【QAあり】ドリーム・アーツ、営業利益は連結業績予想の進捗率78.2%と高水準で推移 3Q以降は成長投資と広告販促活動を本格化

2025年9月3日 08:47

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記事提供元:ログミーファイナンス

【QAあり】ドリーム・アーツ、営業利益は連結業績予想の進捗率78.2%と高水準で推移 3Q以降は成長投資と広告販促活動を本格化

【QAあり】ドリーム・アーツ、営業利益は連結業績予想の進捗率78.2%と高水準で推移 3Q以降は成長投資と広告販促活動を本格化[写真拡大]

2025年12月期第2四半期 連結業績

山本孝昭氏(以下、山本):代表取締役社長の山本孝昭です。本日はありがとうございます。これより、2025年12月期第2四半期決算説明会をはじめます。

まず、上半期の状況についてです。すでにご存知の方や、資料をお目通しいただいている方もいらっしゃるかもしれませんが、売上高の進捗率は50パーセントとなっています。また、利益の進捗率は80パーセント前後と非常に順調に推移していると言えます。

売上構成

売上構成についてです。当社の成長ドライバーである「SmartDB」はホリゾンタルSaaSに分類しています。前年同期比プラス約19パーセントで推移しています。

スライド右側のセグメント売上構成比率をご覧ください。クラウド事業が前年同期比0.6パーセント減と若干下がっていますが、概ね誤差の範囲内かと思います。一方で、プロフェッショナルサービス事業は少し増加し、オンプレミス事業の売上割合は「剪定戦略」により想定どおり減少している状況です。

主要KPI

スライドは、主要KPIについてまとめたものです。ホリゾンタルSaaSの成長率は約19パーセント、クラウド事業全体では16.7パーセントです。また、より確実に利益を獲得した結果として、売上総利益率は64.2パーセント、前年同期比で7.0ポイント上昇しています。キャッシュフローも前年同期比でプラス11.0パーセントの伸びを記録しました。

ホリゾンタルSaaSの売上継続率は111.1パーセントとなり、昨年と比べてやや低下しています。この要因としては、前期からお話ししている「剪定戦略」の取り組みが背景にあります。「剪定戦略」は、今後の成長をさらに促進するため、高い成長力が期待できる分野にリソースとエネルギーを集中させることを目的としています。

ただし、これらは来年以降順調に改善し、再び成長軌道に乗ると考えています。

ホリゾンタルSaaS売上高

ホリゾンタルSaaSの売上高についてです。スライド左側のグラフのとおり、順調に伸びていると考えています。来年以降は、大型案件が増える中で件数も含めてさらに加速し、順調に推移すると見込んでいます。

2025年第2四半期のトピックス(プレスリリース/お知らせ)

こちらのスライドは、プレスリリースやお知らせとして外部に発表した内容のうち、第2四半期のトピックスを記載しています。中でも大きな取り組みとして、KDDIが全社で約1万数千名の稟議システムを「SmartDB」で刷新しました。これは、当社が戦略の中心に据えている「デジタルの民主化」という概念に基づく取り組みであり、無事サービスインを果たしました。このほか、ツルハホールディングスや日清製粉グループ本社などにも「SmartDB」を導入しました。

製品戦略としては、「DAPA(DreamArts Practical AI)」というコンセプトを発表しました。また、「SmartDB」ではマイナンバーカードを用いた本人確認、すなわちマイナンバー認証の対応を、「Shopらん」では外国人スタッフの活躍を支援する「AI翻訳」機能を発表しました。いずれも非常に強い支持と期待を得ています。

CASE STUDY KDDI株式会社

KDDIの取り組みについてご説明します。以前はエクセル・メール・紙や古いオンプレミスの仕組みを利用していましたが、「もうこれは変えなければならない」と、当時の社長肝いりでプロジェクトを開始したとうかがっています。

