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イランがクウェートの淡水化施設を攻撃、ブレント原油は88.10ドルに上昇
イランが18日、クウェートの発電・海水淡水化施設を攻撃した。クウェートの淡水化インフラに対する攻撃は2日間で2回目で、火災が発生し、複数の発電設備が停止した。ブレント原油は1バレル88.10ドル(約1万4272円、1ドル=162円換算)まで上昇した。ホルムズ海峡の通航縮小が続くなか、攻撃対象が海上輸送から民間の水インフラへ広がったことで、エネルギー価格だけでなく金利見通しにも影響が及んでいる。9月の米利上げ確率については、7月16日時点のCME FedWatchで73%とされており、7月28〜29日のFOMCが次の重要な判断材料になる。
■クウェートの淡水化インフラへの攻撃が原油相場を押し上げた
イランは18日、クウェートの発電・海水淡水化施設を攻撃した。クウェートの淡水化インフラが2日間で2回攻撃を受けたことになり、火災の発生や複数の発電設備の停止を招いた。これを受けてブレント原油は4.6%上昇し、1バレル88.10ドルで取引を終えた。週間上昇率は14%を超えた。
米国の代表的な原油指標であるWTI先物も4.5%上昇し、82.49ドルで引けた。ブレントはこれで3週連続の週間上昇となり、7月上旬に米国とイランの停戦が崩壊する前以来の高値で引けた。
木曜のホルムズ海峡のタンカー通航は8隻にとどまり、紛争前の1日100隻超から大きく減っている。こうした状況に加え、9月の米利上げ確率が73%とされるなか、ペルシャ湾の戦争は海上輸送路の危機から、民間インフラを標的とする戦争へと明確に拡大した。住宅ローン保有者、商品を購入する消費者、金利の影響を受けやすい業種の株式に投資する人々にとっても、クウェート沿岸で起きている事態は直接的な経済的利害に関わる問題となっている。
■2日連続の攻撃で水供給リスクが表面化
クウェートのアハマディ県にあるシュアイバ発電・海水淡水化複合施設は土曜、イラン革命防衛隊の攻撃を受けた。火災が発生し、クウェート消防隊が数時間にわたって鎮火に当たった。クウェート電力・水・再生可能エネルギー省は攻撃を確認し、緊急対応計画を発動した。イランは同時にクウェート石油公社の石油施設も攻撃し、複数の作業員が負傷した。
クウェートの淡水化インフラへの攻撃は、金曜に続いて2日連続である。クウェートは土曜朝、ミサイルの脅威を受けて一時的に空域を閉鎖し、クウェート航空は首都発着便の大半について運航予定を変更すると発表した。
攻撃の時期には、クウェートに一層の打撃を与える意図がうかがえる。湾岸地域では現在、華氏100度(約38度)を超える高温が続いており、クウェートにとって淡水化された水は単なる利便設備ではなく、生存に直結する基盤インフラである。国内の飲料水の90%以上は、湾岸の海水を処理する淡水化施設から供給されている。
戦略国際問題研究所(CSIS)は2026年の分析で、湾岸協力会議(GCC)諸国の淡水化施設を「大規模で固定された屋外型の産業複合施設で、その多くが海岸沿いに集中し、イランから350キロ以内にある」と説明した。さらに、これらの施設は「ほかの民間インフラと同様、イランの兵器にさらされている」と指摘していた。
イランは数カ月前から、この種の攻撃を明示的に示唆していた。トランプ大統領がイランの発電所を攻撃すると威嚇した後、テヘランはその対抗措置として湾岸の淡水化施設を標的にすると警告していた。この相互報復の構図が現実のものとなった。イラン軍が「ナスル2作戦」の第15波と位置付けた土曜のシュアイバ攻撃は、現在の紛争局面において、民間の水生産インフラに対する初めての確認済み攻撃となった。
■ホルムズ海峡の通航減少と、埋められないパイプラインの不足
ホルムズ海峡は幅34キロの狭い海域で、紛争前には世界の原油供給のおよそ20%と、世界の液化天然ガス取引のおよそ20%が日々通過していた。しかし現在、通航は著しく制限されている。貿易インテリジェンス企業Kplerによると、木曜の商業船通航はわずか8隻で、前日の15隻から減少し、紛争前の1日100隻超を大きく下回った。海運リスク企業Marisksは、この状況を石油タンカーにとっての「最悪のシナリオ」と呼び、7月6日以降に少なくとも9隻が海峡内で攻撃を受けたとしている。
イランは4つの手段を同時に用いて、この水路を危険な海域にしている。船舶へのミサイル・ドローン攻撃、正確な設置場所をイラン自身も完全には把握していない機雷、航法システムに対する衛星信号の偽装とGNSS妨害、さらに警告に従わない船舶には実際に発砲する意思と能力があることを背景としたVHF無線による警告である。
