Appleの次期AirPodsは今年9月登場か、カメラ非搭載モデルが先行する可能性

2026年8月4日 15:12

印刷

記事提供元:Tech Times

Appleは次世代AirPods2モデルを並行開発中とされる。写真は旧世代のAirPods。Photo by Dagny Reese on Unsplash

Appleは次世代AirPods2モデルを並行開発中とされる。写真は旧世代のAirPods。Photo by Dagny Reese on Unsplash[写真拡大]

Appleは次世代AirPodsの2モデルを、それぞれ異なるスケジュールで開発している。今秋に消費者の手に届く可能性が高いのは、カメラを搭載しないモデルだとみられる。これは、AppleのAIセンサー搭載イヤホンがいつ登場するかを巡る、ここ数カ月の報道を捉え直す情報だ。

BloombergのMark Gurman氏は8月2日付のニュースレター「Power On」で、コードネーム「B790」と呼ばれる別のAirPodsモデルが、広く報じられてきたカメラ搭載モデル「B798」よりも開発が進んでおり、早ければ2026年中に発売する製品としてAppleの社内ロードマップに記載されていると明らかにした。B790への言及は、すでに配布中のiOS 27ベータ版のコードにも現れている。未発表製品としては、ソフトウェア側の準備が異例なほど進んでいることになる。

カメラ搭載版が登場するまでAirPodsの買い替えを待っていたユーザーにとって、この報道は判断を変える材料となる。Appleが2026年9月に投入する可能性があるのは、話題を集めてきたVisual Intelligence対応ウェアラブルではなく、主にオーディオ機能を強化したモデルとみられるためだ。

■Appleは社内で競合製品を並行開発している

Appleが複数案を並行して開発する手法は社内では珍しくないが、社外では必ずしも十分に理解されていない。Gurman氏は8月2日付のニュースレターで、「Appleは社内で同じ製品の競合バージョンを作ることで知られている」と説明している。B790は、カメラ搭載AirPodsのプロジェクトにこの手法を適用した結果だという。

カメラ搭載モデルのB798は、Gurman氏が2024年初頭に初めて報じて以来、注目を集めてきたプロジェクトだ。当初は2026年前半の発売が予定されていたが、カメラの機能に必要な強化版Siriと、ユーザーの周囲にある物体を識別する視覚AIモデルの双方がまだ準備できていないとAppleが判断したため、計画が遅れたとされる。現在は2027年後半の発売が目標と報じられており、20周年記念iPhoneおよび第2世代の折りたたみ式iPhoneと同時期になる可能性がある。

一方、B790の開発は並行して進められてきた。開発者のSam Henri Gold氏は、Gurman氏のニュースレターによってこのモデルが注目される前の2026年7月に、iOS 27ベータ2からB790への言及を発見している。配布中のベータ版コードにB790への記述が含まれていることは重要だ。ソフトウェアエンジニアが特定のハードウェアを対象とした製品版向けiOSコードを作成していることは、その製品が少なくとも社内の一定の実現可能性基準を通過していることを示唆する。

■B790の正体と予想される位置づけ

Gurman氏はB790のハードウェア仕様を明らかにしておらず、Appleもコメントしていない。しかし、現時点で得られている情報は、B790がカメラ搭載AIウェアラブルではなく、既存モデルを段階的に強化した製品である可能性を示している。

最も明確な手掛かりは、社内モデル番号上の位置だ。2025年9月に発売されたAirPods Pro 3の社内呼称は「B788」である。B790はAppleの社内番号体系でわずか2番後に位置しており、まったく新しい製品カテゴリーではなく、AirPods Proの別バリエーションであることを強く示唆する。AppleInsiderはGurman氏の8月2日の報道を基に、B790は「おそらく現行モデルの強化版だが、カメラは搭載しない」と結論づけている。

Instant Digitalとして知られる中国のリーカーも、2026年のAirPods Proについて、2025年に登場したAirPods Pro 3より高価な上位モデルになると説明し、2つのグレードが存在するという見方を補強している。これは、一方が他方を置き換えるのではなく、最終的に両モデルが同時に販売される可能性を示唆する。ただし、Instant Digitalの主張は独立した検証が行われておらず、補助的な情報として扱う必要がある。