サービスインを果たした後、7月だったと思いますが、取締役執行役員専務(CFO)から急遽お礼の会を開催したいとお話をいただきました。当社の執行役員や担当者が参加し、KDDIの新しい本社オフィスで「新稟議システムサービスインおめでとう&ありがとうパーティ」を開催していただきました。

その際に、おもしろいエピソードがありました。専務が「今日は全員来れなかったのかな? なんだか少ないね」とおっしゃったのですが、「いやいや、このメンバーでやったんです」と言ったら非常に驚かれたそうです。

これはまさに、コーポレート本部という、システム部門ではないバックオフィスの総務部や人事部などが中心となり、スペック・仕様の決定を主導し、詳細設計もすべて責任を持って決定・進行した「デジタルの民主化」による事例です。

CASE STUDY 株式会社ツルハホールディングス

次に、ツルハホールディングスの取り組みについてご説明します。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ツルハホールディングスは過去の決算に誤謬があった可能性を発表し、直近の決算発表が延期されるという事象がありました。

実は、それを救ったのが「SmartDB」だったということを聞き、私たちも驚きました。当時、店舗情報をエクセルで管理していたそうなのですが、「ファイルが重く作業しづらい」「データの整合性が取れない」など店舗情報の管理に課題を抱えていました。経営企画の方が情報を整理する過程で、「SmartDB」による管理のしやすさに気づき、煩雑なデータ管理を「SmartDB」で整理したそうです。

2日間で店舗マスタのプロトタイプを作成、関係各部署のレビューを受けて、「いいね」「すぐにやろう」となり、2週間で店舗管理に関する総合的なデータベースとプロセスを構築されました。これは、私たちのユーザー会でも発表された非常に興味深い事例です。

CASE STUDY J-POWERジェネレーションサービス株式会社

J-POWERジェネレーションサービスの事例についてご紹介します。特に印象深かった点として、広島や沖縄など全国6ヶ所にある発電所すべてに当社のスタッフが訪問し、「SmartDB」活用促進のための講座を実施したことが挙げられます。

ちなみに、「SmartDB」には認定資格制度があります。KDDIではすでに約150名が資格を保有し、人事評価の対象となる推奨資格として活用されています。J-POWERジェネレーションサービスにおいても、各発電所の現場職員が「SmartDB」を活用し、自分たちの業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)化していく取り組みを進めています。当社のスタッフが6ヶ所の発電所を訪問した際、非常に温かく迎えていただきました。ヘルメットとユニフォームを着用して発電所の見学をじっくり行った上で、発電所のスタッフのみなさまに向けて「SmartDB」の講座を開きました。この取り組みは、まさに「デジタルの民主化」の一環であり、約1,500名を対象に「SmartDB」の利用が開始された事例として、私たちのユーザー会で発表されました。

2025年第2四半期のトピックス(製品戦略)

製品戦略のトピックスとして、マイナンバー認証についてご説明します。これは、世界で初めて国家がデジタルネットワークを通じて本人確認を行うことが可能となるサービスで、「SmartDB」もマイナンバー認証に対応しました。

当社のターゲットは大企業です。大企業は自社の社員だけでオペレーションを回しているわけではないため、グループ会社や取引先のパートナー企業、さらには短期間だけプロジェクトに参加するスペシャリストといった外部の人々にも「SmartDB」を利用してもらいたいというニーズがあります。

以前から社外のパートナーにも使ってもらえる機能を提供していますが、本人確認のレベルを最高位に引き上げるため、デジタル認証アプリとの連携機能を追加しました。

2025年第2四半期のトピックス(成長投資/広告販促活動)

「SmartDB」は「スマデビ」の愛称で呼ばれています。この度、「スマデビジャンボリー!」というユーザー会を、ウェスティンホテル東京の最も大きな宴会場で開催しました。「スマデビジャンボリー!」は事例の共有にとどまらず、ネットワーク効果や横のつながりを非常に重視しています。

