AMDが8月のRadeon値上げを通知、NVIDIAと足並みそろうGPU価格上昇の構造と買い時を分析

2026年8月2日 16:45

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記事提供元:Tech Times

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AMDは7月31日、AIBパートナーに対し、8月からRadeon GPUとGDDR6メモリのキット価格を少なくとも10%引き上げると正式に通知した。サプライチェーン報道によると、AMDは値上げ方針を前月に固めていたものの、NVIDIAが先に価格を引き上げるまで実施を遅らせていたという。店頭価格への反映には在庫消化による時間差があるが、今後数週間から数カ月でRadeonとGeForceの価格差は縮小するとみられる。

■AMDはNVIDIAの値上げ後まで実施を待った

AMDは7月31日、AIB(Add-in Board)パートナーに対し、8月からRadeon GPUとGDDR6メモリのキット価格を少なくとも10%引き上げると正式に通知した。Channel Gateのサプライチェーン報道をVideoCardzが引用し、OC3D、TweakTown、The FPS Reviewも独自に確認したという。

AMDが2026年にキット価格を引き上げるのは今回が初めてではない。7月にもAIBパートナー向けのGPU・メモリキット価格を約10%引き上げており、これは約6カ月ぶりの値上げだった。

今回の8月通知は2回目の値上げにあたり、AMDが2026年後半に計画している10〜15%の引き上げの一部だという。したがって、年内に追加の価格改定が行われる可能性がある。

報道によると、AMDは今回の値上げ計画を前月の時点で固めていたが、すぐには実施しなかった。理由として挙げられているのは、個人向け需要の弱さ、エンドユーザーの価格感応度の高さ、そして既存在庫がなお流通していたことだ。ただし、より大きな理由は競争環境にあったとされる。両社が同じく逼迫したGDDRメモリ供給に依存する中、AMDはNVIDIAが先に値上げするまで待つことで、相対的に安価な選択肢でいられる期間を確保した。

NVIDIAは7月下旬、AIBパートナーに対し、GDDR7を採用するBlackwell世代のRTX 50シリーズと、GDDR6を使う旧世代のGeForce製品の双方を対象に、キット価格の広範な引き上げを正式に通知した。AMDはその数日後に追随した。情報筋は、8月の価格改定が流通段階まで波及すれば、RadeonとGeForceの店頭価格は収れんしていくとみている。

■GPUキット価格の上昇が店頭価格にすぐ直結しない理由

10%のキット価格上昇が、そのまま即座に量販店での販売価格10%上昇につながるわけではない。ここでいうGPUキットとは、AMDがAIBパートナーに供給する、TSMC製のRadeon GPUダイとGDDR6 VRAMを組み合わせたパッケージを指す。

ASUS、PowerColor、Sapphire、XFXなどのAIBパートナーは、これに自社設計のプリント基板、電源回路、冷却機構であるヒートシンクやファン、外装、梱包を加えて最終製品を組み立てる。完成したカードは、その後、販売代理店や小売店へ出荷される。

AIB各社は、Radeonカード向けに認証済みの代替メモリ供給元を自由に選べるわけではなく、AMDが指定したキットを受け取る。このため、今回の値上げはカード全体の部材ではなく、GPUとVRAMを組み合わせたキット部分に適用される。

基板、冷却機構、電源関連部材は、GDDR6と同じ時期や比率で値上がりするわけではない。そのため、卸価格の10%上昇がカード全体の原価に与える影響は10%未満にとどまる場合もある。ただし、一部モデルではキット部分が総部材原価の80%超を占めるようになっているため、影響はなお大きい。

現在500ドル(約7万9000円、1ドル=158円換算)で販売されているカードの場合、キット部分の10%値上げによって、小売りマージンが加わる前のコストが約40〜50ドル(約6320〜7900円)増える可能性がある。

Radeon RX 9060 XT、RX 9070、RX 9070 XTなど、400〜700ドル帯(約6万3200〜11万600円)の製品では、既存在庫がはけた後、店頭価格に40〜70ドル(約6320〜1万1060円)程度が上乗せされる可能性がある。買い手にとって当面の猶予となるのは、この値上げ前在庫だけだ。8月の価格改定前に供給されたキットで組み立てられた製品は、流通在庫の回転次第で、なお数週間は現行価格で残る可能性がある。

■値上げの根本要因はGPUではなくGDDR6

AMDとNVIDIAの値上げの根本要因は、GPUシリコンではなく、GPUと組み合わされるメモリにある。

GDDR6は、JEDECが2017年に策定したGraphics Double Data Rate 6 SDRAM規格で、Samsung、SK hynix、Micronが生産している。AMDのRadeon RX 9000シリーズもこの規格を採用する。

スポット価格、つまり即時納品分の市場価格は、2025年後半以降、1GB当たり約2.50ドル(約395円)から約7.50ドル(約1185円)へと急騰し、およそ3倍になった。高容量VRAMを搭載する一部のRadeonモデルでは、メモリがカードの総部材原価の80%超を占めるようになっており、GPUシリコンが主要コストだった時期から構造が逆転している。

