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健常者向け持続血糖測定器に健康改善の根拠なし、測定の遅れが誤解や不安を招く可能性

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最近、ジムなどで腕の後ろに円盤状のセンサーを装着している人を見かけたなら、それは持続血糖測定器(CGM)かもしれない。2026年8月4日、スウェーデンの研究者らがこの問題を体系的に検討したレビューがJAMA Internal Medicine誌に掲載された。その結論は明確で、糖尿病のない人がCGMを装着しても健康が改善したり病気を予防したりするという科学的根拠はなく、機器に内在する測定誤差が健常者に誤解を招く測定値を示す可能性があるというものだ。
■調査結果:健常者への健康改善効果は「根拠なし」
ヨーテボリ大学のサールグレンスカ・アカデミーとサールグレンスカ大学病院の研究チームが主導したこのレビューは、JAMA Internal Medicine誌の依頼を受けて実施された。同誌がこの種のエビデンス統合を依頼するのは一般的ではなく、臨床文献に検討すべき空白があることを示している。研究チームは、糖尿病のある人とない人の双方について、CGMの使用に関する入手可能な臨床エビデンスを統合した。研究結果の全文はヨーテボリ大学から公開されている。
糖尿病のない人についての結論は明確だった。研究チームは、持続血糖測定が健康上の転帰を改善するというエビデンスを見いだせなかった。一方、2型糖尿病患者については事情がより複雑で、CGMは疾患の進行を防ぐとはみられないものの、毎日の指先穿刺検査の負担を軽減し、特に低血糖リスクが高い患者ではHbA1c(ヘモグロビンA1c)を一定程度低下させることが示されている。
レビューの著者の一人で、ヘレスタッズ・プライマリ・ケア・センターの一般開業医でもあるMinna Johansson准教授は、マーケティングとエビデンスの隔たりについて率直に語った。「この技術は、特定の患者群にとって非常に価値がある。しかし、何らかの利益をもたらすのか、あるいは有害となる可能性さえあるのか、まったく分かっていない集団での使用が増えている。この技術を販売する企業は、糖尿病のない人の健康を改善するというエビデンスがないことを、もっと明確に開示すべきだと考えている」と、同氏は大学のプレスリリースで述べた。
■なぜCGMは健常者の血糖変動を誤って示すのか
ウェルネス目的のCGMが健常者に誤解を与え得る具体的な理由がある。これは特定製品の欠陥ではなく、この技術カテゴリー全体に避けられない性質である。
現在市場に出回っているすべてのCGMは、皮膚のすぐ下で脂肪細胞を取り囲む体液である間質液(ISF)中のグルコース濃度を測定する。健常な消費者向けに販売されている市販モデルのDexcom SteloやAbbottのFreeStyle Libre Lingoも同様だ。間質液中のグルコース濃度は血液中のグルコース濃度そのものではない。間質液の値が血糖値の変化を反映するまでには、グルコースが毛細血管壁を通って移動する必要があり、5〜10分の生理的な遅れが生じる。バース大学の研究者らによると、この遅れが健常な成人における体系的な過大評価の原因となる。
1型糖尿病を管理している人にとって、この遅れは大きな問題になりにくい。正常範囲内の厳密な数値を追うのではなく、変化の方向や極端な値を監視しているからだ。しかし、ある食事が「有害な」血糖値の急上昇を引き起こしたかどうかを判断しようとする健常者にとっては、この遅れが重要になる。代謝が正常な人では、食後に血糖値が急上昇しても、その後すばやく低下することがある。その場合、血糖値がすでに元の水準に戻った後も、間質液では「閾値を超えた」状態が続く。このためCGMは、血液中では実際に生じていない長時間の高値を示すことになる。
2025年のバース大学の研究では、この問題が直接検証された。研究チームは健常な参加者を対象に、Abbott FreeStyle Libre 2の測定値と、基準となる指先穿刺による血糖検査の結果を比較した。バース大学の研究者らによると、CGMは、参加者のグルコース値がDiabetes UKの定める血糖閾値を上回っていた時間を、指先穿刺検査と比べて400%近く過大評価した。同じ研究では、丸ごとの果物がCGMでは中GIまたは高GI(グリセミック指数)の食品に分類された一方、指先穿刺検査では低GIと判定された。バース大学で栄養・代謝学を研究するシニア著者のJavier Gonzalez教授は、「健常者がCGMに依存すると、不必要な食事制限や不適切な食品選択につながる可能性がある」と結論づけている。
これは、単に性能の高い製品を開発すれば解決できる問題ではない。間質液の測定値に生じる遅れは、人体内でグルコースが移動する仕組みに由来する物理的な性質である。ブランドや価格を問わず、酵素式CGMである限り、この影響を免れることはできない。
■健康効果の根拠がないまま約1兆8300億円規模へ成長する市場