午前10時からの第1部では、当社が独自に開発した「デジ民ゲーム」を用いて、「デジタルの民主化」を進めていく上で重要な点をカードゲームやゲーミフィケーションを通じて学ぶことを中心に行いました。200人弱となる多くのユーザー企業の方々にお集まりいただきましたが、複数の企業の方々が、このゲームを通じて情報交換やネットワーク形成を図り、非常に好評でした。

スライド右側は、午後の「スマデビ's got Talent」というイベントの写真です。『アメリカズ・ゴット・タレント』を模したユーザー事例コンテストで、6社のユーザー企業が「SmartDB」の活用方法について発表し、8分間のピッチを通じて優勝企業を決定するというイベントです。夜にはネットワーク効果の拡大を狙った交流会を実施しました。

このイベントに参加しているオーディエンスの7割は非IT人材です。まさに現場でそれぞれの実務を担い、「デジタルの民主化」を主導的に進めようとしている方々に、今回は620名ほど集まっていただきました。

今回のイベントでは、漫画をモチーフにしたデザインを意図的に取り入れました。「本当に『デジタルの民主化』をやろう」「紙と判子はもちろん、メールとエクセルとか、古いオンプレのシステムでは業務が進まない」「僕たちがやる」という層の人たちがここに集まっています。年齢層は主に30代中盤から40代までで、漫画やアニメとともに育った世代です。その感性に合うインターフェースを目指し、漫画をデザインテーマに設定しました。

さらに、この世代が10年後には意思決定者になることを見越して、今回のイベントを企画しています。昨年「スマデビ20周年生誕祭」という同様のイベントを開催し、約350名にご参加いただきました。「スマデビ's got Talent」は非常に好評を博し、他社からも「うちも出てみたい」という声をいただき、今後も継続可能なイベントとして考えています。

「スマデビジャンボリー!」は、99パーセント以上の参加者が満足または大満足と評価しており、大変好評でした。来年も引き続き開催予定です。

2025年第2四半期のトピックス(成長投資/広告販促活動)

プロモーションについてのトピックスです。JR山手線沿線に位置する、1,000名以上の企業が入居している大型ビルでエレベーター広告を実施しました。この広告は、当社のユーザーに相当する企業をターゲットにしたものです。また、同じ期間にJR山手線での車内電子広告も併せて展開しました。これらを通じてのお問い合わせもいただきました。

さらに、「PIVOT」というビジネス映像メディアで、当社CTOの石田が出演する「デジタルの民主化」についての番組を制作しました。これは今年の視聴回数トップテンに入り、先々週の段階で視聴回数が15万回を達成しています。この数字は1ヶ月で達成したもので、視聴回数ランキングで8位という結果です。他の番組が複数ヶ月の放映期間で達成する記録の中、私たちの動画は1ヶ月で15万回に到達しています。

また、「Japan DX Week」や「DX総合EXPO」といったイベントにも、細やかに出展を重ね、知名度を向上させるべく努めています。

2025年12月期通期 連結業績見通し

業績見通しは、年初に発表した予想から変更していません。

2025年12月期 成長投資施策および進捗状況

人的リソースの拡充についてです。スライド左側のグラフの四角部分に記載しているとおり、通期の純増目標は30名を掲げています。第2四半期時点では19名の増員となり、目標達成率は63パーセントに達しています。

広告販促活動についても積極的に取り組んでおり、予算消化率は43.1パーセントとなっています。十分に効果が期待できる活動が実施できている状況です。

《全文》 DreamArtsが「デジタルの民主化」を中経戦略の柱とする理由と意義

今回、中期経営計画を発表しました。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、スライドをご参照ください。

戦略の柱については長文になりますが、この部分は私が直接執筆しました。中期経営計画を発表した主な理由は、当社の戦略ストーリーを投資家のみなさまにご理解いただくためです。あわせて、3ヶ年の事業計画という数値面も含めていますが、解像度はあえて低めに設定しています。何を目指しているのか、またその背景となる認識についてお伝えすることを重視しました。