その背景には、AIデータセンター向けアクセラレーターが使うHBM(High Bandwidth Memory)がある。NVIDIAのH100やAMDのInstinct MI300Xなどで使われるHBMは、DRAMダイを垂直方向に積層し、シリコン貫通電極で接続することで、毎秒テラバイト級の帯域幅を実現するメモリだ。

TechTimesによるNVIDIAのキット値上げ報道で引用された分析によると、HBMはGDDR6と同じDRAMウエハーの生産能力を使う一方、1つのHBMダイが消費するウエハー面積は、同容量の標準的なDRAMモジュールのおよそ2倍とされる。つまり、ウエハーをHBM向けに振り向けると、GDDR6を生産する場合よりも、1枚のウエハーから得られるメモリ容量が大幅に減る。

Samsung、SK hynix、Micronの3社は、世界のDRAM生産の推定90〜95%を占める。この3社は、AIインフラ顧客向けの高い利益率を求め、ウエハー生産能力を継続的にHBMへ移してきた。

6月25日に米カリフォルニア北部地区連邦地裁へ提起された集団訴訟の反トラスト訴状では、2022年以降、世界のDRAMウエハー生産能力の約25%がHBMへ振り向けられたと主張されている。また、Samsung、SK hynix、Micronの3社は、従来型メモリの価格を人為的に押し上げる目的でこの転換を協調して進めたとして、シャーマン法第1条違反を問われている。ただし、これらの主張は法廷で立証されていない。

一方、市場では従来型DRAMの供給が構造的に逼迫しており、GPUベンダー側では短期的に是正できない状況となっている。

■AMDとNVIDIAは価格を決める側ではない

現在のGPU市場で最も重要なのは、AMDとNVIDIAのどちらが先に値上げしたかではない。GDDR6やGDDR7を使うGPUメーカーは、世界のDRAM生産の大部分を握る3社が設定する価格を受け入れる立場にあるという市場構造そのものだ。

この集中は、Intelが個人向けディスクリートGPU市場から事実上撤退したことで一段と強まった。The FPS Reviewの7月31日付報道によると、Intelは2026年4月にXe3P CelestialのゲーミングGPUアーキテクチャを中止し、Arc製品群の軸足を業務向けAI用途へ移した。

2024年12月に発売されたArc B580が、Intelの個人向けゲーミングGPUとして最後の製品になったという。Celestialの後継製品は登場せず、次世代Xe4「Druid」も2028年より前には見込まれていないとされる。

その結果、PCゲーム市場は最も厳しい時期に第3の競合を失った。AMDとNVIDIAは、DRAM寡占企業から供給を受ける事実上のGPU複占市場を形成しており、GPUメーカー間の競争とメモリメーカー間の競争のどちらから見ても、短期的に価格を抑える圧力が働きにくい構造となっている。

SK hynixの郭魯正CEOは7月10日、Reutersに対し、2027年は「供給面で業界史上最悪の年」になり、顧客需要は2030年を過ぎても自社の生産能力を上回ると述べた。同日、同社は265億ドル(約4兆1870億円)規模のNasdaq上場を完了しており、海外企業として過去最大の上場だったとされる。

メモリ市場を調査するTrendForceも、現在のDRAM価格環境を、記録に残る中で業界史上最も深刻なものと表現している。世界で生産されるメモリチップの推定70%を、現在はデータセンターが消費しているという。

HBM需要は年間約70%のペースで拡大しており、大規模な新規生産能力の立ち上がりは早くても2027年後半と見込まれている。このためサプライチェーンアナリストは、2026年第3四半期と第4四半期にも、AMDとNVIDIAの双方で追加のキット値上げが行われると予想している。

■ゲーム機も逃げ場ではなくなった

GPU価格を押し上げているメモリ逼迫は、すでに主要なゲームハード全体に波及している。PCゲームの代替となり得たゲーム機も、もはや値上げ圧力を免れていない。

Xbox Series Xは2026年8月1日、649.99ドルから799.99ドル(約10万2700円から約12万6400円)へ値上がりした。15カ月間で3回目の値上げとなる。同時に、Xbox Series Sも399.99ドルから499.99ドル(約6万3200円から約7万9000円)へ引き上げられた。

Microsoftは公式声明で原因に踏み込み、同社がメモリに対して「昨年後半の2.5倍を支払っている」と説明し、2027年秋までに「コストがさらに倍になると予想している」と警告した。業界報道によると、メモリコストの上昇が価格改定のペースを上回っているため、799.99ドルでもXbox Series Xを1台販売するごとに約150ドルの赤字が出ている可能性がある。

Nintendo Switch 2も2026年9月1日に、米国価格が449.99ドルから499.99ドル(約7万1100円から約7万9000円)へ引き上げられる。古川俊太郎社長は5月の発表時に、「メモリ部材コストの恒久的な上昇」を理由に挙げた。

