Steamハードウェア調査:Windows 11が初の70%超え、AMDは「X3D」効果でCPUシェア急拡大

2026年7月4日 23:35

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記事提供元:Tech Times

Valveが公開した2026年6月分の「Steamハードウェア&ソフトウェア調査」によると、Windows 11のシェアが調査開始以来初めて70%の大台を突破したことが明らかになった。一方で、サポートが終了したWindows 10に留まるユーザーも一定数存在している。また、CPU市場ではAMDが独自のキャッシュ技術を武器に、Intelとのシェア差を急速に縮めている。

■Windows 11が初の70%突破、迫るWindows 10のセキュリティリスク

Valveが2026年7月1日に公開したデータによると、調査対象となったSteam利用環境において、Windows 11のシェアは前月比0.68ポイント増の70.44%に達した。2021年後半のリリース以来、全プラットフォーム合計で70%の壁を突破したのはこれが初めてとなる。

一方、Windows 10のシェアは0.43ポイント減の23.56%となった。減少傾向にあるとはいえ、Microsoftは2025年10月14日にWindows 10の無償セキュリティサポートを終了している。つまり、現在もSteamユーザーの約4人に1人(23.56%)が、新たな脆弱性に対するセキュリティパッチが原則として提供されない環境でプレイを続けていることになる。

これらのユーザーは、Microsoftの「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」に加入していない限り、2025年10月以降に発見された脆弱性に対して無防備な状態に置かれる。ESUプログラムはデバイス1台あたり年間30ドル(約4,830円、1ドル=161円換算)が必要だが、MicrosoftアカウントでサインインしてPC設定を同期しているユーザーは無償で利用できる。ただし、この救済措置も2027年10月12日までとなっており、それ以降は有償であってもセキュリティアップデートは一切提供されなくなる。

なお、SteamにおけるWindowsプラットフォーム全体のシェアは94.10%を占めている。macOSは微増して2.21%となり、LinuxはSteam Machineの発売や簡体字中国語ユーザーの動向に関連して記録的な伸びを見せた3月から一転し、3.69%へと微減した。Linuxディストリビューションの中では、Steam Deckに搭載されているValveの「SteamOS Holo」が0.84%で最多を維持している。

■AMDがIntelを猛追する理由:格差を埋める「3D V-Cache」技術

CPUシェアではIntelが54.01%で首位を維持しているものの、AMDが45.99%まで上昇しており、ハードウェアアナリストらもこの勢いを無視できない変化と捉えている。2025年1月時点でIntelは約68.8%のシェアを握っていたが、わずか18ヶ月足らずの間に、AMDは実世界の消費者向けハードウェアデータとして最大規模を誇るSteamの調査において、約14ポイントものシェアを奪い返したことになる。

この躍進を支える技術的エンジンが、AMDの「3D V-Cache」アーキテクチャ(消費者向けチップでは「X3D」シリーズとして展開)だ。AMDは、シリコンダイの面積制限によりL3キャッシュを水平方向に広げるのではなく、銅対銅のハイブリッドボンディングとシリコン貫通電極(TSV)を用いて、演算ダイの上にキャッシュメモリを垂直に積層した。

現行の「Ryzen 9000X3D」チップでは、合計L3キャッシュ容量が最大128MBに達する。DDR5システムメモリへのアクセスに約354CPUサイクルかかるのに対し、この積層キャッシュへのアクセスは約49CPUサイクルと極めて高速だ。ゲームで最も頻繁に要求されるデータ(ワールドの状態、物理演算、AIの経路探索など)の処理において、5倍から10倍の高速化を実現している。