スライドでは、まずはじめに環境認識についてどのように考えているのかをお伝えしています。「失われた30年」の間に、業務改革や事業変革がかなり進展しました。それに伴いデジタル・DXは不可分のものとなり、大きく積み上がっています。ただし、それが積み上がった今、非常に良いタイミングでDXを伴う事業変革の波が始まっています。

この好機は、インターネットの勃興、スマートフォンの普及、クラウドの定着、そして第3次AIブームというITの大きな潮流が背景にあります。

日本におけるDXの本格化について、上記の世界の主要な4つの流れに加え、日本政府は5つ目の要素として「マイナンバー認証基盤」という国家的な本人確認基盤を導入しました。このタイミングでDXが本格的に始まるとされています。また、団塊の世代の世代交代が進む中で、さまざまな意味で新しい方向性に向けた風が吹き始めています。

中期経営計画 経営環境

経営環境についてご説明します。当社が大きな問題・課題として認識しているのは、IT人材の不足です。日本のIT人材の7割強がベンダー側に属しており、ユーザー側には3割弱しか属していない状況です。アメリカではこれが逆転しています。そのため、日本ではベンダーに依存するしかありません。ベンダーと協力する際には、責任分界点を明確にする必要があり、その結果、ウォーターフォール型開発を採用せざるを得ません。

これにより、遅延やコスト増といった避けられない構造的な課題があります。しかしながら、企業はDXを進めなければなりません。DXを進める理由は、DX自体が目的ではなく、事業変革や業務変革と不可分な関係にあるからです。そのため、内製化を進める必要があると考えています。

日本には長いビジネスコンピューティングの歴史があり、中国や韓国とは大きく異なります。この50年から60年の歴史の中には、古くて大切なシステムが数多く存在します。ITベンダーの仕事が増加する中、これまでのシステムを守ることも重要ですが、事業変革や業務改革を進めるためには新しいことにも取り組む必要があり、その中で内製化の推進が求められます。

中期経営計画 経営環境

内製化を進めるにあたって、ITスペシャリストがユーザー側にいない場合、どうするのでしょうか。答えは、実務現場の人たちが自分たちで取り組む、いわゆる「デジタルの民主化」です。その際、ノーコードが重要な役割を果たします。

当社の「SmartDB」はノーコード開発ツールです。2004年に製品の概要設計を行った際には、まだ「ノーコード」という言葉は存在せず、「プログラムレス」という概念でした。当社はその「プログラムレス」の理念を2004年から取り入れています。そのため、非常に長い歴史を持ち、それに基づいて多くのユーザーの実績を重ねてきました。

なお、「ローコード」という、非常に似た言葉を持つツールがありますが、これは完全にプロ向けのツールです。したがって、日本で「デジタルの民主化」を進め、現場の人たちが内製化の力や能力を高めることを「ローコード」で実現するのは困難です。ここに、ノーコード開発ツールを持つ私たちの強みがあります。

中期経営目標

中期経営計画では、2028年12月期までに380社の顧客獲得を目指しています。これは、当社のターゲットである大企業市場のシェア10パーセントに相当する計算です。これを目標に取り組んでいきます。

中期経営計画

中期経営計画目標はオーガニック成長に基づいており、2026年12月期・2027年12月期の具体的な数字はあえて明記していませんが、2028年12月期に売上高87億円、営業利益20億円を目指しています。

スライドのグラフでは、灰色のバーで100億円を超えた部分を少し示しています。これはM&Aの可能性を含めた数字です。すでに模索を始めているものの、相手があることのため、中期経営計画にはその数字を反映していません。ただし、M&Aに対して決して消極的であるというわけではありません。

中期経営計画

売上構成については、ホリゾンタルSaaSの割合が増加していくと考えています。スライド右側のB/Sでは、キャッシュが順調に蓄積される体質転換がすでに確立されており、その状態を維持できる状況にあります。そのため、キャッシュフローの推移も順調に進むと考えています。