これとは別にGurman氏は、Appleが2グレードのAirPods 5と、新世代のH3オーディオチップを開発していると報じている。H3は、AirPods Pro 3とAirPods 4で使われている現行のH2に比べ、音質の向上と遅延の低減を実現するとされる。オーディオ処理向けに設計されたH3は、B790に搭載される有力な候補となり得る。カメラベースのVisual Intelligenceに必要な、性質の異なるコンピューティング構成を採用せずに、実質的なオーディオ性能の向上を実現できる可能性があるためだ。

■B798のLEDインジケーターが示す技術的背景

B798のハードウェアに関する、あまり注目されていない詳細からは、両製品の構成について重要な点が読み取れる。B798のプロトタイプには、視覚データがクラウドへ送信されている間に点灯するLEDが搭載されているという。MacBookの緑色のカメラインジケーターと同様の仕組みを、イヤホンの筐体に取り入れた設計だ。

このLEDは、単にプライバシー上の通知を行うためのものではない。処理方式を推測する手掛かりでもある。クラウドへの送信中にLEDが点灯するなら、B798のコンピュータービジョン推論はイヤホン内だけで完結していないことになる。視覚データがAppleのサーバーへ送信され、より高性能なハードウェアで処理された後、その結果がSiriへ返される構成だと考えられる。TechSpotによるAppleのAIハードウェアに関するまとめでも、B798のカメラは端末内で処理するのではなく、周囲を読み取って情報をSiriへ送るコンピュータービジョンセンサーとして説明されている。

この設計上の選択は、ソフトウェアの遅れだけでは説明しきれない、B798がSiriのAIモデルの完成に依存する理由を示している。クラウドとの通信を伴う推論パイプラインでは、Appleのサーバー側にある視覚認識モデルが、消費者向けとして十分に正確かつ高速で、信頼できるものでなければならない。より高性能なオンデバイスチップを搭載する場合とは異なり、イヤホン側の処理能力によって不十分なクラウドモデルを補うことはできない。

現行のAirPods Pro 3に搭載されているH2チップは、ハードウェア支援によるノイズキャンセリング、空間オーディオ処理、Bluetooth 5.3接続などを担うオーディオDSP向けのチップだ。画像信号プロセッサや、視覚推論用のニューラルアクセラレーターは搭載していない。カメラを利用するVisual Intelligenceをこの物理的制約の中で実現するには、まったく新しいチップを用意するか、推論処理をiPhoneまたはクラウドへ移す必要がある。B798ではクラウドを利用する方式が選ばれたとされるが、その方式を成立させるには、通信先に十分な性能を持つ学習済みモデルが必要となる。

これに対してB790は、オーディオに特化したH3を搭載することで、視覚処理の問題に踏み込むことなく、実質的な性能向上を実現できる可能性がある。

■矛盾する主張と2トラック開発の整合性

すべての情報が同じ方向を示しているわけではない。プロトタイプ情報を発信するKosutami氏は2026年夏の初めの投稿で、カメラ搭載AirPodsのプロジェクトは単に延期されたのではなく、一時停止されたと主張した。この主張は、iOS 27のコードから見つかった情報や、B798とB790の双方についてGurman氏が継続的に留保を付けず報じている内容と正面から食い違う。

2つの開発トラックが存在するという構図は、現時点の情報を最も矛盾なく説明できる。Kosutami氏が言及した一時停止は、2026年の発売予定から事実上外されたB798だけを指しており、B790は別の開発トラックで進行を続けていた可能性がある。この解釈は確認されていないが、配布中のベータ版コードにすでに現れている製品が同時に開発中止になったと考えるよりも、現在得られている情報との整合性が高い。Gurman氏は、いずれかのモデルの開発が一時停止されたとは伝えていない。

■4年にわたる開発と変化する周辺状況

Appleは約4年前からカメラ搭載AirPodsの開発に取り組んできた。2026年5月までに、B798のプロトタイプはDVT(設計検証試験)へ入っていた。DVTは量産前の最後から2番目に当たる工程で、量産開始に先立ち、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて検証する段階だ。

