FMS 2026が8月4日開幕、キオクシアの液冷PCIe 6.0 SSDとAIメモリ階層に焦点

2026年8月4日 00:39

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メモリおよびストレージ業界の重要イベント「FMS 2026」が、8月4日(火)からサンタクララで開幕する。今年の中心的なテーマは、AI推論インフラにおけるGPUのHBMとコールドストレージの間を埋めるメモリ階層の構築だ。キオクシアの液冷対応PCIe 6.0 SSD「CM10」の初公開や、CXLベースのDRAMに関する最新の予備検証結果など、次世代AIインフラを形作る技術を巡って議論が展開される。

■FMS 2026が開幕、AIメモリ階層を巡る議論が本格化

メモリおよびストレージ業界の最重要イベントが、火曜日にサンタクララで開幕する。NANDフラッシュがデータセンターでハードディスクドライブ(HDD)を置き換え始めて以来、最も重要な局面を迎えている。「FMS: The Future of Memory and Storage 2026」は、8月4日から8月6日にかけてサンタクララ・コンベンションセンターで開催される。3日間にわたる中心的な議論は、今後10年間のAI推論インフラの構築方法を左右するものだ。具体的には、GPUの小容量で高価な広帯域メモリ(HBM)と、その背後にある膨大なコールドストレージとの間のギャップをどの技術が埋めるのか、そして誰がそのギャップから利益を得るのかという問題である。

この議論には具体的な幕開けが用意されている。キオクシアは7月30日、第10世代の332層BiCS FLASH TLCメモリを搭載した初のエンタープライズSSD「CM10」シリーズを発表した。このドライブは、従来の空冷に加えて、エンタープライズSSDとして初めて直接コールドプレート液冷に対応する製品としてFMSに登場する。この液冷機能は、単なる目新しい付加機能ではない。フラッシュストレージが、チップ1基あたり数百ワットを消費するアクセラレータを搭載したラックと同じ場所に配置されることが増える中、熱管理は帯域幅と同じくらい構造的に重要になっている。CM10のE3.Sおよび9.5mm E1.Sフォームファクタは、ファンではなくコールドプレートが排熱を担う高密度GPUポッド向けに設計された初のエンタープライズSSDである。

CM10はPCIe 6.0インターフェースを採用している。この世代では、バイナリのNRZ信号からPAM-4の4値エンコーディングに切り替えることで、レーンあたりの転送速度を64 GT/sに倍増させ、同時にPCIeの歴史上初めて前方誤り訂正(FEC)を追加している。キオクシアの前世代モデルであるCM9と比較して、CM10はシーケンシャルリード性能で最大約92%、ランダムリード性能で最大約85%の向上を実現している。ピーク時のシーケンシャルリード帯域幅は28.4 GB/sに達し、ランダムリード性能は最大629万IOPSとなる。キオクシアはCM10の価格と提供時期をまだ公表していない。現在、特定の顧客向けにサンプル出荷が行われており、火曜日からFMSの展示会場で初めて一般公開される予定だ。

PCIe 6.0市場に参入しているのはキオクシアだけではない。Micronの「9650」は2026年2月に量産を開始し、初の商用PCIe 6.0エンタープライズSSDとなった。また、Samsungの「PM1763」も7月8日に量産を開始している。CM10を際立たせているのはインターフェースの世代ではなく、商用化されている中で最も高密度なフラッシュメモリである332層BiCS10 NANDと、完成品のエンタープライズSSDではこれまで採用例のなかったコールドプレート液冷アーキテクチャの組み合わせである。

■AIサーバーにおけるPCIe 6.0採用の背景

PCIe 6.0への移行は、AI推論における特有の計算上の課題が動機となっている。大規模言語モデル(LLM)が複数のユーザーに同時に応答を生成する際、推論処理ごとに「Key-Value(KV)キャッシュ」と呼ばれるアテンションメモリを構築する。これは、以前のトークンを再処理せずに済むよう、必要な中間計算結果を保存するものだ。100万トークンのコンテキストウィンドウで動作する700億パラメータのモデルは、単一ユーザーに対して約320ギガバイトのKVキャッシュを生成する。これはNVIDIA H100 GPUのHBM容量全体の4倍に相当する。このデータはどこかに保存する必要があり、最も近い候補がNVMe SSDとなる。