中期経営計画 基本戦略「デジタルの民主化」

「デジタルの民主化」についてです。社内および顧客との間では「デジ民」と呼んでいますが、今回この定義を明確にしました。これは、DXの内製化が経営課題となる中で、業務部門がDXを通じて課題解決と価値創出に主体的に取り組み、その改善と価値の増幅を自立的かつ継続的に主導する状態を指します。

また、成立要件や補完要素についても記載しています。この分野では、ツールベンダーやソリューションプラットフォームとして当社のような存在は少なく、ブルーオーシャンであると考えています。

中期経営計画 基本戦略「デジタルの民主化」と5つのCSF

「デジタルの民主化」は、当社の中期経営計画における基本戦略です。この戦略を補完するためのCritical Success Factor(CSF:重要成功要因)が5つあります。

1つ目は「MCSA(ミッション クリティカル システム エイド)」です。これはERPフロント、つまり基幹システムの前受け・後受け処理を指します。

2つ目は、日本企業のグローバルビジネスを支える取り組み「グローバル・コネクト」です。当社はすでに20年以上にわたりこの支援を行っており、全ユーザーへ広げていく考えです。

3つ目は「DAPA(DreamArts Practical AI)」です。

4つ目は、「Product-led Growth(PLG)」です。これはプロダクト自体が成長をリードしていくという意味で、製品づくりの考え方を示しています。

5つ目は、「EC2」です。当社で独自に定義した言葉で、外部のケイパビリティとキャパシティを獲得することを指します。この中には、SmartDB認定制度における有資格者を増やすためのプログラムも含まれています。この一環として、「スマデビジャンボリー!」のような取り組みに参加する人々を増やし、来年末までに1万人規模を目指していきたいと考えています。

この他にも、パートナーシップを強化し、中期的な目標達成に向けて取り組んでいきます。私からの説明は以上です。

質疑応答:新サービス投入の進捗について

司会者:「成長戦略で新サービスの投入を掲げていらっしゃいますが、進捗を教えてください」というご質問です。

山本:SmartDBの新しい機能サービスという観点で順調に進んでいます。今後の拡大に向けた堅牢なソフトウェアサービスを作るという意味で、直近発表した「マイナンバー認証」や実践・実務・実用的なAIの活用「DAPA」などもありますが、引き続き新しい機能サービスを展開できると考えています。

質疑応答:生成AIによる代替の可能性と「DAPA」について

司会者:「生成AIの台頭を中心とした社会動向を鑑みた時に、AIによって『SmartDB』が代替される可能性を教えてください。あわせて、直近発表されたAI機能で何ができるのかも教えてください」というご質問です。

山本:とても良いご質問をいただき、ありがとうございます。当社としての回答は「DAPA」です。「DAPA」を発表するまでの間、ユーザー企業からAIに対する取り組みについて問い合わせを受けていましたが、2年以上にわたり、AIに関するディスカッションと検討を進めていました。

AIに限りませんが、IT業界にはバズワードが多いです。多くの人がバズワードを使いながらも、その意図や本質をよく理解していないまま流布していると考えています。AIもまさにモンスター級のバズワードですが、当社が実装すべきAIサービスについて検討を続けてきました。

「DAPA」を発表した際には、挑戦的な文言も盛り込みました。それは「AIエージェントへのクエスチョン・疑問」です。現在、生成AIのブームが広く認知され、エージェント分野へとシフトしています。つまり、自律的にAI同士が連携して答えを導き出す仕組みです。

この仕組みは、医療分野や画像処理分野といった、ルールが明確で数値やナレッジの連携がはっきりしている分野ではAIエージェントが活用されています。

しかし、ビジネスプロセスでAIを活用する際には、さまざまなポリティクスや暗黙知が存在し、曖昧性を排除することが困難です。これらはまさに人間が関与しているためであり、大企業の場合には内部でさまざまな力学的な思惑や配慮が関連しています。

