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【訪問記】白蛇伝説が息づく白子神社、宮田修宮司が願う「町を元気にする神社」

千葉県長生郡白子町関に鎮座する白子神社は、永承3年(1048年)創祀と伝わる古社である。白い亀と白蛇の伝承を今に伝え、地域の信仰を集めてきた。宝暦12年(1762年)再建の本殿は平成28年に千葉県指定有形文化財となり、同神社は修復や塗装復元、耐震対策を含む「令和の大修復」に取り組む。元NHKアナウンサーの宮田修宮司は、神社を通じた町の活性化を願う。白蛇の「ハクちゃん」や御田植祭など、白子町を知る入口としての役割も担っている。[写真拡大]
■千年近い祈りと本殿改修、小さな町に人を呼ぶ古社のいま
千葉県長生郡白子町関に鎮座する白子神社を訪ねた。九十九里浜に近い白子町は、海の気配と田園の風景が重なる穏やかな町である。大きな観光地のような華やかさではなく、暮らしの中に自然に息づく落ち着きがある。その町の一角に、千年近い由緒を持つ古社が静かにたたずんでいた。
■白い亀と白蛇の伝承
鳥居をくぐると、境内を包む空気がすっと変わる。木々に囲まれた参道、長い年月を刻んだ社殿、拝殿前の「撫で蛇様」。白子神社は、白い亀と白蛇の伝承で知られ、古くから福を授かる社として地域の人々に大切にされてきた。
創祀は永承3年(1048年)と伝えられる。現在の白子町八斗に、大己貴命(おおなむちのみこと、すなわち大国主命)を祀ったことが始まりとされる。その後、大治元年(1126年)8月13日、里人が海岸で潮を汲んでいたところ、沖から白い亀の上に白蛇がとぐろを巻いて現れたという。
里人が「もし神さまなら、この柄杓にお乗りください」と願うと、白蛇は柄杓にゆっくりと登り始めた。人々はその姿に霊験を感じ、白蛇を神として祀った。白子神社がいまも白蛇を大切にしているのは、この言い伝えによる。
■宝暦再建の本殿を未来へ
その後、白子の地で悪疫や災害が人々を苦しめたため、久安3年(1147年)に現在の白子町関の南白亀台へ遷座した。以来、白子神社は南白亀十二カ村の鎮守として守られ、地域の暮らしとともに歩んできた。
現本殿は宝暦12年(1762年)再建と伝えられ、平成28年に千葉県指定有形文化財に指定された。長い歳月を経た社殿には、地域の信仰と職人の技が刻まれている。一方で傷みも進み、白子神社では本殿の修復、剥落した塗装の復元、地震への備えなどを含む「令和の大修復」に取り組んでいる。単なる修理ではなく、千年近い祈りの場を次の世代へ手渡すための大切な事業である。
■放送の世界から神職へ
白子神社の宮司を務める宮田修さんは、元NHKアナウンサーとして知られる。ニュースの現場に長く立ち、阪神・淡路大震災発生直後の第一報を伝えたことでも記憶される。その後、NHK「ニュース7」のキャスターを務め、平成20年(2008年)に定年退職した。
ただ、宮田宮司の歩みは「元アナウンサー」という肩書きだけでは語りきれない。定年を機にNHKを離れ、放送の世界からもきっぱりと退き、神職として新たな人生を歩み始めた。社会の出来事を伝える仕事から、人の祈りに寄り添う仕事へ。華やかな放送の世界に区切りをつけ、地域と神社に身を置く姿には、静かな覚悟が感じられる。
宮田宮司は、日本インタビュ新聞社の個人投資家向けセミナーなどで講演したほか、コラム記事も執筆していた。経済や投資の話にとどまらず、人の生き方、心の持ち方、社会との向き合い方を語る姿が印象的だった。
■神社を通して町を元気に
今回の訪問で心に残ったのは、宮田宮司が「人口の少ない町だからこそ、この神社を通して町の活性化につながれば」と語っていたことだ。白子町の人口は約1万人。都市部のように人の流れが絶えない場所ではない。だからこそ、白子神社が人を呼び、町を知ってもらう入口になればという願いがある。
その思いは、本殿改修にも重なる。宮田宮司は、大改修が終われば、新たな神職にバトンを渡し、奥様とのんびり過ごしたいとも話していた。肩の力を抜いた言葉の中にも、まずは大切な社殿を次代へ引き継ぎたいという責任感がにじむ。
神社には、観光施設とは違う力がある。派手な演出がなくても、由緒があり、物語があり、訪れた人の心に残る時間がある。春祭の御田植祭は、五穀豊穣と産業隆昌を祈る神事で、白子町の無形民俗文化財に指定されている。屋内で行われる珍しい予祝神事であり、地域の人々が守ってきた大切な文化である。
■境内に残る、手づくりの温かさ
白子神社には、白蛇の「ハクちゃん」もいる。白蛇伝説を今に伝える存在として、参拝者に親しまれている。また境内には、「お蛇様」のアートも描かれている。日頃からボランティアで境内を清掃している吉田さんによるもので、参拝に訪れた人は、どこに描かれているのか探しながら歩く楽しみもある。
由緒ある神社でありながら、こうした手づくりの温かさがあるところに、白子神社らしさがにじむ。撫で蛇様に手を合わせ、境内をゆっくり歩くと、遠い伝承といまの人々の思いが自然につながっているように感じられる。
白子神社を訪れて感じたのは、歴史の重みだけではない。そこには、あたたかな人の気配がある。伝統を守るだけでなく、神社を通じて町を元気にしたい。その思いは、本殿改修という大きな取り組みにも通じている。九十九里の風が届くこの古社には、静かな祈りと、これからの白子町を明るく照らそうとする願いが息づいていた。(日本インタビュ新聞社・植木勉)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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