一般的なエンタープライズドライブにおけるPCIe Gen 5の帯域幅は約14 GB/sであり、アクティブな推論中にこのストレージ階層との間でデータをやり取りする際のボトルネックとなる。標準的なx4ドライブにおけるPCIe 6.0の約28 GB/sという上限は、この前提を変える。ボトルネックを完全に排除するわけではないが、フラッシュストレージをコールド層の付け足しではなく、AIメモリ階層における実用的なウォーム層として活用できるようにする。エンジニアがGen 6は常に優れていると判断する前に考慮すべきトレードオフは、FECによるレイテンシのオーバーヘッドだ。前方誤り訂正は、片方向あたり約4〜8ナノ秒のレイテンシを追加する。モデルの重みの読み込みやトレーニングデータの準備といった、スループットを重視する大容量処理では無視できるレベルだ。しかし、最初のトークンが出力されるまでの時間(Time to First Token)が重要となる、レイテンシに敏感な推論パイプラインでは、このオーバーヘッドを明示的に評価する必要がある。

■1日目の基調講演:Samsung、キオクシア、NVIDIAが登壇

カンファレンスは火曜日の午前8時30分(日本時間5日午前0時30分)から、8つの会場で並行して行われる技術プログラムで開幕する。メインの基調講演は午前11時PT(日本時間5日午前3時)からMission City Ballroomで開始される。1日目午前のセッションプログラムは基調講演の前に実施され、多くのカンファレンスが1日かけて扱う以上の濃密な分析が、1時間ごとに盛り込まれている。

午前8時35分には、SanDiskのエンジニアであるVishwas Saxena氏とMukesh Kumar氏が、エッジLLM推論におけるKVキャッシュ再利用のための階層型スパンインデックスについて発表する予定だ。これは、セグメントツリー、ローリングハッシュ、前方・後方のトライ木、粗粒度のブロックレベル・ハッシュインデックスを組み合わせたアーキテクチャである。両氏の予備測定では、推論呼び出し間でトークンの範囲が移動したり、位置がずれたりする環境において、KVキャッシュの再利用率を2倍にしながら、プレフィルのレイテンシを30%削減できることが示されている。

午前8時50分には、MicronのRohan Mehta氏が、容量重視のストレージ設計と、対象を絞った各階層のアップグレードを組み合わせることで、短期的なAI推論性能と長期的な設備投資効果の両方を改善できることを示す測定データを発表する予定だ。このセッションは、HBMからNVMeに至るメモリ階層全体の階層化ヒューリスティックを取り上げる。FMS 2026全体が答えようとしている「各階層をどれだけ用意すべきか」という問いに直接関係する内容だ。

基調講演のブロックでは、キオクシアのシニアバイスプレジデントであるNeville Ichhaporia氏と、メモリ技術マーケティング担当GMのKatsuki Matsudera氏が、NVIDIAのストレージ技術担当バイスプレジデントであるJason Hardy氏とともに、CM10およびBiCS10ポートフォリオについて発表する。Hardy氏は、AIトレーニングから推論への移行が、ポッドレベルでKVキャッシュを共有するNVIDIAのCMXアーキテクチャを含め、新たなデータセンターストレージ設計をどのように促しているかを議論するとみられる。続いて、Samsung ElectronicsのエグゼクティブバイスプレジデントであるJin-Yub Lee氏が、次世代HBMとフラッシュに加え、メモリ、フラッシュ、コントローラ、ファウンドリ、パッケージングを一貫して手がける総合デバイスメーカーとしての強みを含む、メモリ中心のAIインフラ構想を発表する。

