米朝番組のお得情報コーナーはアフィリエイト事業:ABC「GMA」のビジネスモデル

2026年8月4日 00:19

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記事提供元:Tech Times

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米ABCの朝の看板番組「Good Morning America(GMA)」のコーナー「Deals & Steals」は、単なる視聴者向けのお得情報ではない。放送を入り口に商品購入へ誘導するアフィリエイト・コマース事業であり、親会社ディズニーのクロスプラットフォーム広告戦略とも結び付いている。ストリーミング時代に従来型のテレビ放送が収益源を広げる仕組みを見ていこう。

■番組の裏にあるアフィリエイトの仕組み

平日の朝、コントリビューターのトリー・ジョンソンが「Good Morning America(GMA)」のスタジオに登場し、一見すると視聴者へのサービスのような情報を提供する。Aerothotic、Chomps、Color Wowといったブランドの限定割引で、価格は5ドル(約790円、1ドル=158円換算)から、多くの商品が50~80%引きとなる。7月30日には持ち運びに便利な旅行用品や夏を快適に過ごすための商品を、その前日には中小企業が扱う夏向けの快適グッズを紹介した。このコーナーは頻繁に放送され、ほぼ毎回新しいテーマが設けられ、同じ日の朝にGMADeals.comでセールが始まる。

しかし、多くの視聴者が見落としているのが、各セールページの細則に記載された「ABCとトリー・ジョンソンは、これらのリンクを通じた購入に対して手数料を受け取ります」という開示だ。これは単なる注釈ではない。この手数料こそが事業モデルの中核である。

GMAの「Deals & Steals」は、アフィリエイト要素を付け加えた消費者向けサービスコーナーではない。放送番組という外枠をまとったアフィリエイト・コマース事業である。2011年に始まり、複数のプラットフォームにまたがる事業へと拡大してきたこの取り組みは、ストリーミング時代に従来型のテレビ放送がどのように生き残ろうとしているのかを示している。

■放送局のアフィリエイト事業:手数料開示が意味するもの

アフィリエイト・マーケティングは、過去20年間にわたりクリエイターエコノミーを支えてきた。インフルエンサーが商品へのリンクを投稿し、フォロワーがそのリンクをクリックして購入すると、インフルエンサーが売上の一部を受け取る仕組みだ。これとGMAの「Deals & Steals」の構造的な違いは、突き詰めれば発信力の大きさにある。

2026年7月に放送された回のニールセン視聴率によると、ABCの朝番組は週に約270万~290万人のライブ視聴者を集めている。このコーナーへの参加に同意したブランドは、ほかでは利用できない限定割引を提供する必要があり、通常は小売価格の50%以上が割り引かれる。GMADeals.comを経由して商品が購入されるたびに、ABCとトリー・ジョンソンの双方がアフィリエイト手数料を受け取る。

このモデルは、視聴者、ブランド、ABCによる三者間の取引である。視聴者は、セール期間中はほかで得られない実質的な割引を受けられる。ブランドは、商品を直接購入できる導線を伴った全国放送での露出を得る。売り切りが保証されるか、在庫が返品される仕組みもある。ABCは広告掲載に相当する価値とアフィリエイト収益を得る。

ニュース番組にコントリビューターが出演し、選別した商品を紹介するという「編集コンテンツ」の体裁を取っていても、その商業的な構造は変わらない。これは、テレビ放送の規模で展開されるインフルエンサーコマースである。

セールは24~72時間、または在庫がなくなるまで行われる。ブランドは予想される需要に応えるため、放送前に十分な在庫を用意しなければならない。GMADeals.comは商品の入り口となるオンラインストアのような役割を果たし、追跡用のアフィリエイトリンクを通じて購入者を各ブランドのウェブサイトへ誘導する。

もう一つのデジタル事業である「ABC Secret Savings」では、コントリビューティング・スタイル・エディターのロリ・ベルガモットが別の司会者として、同様のアフィリエイトモデルを家庭用品、キッチン用品、季節商品へ広げている。こちらはAOLとYahooのプラットフォームを通じて配信されている。

■ディズニーはいかに朝のクリックを広告インフラへ変えるのか

このコマースコーナーは、ディズニーの広範な広告戦略と切り離されているわけではない。2026年5月のアップフロントと呼ばれる広告枠の先行販売イベントで、ディズニーは広告主に対し、GMAのオーディエンスをニールセンが測定した約280万人のライブ視聴者ではなく、週2,700万人と説明した。後者は、GMAの各配信チャネルにおけるデジタル動画、ストリーミング、ソーシャルメディア、アプリでの視聴を含むマルチプラットフォームのリーチである。

この捉え方が重要だ。ディズニーが広告主に販売しているのは、リニアテレビ、すなわち従来型のテレビ放送だけではない。複数のプラットフォームを統合したオーディエンスへのアクセスである。