こうした問題が指摘される一方、ウェルネスCGM業界はデジタルヘルス分野で特に成長の速い領域の一つとなっている。DataInteloの市場調査レポートによると、世界のウェルネスCGM市場は2025年に38億ドル(約6004億円、1ドル=158円換算)と評価され、年平均成長率13.2%で成長し、2034年には116億ドル(約1兆8328億円、同レート換算)に達すると予測されている。
規制環境の変化が、この成長を後押しした。2024年3月、FDA(米食品医薬品局)はDexcom Steloについて、インスリンを使用していない成人向けとして初となる処方箋不要のCGMとして販売を許可した。これにより、対象となる成人は処方箋なしで購入できるようになった。Abbottも2024年6月、「全体的な健康とウェルネスの向上を目指す一般消費者」向けに設計したLingoバイオウェアラブルについて、FDAから販売許可を取得した。
サブスクリプション型のプラットフォームは、このハードウェアを基盤にビジネスモデルを構築した。NutriSense、Levels Health、Signosはそれぞれ、継続的なグルコースデータとコーチングを組み合わせ、月額料金を支払う利用者に代謝を自在に管理する手段を提供すると訴求してきた。2026年6月、DexcomはNutriSenseを買収し、そのウェルネスコーチングプラットフォームを自社のエコシステムに組み込む計画を発表した。これはCGM市場の最大手メーカーが、エビデンスの有無にかかわらず、糖尿病のないウェルネス目的の利用者を中核的な成長分野とみていることを示すものだ。MedTech Diveは、その翌日にこの買収について報じた。
ソーシャルメディアも市場拡大を後押ししてきた。インフルエンサーはCGMを「長寿のための裏技」や「認知パフォーマンスを最大化する」ためのツールとして宣伝してきたが、こうした主張を裏付ける査読済み研究はない。
■データ過多が引き起こす健康不安と医療リソースの圧迫
測定誤差に加え、スウェーデンの研究チームは、臨床現場ですでに表面化している別の懸念を挙げた。CGMが生成するデータが、それを解釈する枠組みを持たない健常者に、実際の心理的負担をもたらしているという問題だ。
血糖値は、食事、運動、ストレス、睡眠などに応じて一日の中で自然に変動する。1型糖尿病を管理している人にとっては、一つひとつの測定値が重要である。しかし健常者の場合、同じ測定値が、異常を示していないにもかかわらず、警戒すべきものに見えることがある。とりわけ、間質液との時間差があるセンサーの値を誤って解釈した場合に、その可能性が高まる。2025年10月に発表された横断研究では、糖尿病のないCGM利用者の3分の2以上が、機器に表示された高いグルコース値を見たことで、2型糖尿病を発症するのではないかという不安を感じたと回答した。若年成人と肥満のある人で、心理的苦痛が最も大きかった。
研究者や臨床医は別途、健常者によるCGMの使用が、強迫的な食事記録や食生活の硬直化を助長する可能性も指摘している。一部の栄養学者は、食事の選択が全体的な栄養バランスではなく、グルコース反応に左右されるようになることを、オルトレキシア傾向と関連づけている。オルトレキシア・ネルボーザは、NEDA(全米摂食障害協会)により「健康的な食事」への強迫的な執着を特徴とする摂食障害と説明されており、1997年に医師のSteven Bratmanが命名した。DSM-5では正式な疾患として認められていないが、強迫性障害(OCD)スペクトラムの行動と関連し、栄養失調や社会的孤立につながる可能性がある。
Johansson准教授は、自身の診療でもこの状況を目にしている。「持続血糖測定器は、解釈の難しい膨大な量のデータを生成する。そのデータが健康の改善につながるかどうか分かっていないにもかかわらず、測定値の意味を理解するために医療機関を受診する健常者がすでにいる。利用が増え続ければ、より大きな医療ニーズを抱える患者に充てるべき時間や資源が奪われるおそれがある」と、同氏は大学に語った。
■科学的根拠が支持する用途と健常者が取れる選択肢
このレビューは、CGMという技術そのものが悪いと主張しているわけではない。インスリン投与量を調整し、生命を脅かす低血糖を避けるためにグルコース値を継続的に追跡する必要がある1型糖尿病患者にとって、CGMには確立された臨床的価値がある。2型糖尿病患者、特に低血糖リスクが高い患者でも、疾患の進行を防ぐとはみられないものの、毎日の指先穿刺検査の負担を軽減し、長期的な平均血糖の指標であるHbA1cを一定程度低下させる。
ヨーテボリ大学の研究者らが示しているのは、良い技術と悪い技術の区別ではなく、効果を裏付けるエビデンスがある集団と、そうしたエビデンスがない集団の区別である。2026年6月の米国糖尿病学会(ADA)学術集会で発表されたDexcomのCONNECT試験では、インスリンを使用していない2型糖尿病の成人において、CGMの使用により、通常ケアと比べて6カ月後のHbA1cが0.9%低下したというリアルワールドデータが示された。この結果は、CGMのエビデンスがインスリンを使用していない2型糖尿病患者にも広がることを示している。しかし、糖尿病や糖尿病予備群と診断されたことのない健常な成人は、このエビデンスの対象に含まれない。