日本では5月25日にすでに1万円の値上げが実施され、Nintendo Switch 2の価格は5万9980円となった。1ドル=158円で換算すると約380ドルに相当する。

PlayStation 5のディスクドライブ搭載モデルも、2026年4月に649.99ドル(約10万2700円)へ値上げされた。ディスクリートGPU、Xbox、Nintendo Switch 2、PlayStation 5という主要4カテゴリはいずれも2026年に値上げされ、その背景には共通してメモリコストの上昇がある。

■店頭ではどう動くのか

現在のGPU価格を検討している買い手にとって、状況は明確だが、変化は即座には表れない。8月以前の価格で供給されたGPUキットを使って組み立てられた製品は、流通在庫の回転速度によっては、なお数週間にわたって現行価格で残る可能性がある。

この猶予は実際に存在するものの短く、少なくとも10%のキット値上げによる影響を避けたい買い手に残された唯一の機会でもある。

例えば、現在600ドル前後(約9万4800円)で販売されているRadeon RX 9070は、AIB各社が8月の新価格で仕入れたキットを使う製品へ完全に切り替わると、660〜700ドル以上(約10万4300〜11万600円)になる可能性がある。現在の価格で購入できれば、400ドルのカードでは約40ドル(約6320円)、700ドルのカードでは約70ドル(約1万1060円)の価格上昇を避けられる計算だ。

ただし、今回の8月値上げが上限というわけではない。サプライチェーン報道によると、AMDは2026年後半に合計10〜15%の値上げを計画しており、8月通知はその一部にすぎない。アナリストは、年末までに追加値上げが行われる可能性は五分五分を上回るとみている。

すぐに購入する予定がない場合、現在の市場で比較的妥当な選択肢となるのは、Radeon RX 7800 XT、RX 7900 GRE、NVIDIA GeForce RTX 4070などの前世代カードだ。これらのカードは、現在の深刻なメモリ不足が表面化する前に供給されたメモリを使って製造されており、AIインフラ向け需要との部材競合による価格圧力が相対的に小さいとされる。

構造的な価格反転を待つことは、メモリ市場の現在の方向性に逆らう賭けとなる。Intelのリップブー・タンCEOは「2028年まで緩和はない」と公に述べている。SK hynixのCEOも、2030年を過ぎても需要が自社の生産能力を上回ると予測している。世界のDRAM生産の90〜95%を握る3社によって生じている供給制約を、AMDやNVIDIAが単独で解消することはできない。

■注目ポイントQ&A

●AMDはなぜNVIDIAの後まで値上げを待ったのですか?

Channel Gateのサプライチェーン報道によると、AMDは8月の値上げ計画を前月に固めていましたが、個人向け需要の弱さ、既存在庫の多さ、自社だけが先に高価格になる競争上のリスクを考慮して実施を遅らせたとされています。NVIDIAがGDDR7製品とGDDR6製品の双方で広範な値上げをAIBパートナーに通知した後は、AMDがさらに実施を遅らせる競争上の理由が薄れました。

●Radeonの店頭価格は本当に10%上がりますか? いつ反映されますか?

必ずしも10%ちょうど上がるわけではなく、反映もすぐではありません。今回の少なくとも10%の値上げは、AMDがAIBパートナーに販売するGPUとVRAMのキット価格に対するもので、完成品カード全体のコストにそのまま適用されるわけではありません。また、AIB各社は先に既存在庫を消化するため、店頭在庫は数週間ほど現行価格を保つ可能性があります。在庫が切り替わった後は、高容量VRAMモデルの店頭価格が現行価格より8〜12%程度高くなる可能性があります。

●このメモリ不足はゲーム機にも影響していますか?

はい。すでに影響が出ています。Xbox Series Xは2026年8月1日に799.99ドルへ値上がりし、Microsoftはメモリコストが昨年後半の2.5倍になったと説明しています。Nintendo Switch 2も2026年9月1日に499.99ドルへ上がる予定で、PlayStation 5のディスクドライブ搭載モデルも同年4月に649.99ドルへ引き上げられました。GPU、Xbox、Nintendo Switch 2、PlayStation 5の主要4カテゴリが、同じ根本要因に起因する2026年の値上げを経験しています。

●GPUやゲーム機の高値はいつまで続きそうですか?

現在の業界予測に基づけば、少なくとも2027年までは続き、さらに長引く可能性があります。SK hynixの郭魯正CEOは7月10日、2027年が供給面で業界史上最悪の年になると述べ、需要が自社の生産能力を上回る状況は2030年を過ぎても続くと見通しました。Intelのリップブー・タンCEOも、緩和は2028年まで見込めないとしています。Micron、Samsung、SK hynixの新工場は建設中ですが、大幅な追加生産は早くても2027年後半になると予測されています。主要アナリストの間では、2028年より前に2024年当時の価格水準へ戻るとの予測は示されておらず、SK hynixの見通しを踏まえると、2028年という時期も楽観的である可能性があります。

元記事: AMD Confirms August Radeon Price Hike: Both GPU Vendors Now Aligned, Buyers Pay More

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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