午後の基調講演では、推論の経済性に関する議論が深掘りされる。SK hynixのエグゼクティブバイスプレジデントであるChunsung Kim氏は、アクセラレータ上の3D積層DRAM、広帯域フラッシュ、CXLベースのメモリプーリングによって新たな中間層を実装し、従来のメモリ階層を拡張する階層型メモリオーケストレーションの構想を説明する。FADUの社長であるJihyo Lee氏とCEOのEhyun Nam氏は、同社のGen 6 SSDコントローラとドライブのラインアップを発表する予定だ。ファブレスのコントローラメーカーが開発した完成品のPCIe Gen 6 SSDが、展示会で初めて一般公開される。Silicon MotionのStanley Huang氏は、マルチエージェントAIワークロード向けに構築された次世代エンタープライズSSDコントローラアーキテクチャ「PerformaShape」を紹介する。

1日目のプログラムは、午後5時PT(日本時間5日午前9時)の展示会場のオープンと、午後6時PT(日本時間5日午前10時)にFMSシアターで開催されるBest of Show Awardsの授賞式で締めくくられる。

■BiCS10の332層アーキテクチャがストレージ密度にもたらす意味

キオクシアのCM10の技術的基盤は、同社のBit Cost Scalable 3D NAND積層技術の第10世代である「BiCS FLASH generation 10」だ。第8世代のチップがメモリセルを垂直方向に218層積層しているのに対し、BiCS10はCMOS Bonded to Array(CBA)アーキテクチャを用いて332層を実現している。このアーキテクチャでは、論理回路とメモリセルアレイを別々のウェーハ上で製造してから接合する。この分離により、論理層は回路に最適化された先端CMOSプロセスで構築でき、メモリアレイは密度だけに最適化できる。両方を同じウェーハ上に形成しなければならない設計に対する構造的な利点となる。

その結果、1チップあたり1テラビット、1平方ミリメートルあたり29ギガビットのビット密度を実現し、BiCS8から59%向上した。CM10シリーズは、フォームファクタに応じて1.60 TBから61.44 TBの容量で提供される予定だ。読み取り集約型モデルの耐久性は1 DWPD、混合用途モデルは3 DWPDと評価されている。DWPDは、保証期間中にドライブの全容量を1日あたり何回書き換えられるかを示す指標である。

推論インフラの観点では、密度の向上は速度の向上と同じくらい重要である。ビット密度が高まれば、ラックユニットあたり、またドライブ1台あたりに格納できるKVキャッシュの容量が増える。つまり、インフラチームは、前世代のフラッシュよりも少ない物理ドライブと、少ない電力、冷却、設置スペースで、所定のコンテキストウィンドウを支えるために必要な容量を確保できる。

■CXLのハイパースケールにおける可能性:Micronが予備結果で5〜10倍の高速化を主張

PCIe 6.0フラッシュが製品発表の話題を独占している一方、CXLコンソーシアムはFMS 2026で1トラックすべてを後援している。そこで発表されるデータは、あらゆるKVキャッシュの保存先としてNVMe SSDが最適であるという前提に疑問を投げかける。

MicronのLuis Ancajas氏は、CXL JBOM(Just a Bunch of Memoryモジュール)をMicronのFAMFSを介してNVIDIAのDynamo推論スタックに接続する、CXLベースの分離型メモリアーキテクチャの予備結果を発表する予定だ。FAMFSはファブリック接続型メモリファイルシステムであり、CXL接続DRAMを、標準的なファイルシステムの操作方法でアクセスできるウォームメモリプールとして利用可能にする。このアーキテクチャの予備結果では、HPCおよびデータセンター環境において、従来のストレージを保存先とするKVキャッシュ実装と比べ、5〜10倍の高速化が示されている。

この数値の意義は構造的なものだ。CXL接続DRAMが、実用的な規模でNVMe SSDの5〜10倍の実効KVキャッシュ性能を提供できるのであれば、エンジニアリング上の問いは「どのSSDがKVキャッシュに十分な速度を持つのか」から、「どのコンテキスト長とバッチサイズでSSDが適切な階層となり、どの条件でCXL DRAMが優位になるのか」へ移る。Samsungの研究者も、予測されたアクセスパターンに基づいてアクセス頻度の高いページをDRAMへ先回りして配置する、XGBoostベースのフレームワークを発表する。CXLコンソーシアムが主催するパネルでは、Metaのハードウェアシステムエンジニアが、本番のハイパースケール環境におけるCXLメモリの実践的な知見を共有する。