外交合意が成立しても価格が急速に正常化しにくい背景には、具体的な工学上の制約がある。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラクが稼働させている代替パイプライン、すなわちヤンブーに至る東西原油パイプライン、フジャイラに至るアブダビ原油パイプライン、トルコ経由のキルクーク・ジェイハン・パイプラインを合わせても、輸送能力は日量約900万バレルにとどまる。紛争前にはホルムズ海峡を日量約2000万バレルが通過していた。既存パイプラインをどのように組み合わせても、この差は埋められない。大規模な代替パイプラインを持たないイラクとクウェートは、解消時期の見通せないボトルネックに直面している。世界のLNG供給の約20%を担うカタールも、LNG運搬船の航行を事実上停止している。
国際エネルギー機関(IEA)は3月、加盟国の戦略石油備蓄から4億バレルを放出した。IEA史上最大の放出であり、価格上昇をある程度抑える効果はあったが、海峡そのものを再開させるものではなかった。
■米軍の対イラン攻撃は7夜連続、紅海にも波及の兆し
米中央軍(CENTCOM)は土曜早朝、米軍がイランの軍事目標に対する7夜連続の攻撃を完了したと確認した。攻撃対象は「監視拠点、軍事後方支援インフラ、地下兵器貯蔵施設、海上戦力」だったとしている。CENTCOMはこれに先立ち、この地域で活動する米軍要員が5万人を超えると報告していた。
米国は金曜、イラン国内の橋、空港、エネルギー施設を攻撃し、これとは別に、南部ホルモズガーン州の電力・淡水化施設も攻撃した。トランプ大統領が繰り返してきたイランの発電所を標的とするとの威嚇は、イラン当局が警告していた通りの報復、すなわちシュアイバ複合施設への攻撃を招いたように見える。
土曜のイランによる攻撃はクウェートだけでなく、カタール、ヨルダン、イラクのクルド人地域にも及んだ。さらに、イエメン近海では武装した集団が船舶を拿捕した。これは、紅海のフーシ派勢力が商船への攻撃再開を準備している可能性を示しており、世界の主要な海上エネルギー輸送路2カ所が同時に圧迫されるおそれがある。
2026年2月28日の「オペレーション・エピック・フューリー」以来の6カ月間で確認されている被害は、少なくとも商船17隻が損傷、2隻が拿捕され、船員12人が死亡または行方不明というものだ。開戦以来、米軍要員14人が死亡し、427人が負傷した。イラン当局は、米軍の攻撃によりイラン国内で少なくとも50人が死亡し、500人超が負傷したとしている。
■88ドルは天井ではなく下値になり得るとの見方
市場アナリストは今回の原油高について、過去の湾岸地域の緊張による価格急騰とは性質が異なるとみている。2019年のイランによる船舶への妨害行為やアブカイク製油施設への攻撃では、海上輸送路が名目上は開いていたため、リスクプレミアムによる価格上昇は急激だったものの短期間にとどまった。今回は複数の供給拠点が同時に攻撃され、海峡が単に脅かされているのではなく、機能上は閉鎖されている点が構造的に異なる。
金曜の88.10ドルという終値は、7月上旬の米国とイランの停戦崩壊以来で最も高いブレント終値だが、2026年4月30日に付けた日中高値126.41ドルよりはなお約30%低い。停戦によって価格は80ドル近辺まで下がっていた。民間の水インフラへの攻撃を含む今回の再激化が、価格を再び高値圏へ押し戻している。ホルムズ海峡の混乱が続けば1バレル100ドルに達するとしたアナリストの予測は、現時点ではまだ否定されていない。
■原油高はFRBの利上げ観測にも波及
原油ショックの影響は、もはやエネルギー分野にとどまらず、より広いマクロ経済を巡る議論に及んでいる。CME FedWatchの先物市場では、2026年9月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率が、7月16日時点で73%となっていた。6月中旬の26%から大きく上昇している。
この織り込みの変化は複合的な問題を反映している。FRBが重視するインフレ指標であるコア個人消費支出(コアPCE)物価指数は5月に3.4%となり、FRB目標の2%を63カ月連続で上回った。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.2%だったが、6月には単月で0.4%低下したことにより、前年同月比3.5%まで鈍化した。しかし、こうしたインフレ鈍化による安心感は、ブレント原油の再上昇によって打ち消されつつある。
紛争によるインフレの影響はガソリン以外にも広がっている。エネルギーコストは、プラスチックやポリマーの価格、サプライチェーンの迂回、AIインフラに波及し、インフレ圧力を、利上げによって対処し得る需要主導の領域にまで広げている。FRBの6月会合の議事要旨は、AIハードウェア需要自体も独立したインフレ圧力だと位置付けた。GPUやメモリーへの極めて強い需要は、原油とは無関係な経路でハードウェア価格を押し上げているが、同様に金融引き締めの影響を受ける。
FRB議長のケビン・ウォーシュ氏は一貫してタカ派姿勢を維持している。クリストファー・ウォラー理事も7月13日の講演で、利上げが遅れた2021年と2022年の過ちを繰り返してはならないと警告した。政策金利の誘導目標は、6月17日の会合以降、3.50〜3.75%に据え置かれている。6月会合では、19人のFOMC参加者のうち9人が、年内に少なくとも1回の利上げを見込んでいた。
