 All rights reserved.