アップル、M6 Pro/Maxを開発中止し「M7」AIチップを前倒しか――Macプロ向けチップに18カ月の空白期間が生じる見通し

2026年7月6日 12:29

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記事提供元:Tech Times

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プロフェッショナル向けMacの次世代ハイエンドモデルを待つユーザーは、2026年後半に向けて異例の事態に直面している。米BloombergのMark Gurman記者によると、AppleはM6 ProおよびM6 Maxチップの開発を中止し、オンデバイスAIに特化した「M7」世代の投入を前倒しする方針だという。これにより、プロ向けMacのチップ刷新には約18カ月という、Apple Silicon史上最長の空白期間が生じる見通しだ。

■M6はApple初の2nmチップ、ただしベースモデルのみ展開か

M6チップは、シリコンレベルでの真のアーキテクチャ的飛躍を示すものとされている。Appleは、M5で採用されていたTSMCのN3E(3nm)プロセスから、同社初となるGAA(ゲートオールアラウンド)ナノシートトランジスタを採用したN2(2nm)ノードへと移行する見込みだ。TSMCの評価によれば、N2は同一電力で10〜15%の性能向上、または同一性能で25〜30%の消費電力削減を実現するという。

パッケージング技術も変更され、従来のInFO(Integrated Fan-Out)からWMCM(Wafer-Level Multi-Chip Module)へと移行すると報じられている。これにより、プロセッサとメモリが単一モジュール上に隣接して配置され、熱効率の向上と信号伝達時間の短縮が期待される。

ベースとなるM6チップのメモリ帯域幅は、M5の153 GB/sから約30%増となる約200 GB/sに達するとみられている。GPUは最大12コア(M5は10コア)に拡張され、Neural EngineもオンデバイスAI処理向けに強化される見通しだ。なお、筐体やミニLEDディスプレイなどの外観デザインは2021年以降のモデルを踏襲するとされている。

■AI処理で重要なのはTOPS値ではなく「メモリ帯域幅」

M6 ProおよびMaxがキャンセルされた理由は、技術的な限界ではなく、オンデバイスAIの実行に必要なハードウェア要件を再計算した結果であるとみられている。

Apple IntelligenceなどのローカルAI処理において、ボトルネックとなるのは演算性能(TOPS)ではなくメモリ帯域幅だ。ローカルの言語モデルで回答を生成する際、チップは生成されるトークンごとにメモリからモデルの重みデータを読み出す必要がある。この処理の速度は、チップがメモリから演算ユニットへいかに高速にデータを転送できるかに依存する。M5の153 GB/sや、M6で計画されている200 GB/sに対し、Appleがプロ向けAI処理に必要と判断したのは、M7で目標とされている240 GB/s(M5比で57%増)の帯域幅だったとみられる。

■オンデバイスAIに特化する「M7」チップのロードマップ

「Delos」のコードネームで開発されているM7チップファミリーは、オンデバイスAI処理に特化した設計になるとされている。ベースとなるM7は2027年前半に登場し、約240 GB/sのメモリ帯域幅をサポートする見込みだ。その後、M7 ProおよびM7 Maxが2027年後半に、Mac Studio向けのM7 Ultraが2028年に計画されているという。Gurman氏によれば、これは当初の予定よりも最大で6カ月前倒しされたスケジュールだという。

これにより、M4 ProやM5 Pro搭載マシンを使用しているユーザーの選択肢は明確になる。2027年後半にM7 Proが登場するまでプロ向けチップの刷新はないため、現行のM5 Pro/Max搭載モデルを購入するか、後述の新設計モデルを待つか、あるいはM7 Proの登場まで静観するかの三択となる。

■新設計の「MacBook Ultra」はM5世代のチップを搭載か

2026年に最も期待される新モデル、有機EL(OLED)ディスプレイを搭載した「MacBook Ultra(仮称)」は、M6ではなくM5 ProおよびM5 Maxチップを搭載して出荷されると複数の情報源が伝えている。これは遅延ではなく、意図的な製品展開の順序によるものだという。

MacBook Ultraは、タンデムOLEDディスプレイ、Mac初となるタッチスクリーン、Dynamic Islandの採用、薄型化された筐体など、2021年以来の最大規模の刷新になると噂されている。開発中の「macOS 27」ベータ版には、タッチ操作に適応するインターフェースが含まれているという。この大幅なリニューアルモデルの発売をM7 Proの登場(2027年後半)まで延期することは、ディスプレイ生産の進捗状況からも現実的ではないため、まずは実績のあるM5 Pro/Maxを搭載して2026年末から2027年前半に発売し、その後にM7世代へ移行する戦略をとるとみられている。

■世界的なDRAM不足がMacの価格高騰を招く

Appleのチップロードマップに影響を与えているDRAMの供給不足は、2026年6月25日に実施されたMacおよびiPadの大幅な値上げの要因でもある。AppleのCEOであるTim Cook氏は、同年6月17日のWall Street Journalの取材に対し、40年以上のキャリアの中でこれほど急速かつ大幅なメモリ部品価格の上昇は見たことがないと、異例の事態であることを認めている。