そのような状況において、AIが自律的に回答を導くことは難しいでしょう。当社はAIを実用的かつ実務的・実践的に活用することを目指しています。

スライド右側の図で示していますが、稟議や製造業における設計から生産に至るまでの業務プロセスの中で、起案や入力の確認、専門家のコメントを求めるといったプロセスに対して、SmartDBに実装したAIがチェック、アシスト、サジェストを行う役割を担います。

これが可能なのは、「SmartDB」がデータベースであり、プロセスエンジンでもあるためです。すでにプロセスとデータベースを有しているからこそ実現できるのです。当社では「意思決定プロセスにAIを溶け込ませる」と表現していますが、それが可能になります。ちなみに、2025年5月の『Harvard Business Review』に「AIはプロセスで活かせ」に関する約40ページの特集記事が掲載されていました。

この業務プロセスの中で、AIがチェックや数十にわたる入力項目を自動入力する入力アシストを行います。また、「この購買は新リース会計基準にのっとってやらなきゃいけないので、こういう注意が必要ですよ」といったサジェスト機能もAIによって実現されます。

この機能の要となるのがスライド右側に示されているAIプロンプトデータベースです。これはプロンプト自体をデータベース化し、一元管理する仕組みです。社員がプロンプトを頻繁に変更して混乱が生じたり、悪意のあるプロンプトが紛れ込んだりするのを防ぐ仕様となっているため、非常に実用的でインパクトがあります。

AIを使って目指すのは、意思決定の促進です。意思決定の負荷削減に「SmartDB」を活用します。そのため、AIによって早晩駆逐されるということはまったくないと考えています。

質疑応答:ローコードツールとノーコードツールの違いについて

司会者:「御社のノーコード製品『SmartDB』とよく比較される製品として、外資系のローコード製品がありますが、どのような違いがあるのか教えてください」というご質問です。

山本:良いご質問をありがとうございます。この点については、定性的な文章ではありますが、スライドの1番下に「ノーコードとローコードは、名前こそ似ていますが、その本質には決定的な違いがあります」として記載しています。

先ほどもお話ししましたが、ローコードはあくまでITプロフェッショナルを対象とした開発支援ツール、要するにプロ向けのツールです。一方で、ノーコードは市民開発者(非エンジニア)が業務アプリの構築や改善ができる自走型のツールです。業務部門主体でDXの内製化を可能にする点で、名前は似ていますがまったく異なるものであると考えています。

実際、外資系のローコードツールと直接ツールを比較されることはなく、「デジタルの民主化」を目指す場合や、導入段階ではベンダーの支援を受けつつも将来的には自走できるかたちを目指す場合は、ノーコードツールが選ばれることになります。

一方、今までどおりシステム部門に任せて、ベンダーに全部委託する場合は、結果的にローコードツールが選ばれるケースが多いです。しかし、発注する側のクライアントはローコードを使用しているという意識をあまり持っておらず、ローコードによる生産性向上の恩恵を享受しているのはベンダーだけのように見えます。

ローコードを使ったからといってウォーターフォール型開発の構図であることに変わりはなく、内部生産性を高めてコストを削減しているのはベンダーだけです。ベンダーが大いに利する中で、ユーザーがローコードツールの代金を支払うという状況には、なにか違和感を覚えます。

少し余計な話をしてしまいましたが、ローコードツールはエンジニアの生産性を上げるプロツール、ノーコードツールは非エンジニアの市民開発を可能にするツールという、決定的な違いがあります。

質疑応答:M&Aの対象業種と求める事業領域について

司会者:「成長戦略にあるM&Aについて、対象業種や求める事業領域の方針を教えてください」というご質問です。

山本:M&Aの対象について説明する前に、なぜM&Aを行うのかという前提をお話しします。当社のビジネスを推進していく上で、キャパシティをしっかりと充足させることが重要なポイントです。

サポートを含めたサービスラインナップを拡充することでアップセルやクロスセルが加速することを考えると、導入初期における成功、いわゆるアーリーサクセスやファーストサクセスを確実にお客さまに提供することが、その後の追加販売につながる鍵となります。