ただし、これによってAncajas氏が示す数値が確立されたベンチマークになるわけではない。企業自身が提示する予備結果であり、実際の調達判断を動かす基準となるのは、本番規模での独立した検証だ。それでもCXLに関するFMSのセッションは、CXL接続DRAMがウォームKVキャッシュにおけるNVMeフラッシュの有力な競合となるのか、それとも特定の高頻度推論パターンに適したニッチ技術にとどまるのかについて、これまでで最も明確に公の場で議論する機会となる。

■2日目のハイライト:ネオクラウドの経済性とHDDの生存戦略

水曜日のプログラムは午前8時30分に開始され、前日のセッションが示した議論を、大規模AIストレージの経済性と、メモリ階層全体でHBMの代替技術が果たす役割という2つの方向へ掘り下げる。

ZeroPoint TechnologiesのNilesh Shah氏がモデレーターを務めるパネル「Storage as a Service: Neo-Cloud Economics vs Hyperscale Control」では、ハイパースケーラーによる一体型Storage as a Serviceから、WEKA、VAST Data、DDN、Hammerspaceによるネオクラウド向けプラットフォーム、ソフトウェア定義ストレージ層、コンポーネントベンダーに至るまで、AIストレージスタック全体を整理する。根本的な問いは、AI時代のストレージモデルが形作られる中で、誰が利益率を握り、誰が性能を掌握するのかということだ。

ScaleFluxのCEOであるHao Zhong氏とNVIDIAのストレージ技術担当バイスプレジデントであるJason Hardy氏は、水曜日の主要な基調講演を共同で行う。メモリ容量がAIにおける最も重大なボトルネックの1つとなっている現状と、フラッシュストレージ、CXLメモリ、ソフトウェア定義による階層化を組み合わせることで、コストを比例して増加させることなくAIパイプラインを拡張する方法について発表する。

MarvellのバイスプレジデントであるMark Kuemerle氏の基調講演「The Accidental Architecture of AI」では、AIインフラが、意図的な設計判断としてではなく、予想外のアーキテクチャ選択をいかに自然発生的に生み出してきたか、そして業界が今後どこへ向かうべきかを考察する。別のMarvellのセッションでは、AIデータセンターにおいてHDDが経済的に不可欠であり続けるという主張が展開される。具体的には、コールドストレージ、アーカイブ、大量のトレーニングデータが置かれる大容量階層をフラッシュだけで経済的に賄うことは難しく、フラッシュが高性能階層を担うようになっても、HDDの高密度化がその存在意義を維持し続けるという内容だ。

水曜日には、午前11時30分PT(日本時間6日午前3時30分)から基調講演ステージでFMS Women in Tech Leadership Awardの授賞式も開催される。

■3日目:フラッシュがメモリになる時と「5分ルール」の再考

木曜日のプログラムは、FMS 2026で最も技術的に大胆ともいえるセッションで幕を開ける。ScaleFluxのチーフサイエンティストであるTong Zhang教授とNVIDIAのVikram Sharma Mailthody氏が、データをメモリに保持するか、ディスクに保存するかの経済的合理性を判断するために1980年代に提唱された基礎的な経験則「5分ルール」を再検討する予定だ。

オリジナルの5分ルールは、「データのページに平均して5分に1回を超える頻度でアクセスする場合、毎回ディスクから読み出すより、メモリに保持する方が安価である」というものだった。このルールを支える経済的な条件は、ストレージとメモリ技術の世代が変わるたびに大きく変化してきた。NVMe SSDがミリ秒ではなく数十マイクロ秒のレイテンシを実現し、AI推論用KVキャッシュのブロックが従来のデータベースページとは根本的に異なるパターンでアクセスされる時代において、経済的に合理的なメモリとストレージの境界をどこに置くべきかについて、定まった答えはない。このFMSのセッションは、その境界線を明示的に引き直そうとするものだ。