ブレント原油は88.10ドルとなり、すでに市場で9月利上げの織り込みが進んでいた木曜の終値を4ドル上回った。借り手、住宅購入者、金利の影響を受けやすい資産の投資家にとって、当面の焦点は、7月28日までにFRBの姿勢がさらに強硬になるかどうかである。7月28〜29日のFOMCの判断は、6月に見られたインフレ鈍化が今回の原油高のなかでも維持されるのか、それとも原油高によって打ち消されるのかを市場に示すことになる。
■なぜホルムズ海峡が長く閉鎖されていても、原油はなお上がるのか
短く言えば、市場が反応しているのはホルムズ海峡の閉鎖そのものではない。海峡閉鎖の影響は2月以降、すでにある程度価格に織り込まれてきた。価格を押し上げているのは、事態がどこまで悪化し得るかという上限を変える、質的なエスカレーションである。
土曜の民間水インフラへの攻撃は、エネルギー輸出の妨害から、酷暑のなかで湾岸都市の住民の生命を支えるシステムを標的とする段階へ、事態が移ったことを意味する。この変化は政治的緊張を高め、紛争の長期化見通しを強め、海峡再開につながる短期的な停戦が実現する可能性を低下させる。
88ドルでの引けは、市場が停戦と海峡再開のサイクルの失敗をすでに一度経験したことも反映している。6月の覚書では価格は80ドル近辺まで下がったが、イランが7月上旬に海峡を再び閉鎖すると急反発した。トレーダーは持続的な停戦が成立する確率を以前より低く見積もるようになっており、そのため供給リスクプレミアムが高止まりしている。
■注目ポイントQ&A
●FRBは2026年9月に利上げするのか
7月16日時点で、CME FedWatchは9月16日のFOMCで利上げが実施される確率を73%としていました。6月中旬の26%から大きく上昇しています。紛争によるインフレ圧力は原油だけでなく、プラスチック、GPUを含むハードウェア、サプライチェーンの迂回といった、利上げが作用し得る需要主導の要素にも広がっています。6月会合では、19人のFOMC参加者のうち9人が2026年中の利上げを見込んでいました。7月28〜29日のFOMC判断は、6月のインフレ指標と足元の原油再上昇のどちらを委員会が重く見るかを示す最初の重要な手掛かりになります。
●クウェートのシュアイバ淡水化施設とは何か、なぜ重要なのか
シュアイバはクウェートのアハマディ県にある大規模な沿岸部の発電・海水淡水化複合施設です。湾岸地域のほかの淡水化施設と同様、イランの弾道ミサイルや巡航ミサイルが到達可能であることが示されている範囲内にあります。クウェートの飲料水の90%以上はこうした施設に依存しており、陸上には現実的な代替淡水源がありません。華氏100度を超える夏の高温下でここを攻撃することは、軍事的な戦術というより、民間の水供給を標的とした人道上の圧力手段です。民間人の生存に不可欠なインフラの保護を定める国際人道法に適合するかという問題も生じます。
●ホルムズ海峡の閉鎖が続くと原油価格はどこまで上がり得るのか
ブレント原油は4月下旬の紛争が最も激しかった時期に126.41ドルまで上昇し、その後、6月の停戦で80ドル近辺に下がりました。現在の88.10ドルは、そのピークを約30%下回ります。既存の代替パイプラインは日量約900万バレルしか輸送できず、ホルムズ海峡が通常担っていた日量約2000万バレルとの差を埋められません。海峡の再開、新たなパイプライン能力の確保、または需要の大幅な減少によってこの差が解消されるまで、事態の継続的なエスカレーションは価格帯の上限を押し上げます。ゴールドマン・サックスのアナリストは、ホルムズ海峡の混乱が続けば1バレル100ドルに達すると予測しており、そのシナリオはまだ否定されていません。
●紅海も閉鎖されるリスクがあるのか
イランは、米国がイランの電力インフラを攻撃した場合に備え、イエメンのフーシ派勢力に紅海の海運妨害を準備するよう指示したと報じられています。土曜にイエメン近海で起きた船舶拿捕は、フーシ派が再び攻撃に関与する可能性を示す兆候です。フーシ派による攻撃が大規模に再開されれば、中東のもう一つの重要な海上交通の要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡が閉鎖される可能性があります。その場合、ホルムズ危機の間に一部の湾岸産エネルギーの輸送に使われてきた代替航路も遮断されかねません。これは、世界のエネルギー貿易において主要な海上交通の要衝が同時に圧迫される、過去に例のない深刻な事態となります。
元記事: Brent Crude Hits $88 as Iran Extends War From Hormuz to Kuwait Drinking Water
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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