Appleのハードウェアでは、DVTは通常3~6カ月続く。その後のPVT(生産検証試験)では、組み立て工程を検証するため、より多くの台数が製造される。AirPodsのPVTは過去の例では2~4カ月続いている。このスケジュールこそが、B798を2026年中に発売するという目標が厳しすぎた理由だ。DVTに入っていたとしても、2026年秋の発売までには十分な準備期間がなかった。これに対してB790は、B798よりも「開発が進んでいる」とされており、B798が通過していない段階をすでにクリアしている可能性がある。

B798の延期が最初に報じられてからの数カ月で、プロジェクトを取り巻く状況も変化している。AppleのVisual IntelligenceフレームワークはすでにiPhone 15 Pro以降で利用でき、ユーザーはカメラを物体へ向けてSiriに質問できる。この機能は、2026年9月に提供されると予想されるiOS 27でさらに拡張される見込みだ。B798はこの仕組みをハンズフリーで利用できるようにする製品として設計されており、その基盤となるシステムは、当初の2026年という発売目標が設定された時点よりも、iOS 27では高機能になるとみられる。

Appleはまた、衣服にクリップで留めたり、ネックレスのように身に着けたりできる、カメラ内蔵AIペンダントも検討している。これは、ユーザーがスマートフォンを手に持ってかざす必要のない、周囲認識型コンピュータービジョンの別の形態だ。カメラ搭載AirPodsとAIペンダントは、必要に応じて周囲の視覚情報をSiriへ渡せるセンサーをユーザーの身の回りに配置し、スマートフォンを手に持たずに利用できるようにするという、同じ戦略的な取り組みの一部である。

■今すぐアップグレードすべきか?

現在AirPods Pro 3(B788)を所有し、カメラ搭載版を待っている場合、8月2日の報道によって待ち時間が短くなるわけではない。B798は引き続き2027年の製品とみられている。変わったのは、B798とは別の、ほぼ確実に変化の度合いが小さいAirPodsのアップデートであるB790が、2026年秋に登場する可能性が出てきたことだ。

B790がAirPods Pro 3から早期に買い替えるだけの魅力を備えるかどうかは、まだ報じられていない機能の内容次第だ。H3チップによってノイズキャンセリングが大きく改善し、音声の遅延が減り、H2では実現できなかった音質向上が得られるなら、買い替えを検討する合理的な理由になる。一方、B790が小幅な音質改善にとどまる段階的な更新であれば、AirPods Pro 3の所有者にとって買い替える理由は乏しいかもしれない。

今回の報道で明確になったのは、2026年秋にAirPodsの新モデルが登場するとしても、本体にカメラが搭載される可能性は極めて低いという点だ。食材を見てレシピを提案したり、視覚情報を使って道案内をしたり、見た物体を識別したりするAppleのAIビジョン対応イヤホンを求める消費者は、2027年後半まで待つ必要があるとみられる。この時期は、Gurman氏の最近の一連の報道で一貫している。

Appleは2026年9月に恒例の秋の製品発表イベントを開催すると予想されている。この時期のイベントでは通常、新しいiPhoneとAirPodsが同時に披露されてきた。B790の準備が整った場合、このイベントは2026年9月1日付で予定されているTim Cook氏からJohn Ternus氏へのCEO職の正式な引き継ぎと重なり、Ternus氏が最高経営責任者として臨む初の主要製品発表になる。Ternus氏はB790とB798の開発期間を通じて、AirPodsやiPhoneを含むAppleのハードウェアエンジニアリング部門を統括してきた。

■カメラ付きAirPodsを待つユーザーはどう考えるべきか

2トラック戦略は、Appleによるリスク管理だ。カメラ搭載AIウェアラブルの実現には、通常のオーディオ機能強化にはない課題を解決する必要がある。イヤホンのサイズで視覚推論を扱えるチップまたは処理パイプラインの設計、正確かつ迅速に応答できるSiriのクラウドモデルの学習、そして人の耳に装着する機器の発熱とバッテリーという制約の中で、これらすべてを実現しなければならない。

B798はこうした制約すべてに同時に直面し、さらに時間が必要になった。B790は視覚コンピューティングの課題を回避することで、より野心的な製品が成熟するまでの間にも、Appleがスケジュールに沿って実質的なアップグレードを市場へ投入できるようにする。

購入者にとって今回の報道は、Appleがカメラによる視覚認識を諦めたのではなく、製品の投入順序を調整していると捉えるべきものだ。B790は橋渡しとなる製品であり、B798がその先の目標である。

■注目ポイントQ&A

●AppleのAirPods「B790」と「B798」の違いは何ですか?