ScaleFluxによる木曜日午前の別のセッションでは、インフラ経済の側面からHBMのコスト上限に取り組む。Tong Zhang教授の「Breaking the HBM Cost Wall for AI Inference」は、大規模AI推論においてHBMを主要メモリ階層とする場合の経済的限界を検証し、大規模環境でのコストを削減できる代替アーキテクチャを提示する。このセッションと5分ルールの再検討を合わせると、FMS 2026におけるHBM中心のAIインフラ構想への、最も明確な問題提起となる。

3日間全体を貫くテーマは次の通りだ。Samsung、SK hynix、MicronはいずれもHBMの生産を積極的に拡大している。Samsungは2026年に約50%のHBM生産能力拡大を目標とし、SK hynixは従来の数倍規模のインフラ投資を行う方針を示している。同時に、TrendForceは2026年から2028年を「構造的なスーパーサイクル」と位置づけている。HBM4の2,048ビットインターフェースと先端NANDの多層化に伴う技術的な複雑さにより、投資が増えても世界全体のビット供給量の伸びが事実上制限されるとの見方だ。Objective AnalysisのJim Handy氏は火曜日に、ハイパースケーラーのAI支出が最終的に鈍化したときに何が起こるのか、そして過去の半導体サイクルが示すように、HBM優先のモデルが供給またはコストの限界に直面した際、市場がどのように再編されるのかを論じる予定だ。

■自動車、産業、エッジAI向けの専用トラック

火曜日から木曜日にかけて、自動車アプリケーション専用のトラックが開催される。AIがデータセンターの外に物理的に展開されるようになることで、ストレージ要件がどのように変化しているかを反映したテーマが取り上げられる。Silicon Motionのプレゼンテーションでは、ロボタクシー、自動運転車、ヒューマノイドロボットなどのフィジカルAIがストレージ要件をどう変えるかを解説する。Samsungの自動車向けセッションでは、AIエージェントによる自動化を利用した、自動車用フラッシュの機能安全およびサイバーセキュリティの枠組みを取り上げる。別のSilicon Motionのセッションでは、アクセス不能になった基板直付けストレージデバイスのファームウェアを復旧するアーキテクチャを扱う。物理的なドライブ交換が難しい自動車や産業機器にとって、実務上の重要な課題である。

■展示会場の見どころ

展示会場は火曜日の午後5時PT(日本時間5日午前9時)にオープンし、カンファレンス期間中開催される。注目される出展ブースには、Hammerspace(ブース850)、Solidigm(ブース415)、ScaleFlux(ブース519)がある。Open Standards Pavilion(ブース725)にはCXLコンソーシアムとNVM Expressの展示スペースが設けられ、水曜日にはNVM ExpressのブースでTeledyne LeCroyとSolidigmによるNVMe技術のライブデモンストレーションが予定されている。

PCIe 6.0への移行を追うエンジニアにとって、キオクシアのCM10の一般公開デモンストレーションは、3日間のプログラムで最も注目される場面となる。バイヤーやエンジニアが、332層BiCS10 NANDとコールドプレート液冷を採用したエンタープライズSSDを公の場で実際に確認し、性能を検証する最初の機会だからだ。このデモンストレーションは、プレスリリースだけでは分からない疑問にも答えることになる。すなわち、CM10で採用されたキオクシアの設計が、2027年の本番導入を見据えてGen 6ドライブを評価しているエンジニアの厳しい検証に耐えられるかどうかである。

カンファレンスは、サンフランシスコの南約37マイル(60キロメートル)に位置する、カリフォルニア州サンタクララの5001 Great America Parkwayにあるサンタクララ・コンベンションセンターで開催される。受付は毎日午前7時30分に開始される。隣接するHyatt Regency Santa Claraが公式パートナーホテルとなっている。

■注目ポイントQ&A

●FMS 2026とは何ですか?なぜAIインフラにとって重要なのですか?