2022年にThe Trade Deskと提携して以来、ディズニーはABC、Hulu、ESPN+、Disney+、FX、Freeformを横断する単一のプログラマティック広告購入の仕組みを運用してきた。広告主はプラットフォームごとに広告枠を購入しなくても、朝のGMA、夜のHuluストリーミング、ESPNの試合を通じて同じ世帯をターゲットにできる。

視聴者がトリー・ジョンソンの紹介を見た後にGMADeals.comのリンクを開くと、商品カテゴリーへの関心、購入意向、コンバージョン行動などのクリックデータが生成される。こうしたデータは、ディズニーの各プラットフォームで広告ターゲティングに利用されるデータ基盤へ取り込まれる。

ディズニーの経営陣は、同社の広告技術基盤を、リニア放送とストリーミングの双方によって強化される統合的なオーディエンス資産と位置付けている。2026年のアップフロントでは、次期CEOのジョシュ・ダマロが業界向けの主要イベントとしては就任発表後初期の登壇を果たし、ディズニーについて「ほかに類を見ない独自のカテゴリーにある」と説明した。

GMAのコマースコーナーは、この仕組みが実際にどう機能するかを分かりやすく示している。朝のテレビ番組のライブ視聴者は、手数料による直接的なコマース収益を生むとともに、ディズニーの広告技術基盤の価値を高める行動データも生み出している。

■放送コマースがストリーミングとの競争を生き抜く理由

業界アナリストは長年にわたり、ライブコマースがテレビ放送からストリーミングやソーシャルメディアへ移行すると予測してきた。しかし、その移行は多くの人が予想した形では実現していない。

IABの「2026 Outlook Study」によると、2026年のコネクテッドTV広告費は13.8%増加した一方、リニアTV広告費は1.7%減少した。広告費を巡る競争ではストリーミングプラットフォームが優勢になっている。それでも、QRコードを利用したショッパブルTVより何年も前に始まった第1世代のアフィリエイト・コマース形式であるGMAの「Deals & Steals」は、継続するだけでなく事業を拡大している。

その理由は、放送を利用したショッパブルコマースをストリーミング上の類似サービスと本質的に異なるものにする仕組みにある。生放送ならではの切迫感と、全国の視聴者が同時に同じ番組を見る瞬間の組み合わせだ。

「Deals & Steals」は、数百万人の視聴者が同時に同じオファーを受け取る、時間と在庫の限られたイベントを生み出す。視聴者がそれぞれ異なる時間に異なるコンテンツを見るプラットフォームでは、同じ状況を再現できない。ライブスポーツをリニアTVで最も価値ある広告枠にしているのと同じ論理が、朝番組のコマースコーナーをストリーミングとの競争から守っている。

コンテンツから商品購入への移行を扱ったShopsense AIの2024年のレポートによると、テレビコンテンツは米国で年間約1,449億ドル(約22兆8,942億円、1ドル=158円換算)の小売売上高を生み出している。この数字は、GMAの形式が2011年から取り込んできた既存の消費者行動を反映したものだ。

より技術的に高度なショッパブルTVプラットフォームも登場している。Shopsense AIのマルチエージェントシステムは、The CW、Bell Media、Tubiで、テレビを見ながら別の端末で購入するセカンドスクリーンコマースを支えている。その基礎にあるのは、視聴者が商品に関心を示した瞬間こそ購入意向が最も高いという考え方だ。

GMAは、より単純な仕組みで同じ瞬間を捉えている。司会者がウェブサイト名を伝え、視聴者がスマートフォンを取り出し、アフィリエイトリンクが購入への転換を追跡する。Shopsense AIがAIによって数分で実現できるようにした処理を、GMAは15年間にわたって手作業で行い、同等の商業的効果を上げてきた。

■ABCの安定重視の番組編成とコマース事業の役割

このコマース基盤は、リスクより安定を重視していると率直に評されるABCの番組編成戦略と並行して存在している。2026年5月、ABCは2026~27年秋のプライムタイム編成を発表した。同局の歴史上初めて、台本のあるドラマやコメディーの全シリーズを打ち切ることなく更新した編成だった。

唯一の新作『The Rookie: North』は、2027年のミッドシーズンに放送開始が予定された。ディズニー・テレビジョン・グループ社長のクレイグ・アーウィッチは、公式発表で「われわれは疑いようのない強さを備えた立場から、この秋のシーズンを迎える」と述べた。

同局で高い視聴率を得ている『High Potential』『Dancing with the Stars』『The Rookie』『Abbott Elementary』などの番組は、安定した視聴者と管理可能なコストをもたらす。新しい脚本作品の開発には数千万ドルの費用がかかり、失敗することも少なくない。