B798は、Visual Intelligenceフレームワークの一部として視覚データをSiriへ送るコンピュータービジョンカメラを搭載する、より高度なモデルです。当初は2026年の発売が計画されていましたが、2027年後半へ遅れたとみられています。

B790は、AppleがB798と並行して開発している、より小規模な機能強化を想定した別のAirPodsモデルです。B798より開発が進んでいるとされ、iOS 27のベータ版コードにも現れており、早ければ2026年秋に発売する製品としてAppleの社内ロードマップに記載されていると報じられています。B790はカメラを内蔵せず、主にオーディオ機能を強化したモデルになると広く予想されています。一定の意味を持つ新製品ではあるものの、これまで多くの報道が取り上げてきたAI視覚認識対応イヤホンとは異なります。

●なぜカメラ付きAirPods(B798)は延期され続けているのですか?

相互に関連する2つの問題がB798の開発を遅らせています。第1に、Visual Intelligenceを統合した強化版Siriと、ユーザーの周囲にある物体を識別する視覚AIモデルが、ハードウェアの開発ペースに合わせて完成していませんでした。

第2に、視覚データ送信時に点灯するLEDが示すように、クラウドベースの推論を利用する設計が採用されているとみられるため、イヤホンは正確かつ低遅延で動作するサーバー側モデルに依存します。こうしたモデルを消費者向けとして十分な水準まで学習させるには時間がかかり、ハードウェア開発だけを進めても短縮できません。

現行のAirPods Pro 3に搭載されているH2チップは、視覚推論ではなくオーディオDSP向けに設計されています。このため、カメラ搭載版には根本的に異なる処理アーキテクチャも必要になります。

●新しいモデルが発売されるまでAirPodsの購入を待つべきですか?

カメラを搭載したVisual Intelligence対応AirPodsを特に待っている場合、購入時期は2026年秋ではなく2027年後半になるとみられます。

H3チップによるノイズキャンセリングの改善、遅延の低減、音質の向上といったオーディオ面の強化で十分なら、Appleが発表する機能と価格次第で、2026年秋にB790の購入を検討する価値があるかもしれません。

2025年9月に発売されたAirPods Pro 3の所有者は、特に慎重に検討する必要があります。B790はAirPods Pro 3のすでに充実した機能と比べると、小幅な更新になる可能性があるためです。一方、AirPods Pro 2以前のモデルを使っている人にとっては、より分かりやすい買い替え候補となる可能性があります。

●Apple Visual Intelligenceとは何ですか? AirPodsではどのように機能する予定でしたか?

Visual Intelligenceは、カメラが捉えているものをSiriが解釈し、それに関する質問へ答えられるようにするAppleのフレームワークです。iPhone 15 Pro以降のモデルでは、ユーザーがカメラを対象物へ向けてSiriに質問できます。例えば、看板からレストランを特定したり、栄養表示を読み取ったり、目に見えるランドマークを基に経路案内を受けたりする使い方が想定されています。

B798は、この体験をハンズフリーにする製品として設計されていました。スマートフォンをかざす代わりに、イヤホンのカメラが低解像度の視覚データを継続的に取得してAppleのサーバーへ送り、そこでSiriの視覚モデルが処理した結果をイヤホンから返す仕組みです。

イヤホンのLEDインジケーターは、視覚データが送信されるたびに点灯し、装着者と周囲の人の双方にデータ送信中であることを知らせるプライバシー表示として機能する予定でした。

元記事: Apple’s Next AirPods Could Land This September and Probably Won’t Have Cameras

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード

関連記事