Intelは現在、これに匹敵する積層キャッシュ技術を持っていない。Intelのアプローチは動作クロックの引き上げとコア数の増加を重視しており、生産性タスクでは高い性能を発揮するものの、CPU性能がボトルネックとなるゲームのフレームレートを左右する「キャッシュ容量が重視されるワークロード」においては、AMDとの差を埋められていない。第三者機関によるベンチマーク測定では、Ryzen X3Dチップは同クラスのIntel製CPUと比較して、ゲームのフレームレートで一貫して15〜25%上回っており、広大なワールドデータを高速キャッシュに保持する必要があるシミュレーションゲームやストラテジーゲームでは、その差が30%に達することもある。

■メモリ価格高騰もAMDの追い風に

2026年現在、AMDの優位性をさらに後押ししているのが、AIデータセンターへの投資熱に伴う世界的なDRAM不足だ。サムスン、SK Hynix、マイクロンなどの主要メーカーが、AIアクセラレータ向けの広帯域幅メモリ(HBM)へと生産能力をシフトしたため、消費者向けのDDR5メモリ価格は前年比で170%以上も高騰している。

しかし、AMDのX3Dチップはこの価格高騰の影響をほとんど受けない。大容量のオンダイキャッシュを搭載しているため、高速なシステムメモリへの依存度が低いためだ。AMDは、Ryzen X3Dチップが一般的なメモリ構成の違いによって性能がほとんど低下しないことを確認している。つまり、自作PCユーザーは安価で低速なDDR5メモリと組み合わせても、ゲームのフレームレート低下をほぼゼロに抑えられる。メモリ価格の高騰に悩むバイヤーにとって、この特性は実質的なコストメリットとなっている。

Intelが2026年後半に投入を予定している次世代アーキテクチャ「Nova Lake」は、積層キャッシュ技術なしでこの性能差を克服できるかどうかの試金石となるだろう。一方、AMDもZen 6世代の開発を進めており、両社の新製品は、AMDが「高性能CPU」の基準を根本から塗り替えたゲーム市場へと投入されることになる。

■GPUデータが示す緩やかな世代交代

GPUチャートにおける最大のトピックは、Steamにおける世代交代がいかに時間を要するかを示す象徴的な出来事だ。ノートPC向けの「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」がシェア3.81%を獲得し、デスクトップ向けの「RTX 3060」(3.73%)を抜いて最も普及している単一GPUとなった。しかし、この数字はいずれも、2〜3年前に発売されたハードウェアが依然として市場の主流であることを物語っている。

Steam全体におけるRTX 40シリーズおよび50シリーズの合計シェアは、ディスクリートGPU全体の30%未満に留まっている。これは、両世代の発売時に見られた高価格帯の維持が影響していると考えられる。ビデオメモリ(VRAM)容量は緩やかに増加しており、新型ノートPC向けGPUや大容量バッファを備えたミドルレンジのデスクトップ向けカードの普及により、16GB層が前月比0.45ポイント増の24.50%に達した。しかし、最も多い構成は依然として8GBであり、ゲーム開発者がSteamユーザーをターゲットにする場合、過半数のプレイヤーに届けるためには依然として8GBのVRAM予算に最適化する必要がある。

また、ノートPC向けカードが首位に立ったことには別の意味もある。ノートPC向けのRTX 4060とデスクトップ向けのRTX 4060は名前こそ同じだが、消費電力枠(パワーバジェット)が異なる。ノートPC向けは熱と電力の制限から通常60〜80Wで動作するのに対し、デスクトップ向けは115〜165Wで動作するため、実際のパフォーマンスには明確な差が生じる。Steamの集計データではこれらが区別されないため、「最も普及しているカード」の実態は、同一名称の下に異なる性能レベルが混在している点に注意が必要だ。

■解像度とRAM:1080pと16GBが主流を維持

ディスプレイ解像度とシステムメモリのデータは、安定した推移を見せている。解像度は「1920×1080(フルHD)」が依然としてSteamユーザー全体の半数以上を占めており、モニター価格の下落に伴い「2560×1440(WQHD)」が緩やかな上昇傾向を維持している。

システムメモリ(RAM)に関しては、16GB構成が41.57%を占めて最多となり、ここ数ヶ月間ほとんど変化していない。ゲーミングPC市場における標準スペックは、実質的に16GBで定着していると言える。