この値上げにより、米国市場ではベースモデルのMacBook Proが1,699ドルから1,999ドル(約32.2万円、1ドル=161円換算)へ、MacBook Airが1,099ドルから1,299ドル(約20.9万円)へ、Mac Studio(M3 Ultra搭載モデル)の最小構成価格が3,999ドルから5,299ドル(約85.3万円)へと引き上げられた。

この背景には、NVIDIAなどのAIサーバー用チップに使われる高帯域幅メモリ(HBM)の需要急増がある。HBMは通常のLPDDR5Xメモリと同じDRAM製造ラインで生産されるが、ウェハーの消費量が通常メモリの3〜4倍に達する。大手テック企業によるAIデータセンターへの巨額投資に伴い、メモリメーカーが採算性の高いHBMの生産を優先した結果、通常のDRAM契約価格は2026年第1四半期だけで約93〜98%上昇した。Gartnerの予測では、2026年末までにDRAMおよびSSDの価格はさらに高騰し、2027年後半まで高止まりが続くとされている。

■2026年後半に予定されるAppleの新製品ラインアップ

M6搭載MacBook Proは、2026年後半に登場が予想される少なくとも16のApple新製品の一つにすぎない。MacRumorsがまとめた情報によると、主要な製品カテゴリー全体で以下のようなアップデートが予測されている。

iPhoneファミリーでは、TSMCの2nmプロセスを採用したA20 Proチップ、小型化されたDynamic Island、可変絞りカメラ、5G衛星ウェブブラウジング対応のC2モデムを搭載する「iPhone 18 Pro」および「iPhone 18 Pro Max」に加え、同社初の折りたたみデバイスとなる「iPhone Ultra(仮称)」の登場が噂されている。折りたたみモデルは7.8インチの内側ディスプレイと5.5インチの外側ディスプレイを備え、iOS 27で最適化されたマルチタスク機能が利用できるとされている。

ホームデバイス分野では、WWDC 2026でデベロッパーベータ版が公開された新生Siriの成熟に伴い、A18チップとApple Intelligenceを搭載した6〜7インチディスプレイ付きの「Home Hub(仮称)」や、Wi-Fi 7に対応した新しいApple TVなどの登場が期待されている。

Apple Watchシリーズについては、例年通り9月に、S11チップと8つのセンサーを備えたヘルスケア機能を搭載する「Series 12」および「Apple Watch Ultra 4」が発表される見込みだ。

■今Macを買うべきか、それともM7を待つべきか

購入の判断は、必要とするスペックと用途によって異なる。

一般的な業務や開発、エントリーレベルのコンテンツ制作が目的で、1,999ドル(約32.2万円)のベースモデル(14インチMacBook Pro)を検討している場合、今秋登場予定のM6搭載モデルは、2nmプロセスの採用やメモリ帯域幅の向上により、極めて魅力的な選択肢となる。

一方で、高度な映像制作や大規模なローカルAIモデルの研究などでProやMaxチップが必要な場合、現行のM5 Pro/Max搭載モデルが現在選択できる最速の選択肢となる。2027年後半のM7 Pro/Maxまで待つのは長期に及ぶため、現在のマシンの性能に限界を感じているのであれば、現行モデルの購入が推奨される。

新設計のOLEDディスプレイやタッチスクリーンを重視する場合は、2026年末から2027年前半にかけて登場が予想される「MacBook Ultra」を待つのが賢明だ。ただし、世界的なメモリ市場の逼迫により、Mac製品全体の価格がかつての水準に下がるのは、早くとも2027年後半以降になると予測されている。

■注目ポイントQ&A

●なぜAppleはM6 ProおよびM6 Maxチップの開発を中止したのですか?

Appleは、仮にM6 Proを投入したとしても、オンデバイスAI処理に特化して設計されている次世代の「M7 Pro」との性能差が十分に確保できないと判断したためです。AI処理のボトルネックとなるメモリ帯域幅において、M6の約200 GB/sに対し、M7は約240 GB/sに達する見込みです。短期間に2つのプロ向けチップを連続して投入するのを避け、より進化幅の大きいM7の開発を前倒しする戦略をとったとみられています。

●M6搭載MacBook Proを待つべきか、それとも現行モデルを買うべきですか?

ベースモデルのMacBook Proを検討している場合は、今秋に登場が予想される2nmプロセス採用のM6モデルを待つ価値があります。一方で、より高性能なProやMaxチップが必要なプロフェッショナル用途の場合、次の刷新(M7 Pro/Max)は2027年後半まで予定されていないため、現行のM5 Pro/Maxモデルを購入するのが現実的な選択肢となります。

●AI用メモリの不足は、Macの価格やチップのロードマップにどう影響していますか?

AIサーバー用メモリ(HBM)の需要急増により、通常のDRAM製造ラインが圧迫され、MacBookに搭載されるLPDDR5Xメモリなどの調達コストが急騰しました。これが2026年6月のMac製品の値上げにつながっています。また、限られたウェハー生産能力を有効活用するため、Appleは中途半端なM6 Proの生産を避け、AI性能を大幅に向上させたM7世代への移行を急ぐ決断をしたと考えられています。

元記事: Mac Buyers Face 18-Month Pro Chip Gap as Apple Skips M6 Pro for M7 AI Push

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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