FMS 2026は、第20回となるFuture of Memory and Storageカンファレンスで、AIデータセンターのメモリとストレージに携わるエンジニア、アーキテクト、調達責任者、投資家が集まる業界の主要イベントです。今年特に重要なのは、AI推論のメモリスタックを巡り、GPUに近い最速階層のHBM(広帯域メモリ)、ウォーム拡張階層のCXL接続DRAM、KVキャッシュやコールドストレージを担うPCIe 6.0 NVMeフラッシュという3つの技術アプローチが競合しているためです。FMS 2026のセッション、基調講演、製品デモンストレーションは、どの条件で各技術が有利または不利になるのか、また競争環境がどの企業に有利に働くのかを、これまでで最も明確に示す公の機会となります。

●キオクシアのCM10とは何ですか?他のPCIe 6.0 SSDと何が違うのですか?

キオクシアのCM10シリーズは、PCIe 6.0インターフェースと同社の第10世代332層BiCS FLASH TLCメモリを採用した、キオクシア初のエンタープライズSSDです。最大の特徴は、E3.Sおよび9.5mm E1.Sフォームファクタにおける直接コールドプレート液冷への対応です。エンタープライズSSDとして初の機能であり、ファンではなくコールドプレートで排熱する高密度GPUポッド向けに設計されています。CM10のシーケンシャルリード28.4 GB/s、ランダムリード629万IOPSという性能は、前世代のCM9と比較して、それぞれ最大約92%と最大約85%向上しています。キオクシアは現在、特定の顧客にCM10をサンプル出荷しています。一方、Micronの9650とSamsungのPM1763は、CM10に先立って量産を開始しています。

●KVキャッシュとは何ですか?なぜそのストレージ要件がエンタープライズSSD市場を変えているのですか?

Key-Value(KV)キャッシュは、大規模言語モデルが推論中に構築するアテンションメモリです。新しいトークンを生成するたびに長い会話の前の部分を再処理せずに済むよう、中間計算結果を保持します。100万トークンのコンテキストウィンドウで動作する700億パラメータのモデルでは、単一ユーザーのKVキャッシュが約320ギガバイトに達し、GPUのHBM容量を大幅に超える場合があります。このあふれたデータはNVMeフラッシュやCXL接続DRAMなどの別の階層に保存する必要があります。推論レイテンシやドライブ寿命を大きく損なわずにこれを大規模運用することが、FMS 2026の技術プログラムが扱う中心的な課題です。標準的なエンタープライズSSDは、セッションやテナントによって寿命の異なるKVブロックが混在し、高い書き込み増幅を生じさせるKVキャッシュ特有の書き込みパターンを前提に設計されていません。このワークロードへの対応を目的として、多数のFDPストリームや高いDWPD耐久性を備えた専用ドライブが登場しつつあります。

●CXLメモリとは何ですか?AI推論ストレージにおいてNVMe SSDとどのように競合するのですか?

CXL(Compute Express Link)は、PCIeの物理層上に構築されたキャッシュコヒーレントなメモリインターコネクト規格です。CXL JBOM(Just a Bunch of Memoryモジュール)などのCXL Type 3デバイスは、プロセッサの標準DIMMスロットが提供できる容量を超えて、DRAMをサーバーのメモリアドレス空間に追加します。標準的なロード/ストア命令でアクセスできるため、CPUによる入出力処理のオーバーヘッドを抑えられます。AI推論で重要なのは、CXL接続DRAMがナノ秒単位のメモリレイテンシで動作する一方、NVMe SSDはマイクロ秒単位のストレージレイテンシで動作する点です。MicronのLuis Ancajas氏はFMS 2026で、MicronのFAMFSファイルシステムを介して管理し、NVIDIAのDynamo推論フレームワークと統合したCXL接続DRAMにより、従来のストレージを保存先とするKVキャッシュと比べて5〜10倍の高速化を示した予備結果を発表する予定です。カンファレンスで完全な結論は出ないものの、どのコンテキストウィンドウサイズと推論バッチサイズにおいて、NVMeフラッシュがCXL DRAMより経済的に適した選択肢になるのかという議論は、大きく深まるとみられます。

元記事: FMS 2026 Opens Tuesday With Liquid-Cooled PCIe 6.0 SSDs and a Debate on AI Memory Tiers

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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