一方、「Deals & Steals」が視聴者の反響を得られなかったとしても、翌朝には別の商品ラインアップと新たなアフィリエイト契約で放送できる。この非対称性は明確だ。コマース形式なら低コストで失敗できるが、脚本作品の失敗には多額の費用が伴う。ABCが既存の番組ラインアップをすべて更新したことにも、同じリスク計算が表れている。

GMAのコマース事業が資金面で支えているのは、こうした判断を可能にする安定性である。ABCが「Deals & Steals」で得ている正確なアフィリエイト収益は公表されていない。

それでも、このコーナーは15年間続き、並行する「Secret Savings」シリーズへ拡大し、専用ウェブサイト、メールサポート、ソーシャルメディアでの発信基盤を築いてきた。さらに、全国的な露出と引き換えに50%以上の割引条件を受け入れるブランドを引き付け続けている。これらは、収益への貢献が小さい周辺事業に見られる動きではない。

■視聴者が今知っておくべきこと

手数料に関する開示は実際に掲載されているものの、目立つ表示ではない。GMADeals.comのリンクを開く前に、視聴者は、そのリンクを介して購入するとABCに収益が入るアフィリエイト契約であることを知っておくべきだ。

だからといって、割引自体が偽物になるわけではない。通常、割引は実際に提供され、ブランドも正規のものであり、トリー・ジョンソンとチームがブランド選定に際して行う編集上の審査も存在する。しかし、このコーナーの商業的な構造は、収益化されたInstagramアカウントがアフィリエイトリンクを投稿する場合と同じだ。異なるのは、利用するプラットフォームの規模と性質だけである。

実際に購入する際は、GMADeals.com経由の価格を、Amazonやブランド自身のウェブサイトにおける価格や販売状況と比較した方がよい。第三者の情報集約サイトによると、GMAで紹介された商品の多くはAmazonでも販売されており、購入時期やPrime対象商品の条件によっては、GMAの割引を利用しなくても同程度の価格になる可能性がある。

GMAの「限定割引」における「限定」とは、セール期間中、ほかの販売経路では同じ価格が提供されないという意味だ。商品そのものがほかでは入手できない、あるいはGMAの価格が、十分に比較した購入者が見つけられる最安値であるという意味ではない。

■注目ポイントQ&A

●視聴者がGMA Deals & Stealsを通じて購入すると、ABCは利益を得るのですか?

はい。ABCは各セールページで「ABCとトリーは、これらのリンクを通じた購入に対して手数料を受け取ります」と明記しています。手数料率は公表されていませんが、これは標準的なアフィリエイト・マーケティングの仕組みです。ソーシャルメディアのインフルエンサーが商品紹介を収益化するのと構造的に同じことを、テレビ放送の規模で行っています。

●GMA Deals & StealsとABC Secret Savingsの違いは何ですか?

どちらもABCニュース傘下で運営されるアフィリエイト・コマース・プログラムですが、司会者と配信先が異なる別々のコーナーです。「Deals & Steals」はトリー・ジョンソンが司会を務め、GMAの放送とGMADeals.comで展開されます。「ABC Secret Savings」はスタイル・エディターのロリ・ベルガモットが司会を務め、AOLとYahooのプラットフォームを通じて配信され、家庭用品、キッチン用品、季節商品を中心に扱います。どちらも、リンクを通じた購入によってABCにアフィリエイト手数料をもたらします。

●GMAのコマースモデルは、ディズニーの広告戦略にどのように組み込まれていますか?

GMAのアフィリエイトリンクへのクリックは、直接的な手数料収益と、ディズニーの統合広告プラットフォームに取り込まれる行動データの両方を生み出します。2022年のThe Trade Deskとの提携により、ディズニーはABC、Hulu、ESPN+、Disney+などを横断する単一の広告購入枠を販売できます。視聴者がGMAのコマースリンクをクリックした際に生成される商品カテゴリーへの関心、コンバージョン行動、購入意向などのデータは、統合プラットフォームのターゲティング能力を高めます。

●なぜストリーミングは朝番組のコマースを駆逐していないのですか?

朝番組のコマースが生き残っているのは、時間限定のオファーを全国の視聴者に同時に届けるという本質的な仕組みを、視聴者が異なる時間に異なるコンテンツを見るストリーミングプラットフォームでは再現しにくいためです。NFLの試合をリニアTVで特に価値の高い広告枠にしているのと同じ「ライブイベント」の論理が、朝番組のコマースを支えています。数百万人の視聴者が同時に同じセール情報を受け取り、実際に在庫が限られているという瞬間を、ストリーミングプラットフォームが同じ形で作り出すことはできません。この制約が、放送コマースの推進力となっています。

元記事: GMA Deals & Steals: How ABC Earns Commission on Everything Tory Johnson Sells

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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