健常な成人には、空腹時血糖検査とHbA1c測定という既存の臨床検査がある。これらには数十年にわたって検証されてきた判定基準があり、費用はCGMのサブスクリプションの一部で済む。また、専門家による継続的な解釈が必要となる大量のデータを生成することもない。医師や認定糖尿病ケア・教育スペシャリストであれば、検査結果を患者の状況と併せて評価できるが、CGMセンサー自体にはそれができない。
ジョンズ・ホプキンス大学の研究者であるMichael FangとElizabeth Selvinは、この点を明確に指摘している。どのグルコース変動に対して、どのような対応を取るべきかというCGMデータの解釈に必要な臨床情報は、すべて糖尿病患者を対象として構築されたものであり、そのまま健常者に適用することはできない。Selvinは、糖尿病のない人がCGMでグルコース値を監視したり、その値を操作しようとしたりすることで健康が改善するかどうかは、分かっていないと述べている。
スウェーデンの研究チームの要求は明快だ。CGMメーカーは、自社製品が糖尿病のない人の健康を改善するというエビデンスがないことを明確に開示すべきだとしている。こうした開示が標準化されない限り、CGMを「長寿ツール」や「代謝オプティマイザー」として宣伝する行為は、糖尿病患者向けに設計されたセンサー構造と、健常者の測定値を誇張し得る時間差を持ち、健康上の利益を示す公表済みエビデンスがない医療機器を販売する、数十億ドル規模のビジネスということになる。しかも、常時利用する場合のサブスクリプション料金は、年間3500ドル(約55万3000円、1ドル=158円換算)を超える可能性がある。
■注目ポイントQ&A
●糖尿病のない人が持続血糖測定器(CGM)を使用すると、健康が改善するという科学的根拠はありますか?
ありません。2026年8月4日にJAMA Internal Medicine誌に掲載されたヨーテボリ大学の研究者らによるレビューでは、糖尿病のない人がCGMを使用することで健康が改善したり、病気を予防したりするという科学的根拠は見つかりませんでした。同誌の依頼によって実施された、この問題に関する初のエビデンス統合であり、糖尿病のない集団についての結論は明確です。
●なぜCGMは健常者のグルコース値を過大評価するのですか?
Dexcom SteloやAbbott Lingoなどの市販機器を含む現在のCGMは、血液中ではなく間質液(ISF)中のグルコース濃度を測定します。血液中のグルコースが毛細血管壁を通って間質液に反映されるまでには、5〜10分ほどかかります。健常者では、食後に上昇した血糖値が比較的早く元の水準に戻っても、間質液では高い値がしばらく続くことがあります。2025年のバース大学の研究では、Abbott FreeStyle Libre 2が、Diabetes UKの血糖閾値を上回っていた時間を指先穿刺検査と比べて400%近く過大評価しました。この時間差は製品固有の欠陥ではなく、現在のCGMに共通する測定方式上の限界です。
●糖尿病がなくても、CGMの装着によって不安が生じる可能性はありますか?
はい。その可能性は研究で報告されています。2025年10月に発表された横断研究では、糖尿病のないCGM利用者の3分の2以上が、機器に表示された高いグルコース値を見たことで、2型糖尿病を発症するのではないかという不安を感じたと回答しました。若年者と肥満のある人で、心理的苦痛が最も大きくなっていました。ヨーテボリ大学の研究者らも、食後に誰にでも生じる正常なグルコース変動が警告サインとして誤って解釈され、健常者による不要な受診や、過度に制限的な食生活につながる場合があると指摘しています。
●健常な成人が血糖に関する健康状態を確認するには、何を利用すべきですか?
空腹時血糖測定とHbA1c検査という標準的な臨床検査には、糖尿病予防研究で長年使われてきた検証済みの判定基準があります。比較的安価で、かかりつけ医などを通じて受けることができ、継続的に生成される大量のデータを解釈する必要もありません。糖尿病予備群、家族歴、妊娠糖尿病の既往といった特定のリスク要因がある人については、臨床医が適切な検査頻度を助言できます。こうしたリスク要因がない人の場合、CGMのサブスクリプションは、エビデンスに裏付けられた健康上の知見を加えないまま、費用とデータへの不安を増やすことになります。ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らも、CGMが示すデータと、健常者がそのデータに基づいて意味のある行動を取れるかどうかとの間に隔たりがあると指摘しています。
元記事: Wellness CGMs Mislead Healthy Users: JAMA Review Finds Zero Health Evidence
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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