■Steamハードウェア調査の特性とデータの見方

最後に、この調査結果を解釈する上での注意点を挙げておく。Steamハードウェア調査は、全PC市場を網羅した国勢調査のようなものではなく、任意参加のランダムサンプリングによるテレメトリ収集データである。Valveは毎月、アクティブユーザーの約12分の1を対象にサンプリングを行っており、個々のユーザーが調査を求められるのは通常年に1回程度だ。そのため、データはゲーム用途に特化した消費者向けPCに偏っており、企業向けPCやワークステーション、薄型軽量ノートPC(ウルトラブック)などの市場は反映されにくい。

また、季節要因や地域ごとの参加率の変動(例えば、3月にLinuxシェアが5.33%に急騰したものの、その後平年並みに戻ったような、簡体字中国語ユーザーの急増による一時的なブレ)によって、月ごとの数値が実態とは異なる動きを見せることがある。OSの移行状況やCPUシェアなどを分析する際は、単月の一喜一憂を避け、複数月にわたる方向性(トレンド)として捉えることが重要だ。

こうした前提を踏まえた上で、2026年6月のデータは明確なトレンドを示している。Windows 10の残留ユーザーは減少しているものの、依然として無視できない規模であり、セキュリティ上のリスクを抱えている。AMDのX3Dプロセッサによるシェア拡大は一時的なものではなく、Intelが対抗できていない明確なアーキテクチャ上の優位性に裏付けられたものだ。そして、GPU市場における買い控えの動きは、Steamユーザーが新世代という言葉だけに踊らされず、価格対性能比(コスパ)を極めてシビアに評価して購入を判断していることを証明している。

■注目ポイントQ&A

●ゲーミングPCでWindows 10を使い続けても安全ですか?

Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了しました。Microsoftからの無償のセキュリティアップデートは提供されなくなっているため、それ以降に発見された脆弱性は修正されず、使い続けるとセキュリティリスクが高まります。Microsoftは年間30ドル(Microsoftアカウントでサインインし設定を同期している場合は無料)で、2027年10月12日までパッチを提供する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を用意しています。速やかにWindows 11へ移行するか、移行が難しい場合はESUプログラムへの登録が推奨されます。

●この1年でAMDがSteamでのCPUシェアを大きく伸ばした理由は何ですか?

AMDの「Ryzen X3D」プロセッサに搭載されている積層キャッシュ技術「3D V-Cache」が大きな要因です。CPUダイの上に最大64MBの追加キャッシュメモリを垂直に積層することで、DDR5システムメモリよりも5〜10倍高速なアクセスを可能にしました。ゲーム処理においてIntelの通常チップに対して15〜25%の性能優位性を持っています。さらに、世界的なDRAM不足によるDDR5メモリの価格高騰局面において、大容量キャッシュのおかげで安価な低速メモリを組み合わせても性能が落ちないというコスト面での強みも、AMDのシェア拡大を後押ししました。

●現在、Steamユーザーの何割がWindows 10を使用していますか?

2026年6月のSteamハードウェア調査によると、調査対象となったシステムの23.56%(約4人に1人)が依然としてWindows 10を使用しています。シェアは毎月減少しているものの、現在のペースでは2026年末になってもかなりの割合のユーザーがサポート終了済みのOSに留まる見込みです。

●現在、Steamで最も人気のあるGPUは何ですか?

NVIDIAのノートPC向け「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」がシェア3.81%を獲得し、デスクトップ向けの「RTX 3060」(3.73%)を抜いて初の単独首位となりました。これはSteamユーザーの多くが、フラグシップ級の超高性能モデルではなく、ゲーミングノートPCや予算を抑えたミドルレンジ構成を選択している現状を反映しています。

元記事: Steam Hardware Survey June 2026: Windows 11 Tops 70%, AMD Closes In on Intel

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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