例えば、他のグループ会社が利用しているという理由で同じグループに所属する会社での導入が決まったり、最初に子会社でシステムを導入し、その後親会社にも展開されたりするといった導入パターンが増加しています。

その際、やはり当社だけでは、十分な支援を行うキャパシティが不足しています。そのキャパシティを補完するという観点から、Tier2・Tier3のシステムベンダーやソリューションベンダーをパートナー候補として考えています。

質疑応答:ローコードツールの活用による単価引き下げの可能性について

司会者:「ローコードツールを活用してITベンダーが自身の作業を効率化しているというお話がありましたが、結果として彼らが顧客に対し、単価を下げてきていませんでしょうか?」というご質問です。

山本:多少開発スピードがアップしている可能性はありますが、大幅に単価が下がっているわけではないと考えています。

質疑応答:2025年成長投資の進捗と今後の見通しについて

司会者:「2025年12月期の成長投資として、人的リソースの拡充と広告販促活動の強化を挙げていましたが、これまでの進捗を踏まえた下半期の見通しを教えてください。具体的には、人員の純増目標30名の達成確度と、有効な広告販促活動の進捗をお伺いしたいです」というご質問です。

山本:双方ともに順調であると認識しています。人的リソースの拡充は、IPOから2年が経過し、上場企業としての認知が少しずつ広がってきていること、広告販促活動の強化による露出の機会が以前より増えてきていることなどの影響も大きいと思います。

広告販促活動については、期待以上に順調に進んでいると考えています。予算消化率がやや低くなっていますが、それにより効果が低下しているわけではありません。下半期以降も、予算を消化しきらなくても、成果が得られないようなことはないと考えています。

質疑応答:「Claude Code」が事業に与える影響について

司会者:「今話題の『Claude Code(クロードコード)』は、ITベンダー向けツールであって、御社のプロダクトへの脅威ではないとの認識でしょうか?」というご質問です。

山本:当社の事業において、「Claude Code」がマイナスの影響を与えることは特にないと考えています。

質疑応答:「SmartDB」が注力している業務領域について

司会者:「『SmartDB』は適用される業務範囲が広いですが、どのような業務に活用されているのでしょうか? 特に注力している業務領域があれば教えてください」というご質問です。

山本:特に「MCSA」「Global Connect(グローバル・コネクト)」に重点的に取り組んでいます。まず、「MCSA」についてご説明します。スライドの図に示しているように、当社が「Big Donuts」と呼んでいるドーナツの中心部分はSAPやOracleのERPなどの基幹システム(MCS)を指します。

これを取り囲む領域を「MCSA」と名付け、非常に重要な業務領域として注力しています。実際にニーズは増加しており、今週「SmartDB」の導入を発表した朝日新聞社はまさにこのエリアに該当します。日本経済新聞社も同様です。たまたま新聞社が続きましたが、ダスキンや世界的ゲームメーカーなども含め、この領域のニーズは確実に増えています。

その理由としては、各社さまざまな言葉で説明していますが、制度改正などの外的要因のみならず、事業変革といった内的要因も影響していると思います。従来の方法では、現場システムとERPをつなぐ部分にかなりの手間がかかるため、根本的な解決を図らなければ、迅速な事業運営が企業から失われてしまうという危機感が高まっています。そのような状況の中で、ERPの前受け・後受け処理に当たる「MCSA」の領域において、十分なニーズがあると確信しています。また、このエリアでは潤沢な資金が投入され続けており、当社としても特に重点を置いている領域です。

次に、「Global Connect」についてご説明します。当社は、日本企業の海外事業におけるオペレーションに関する取り組みに注力しており、20年以上にわたって「Global Connect」に関わるサービスの実装に取り組んでいます。

現在、当社のクラウドサービスは28ヶ国で利用されています。当社の全製品は、初期バージョンから国際時差対応と多言語対応テーブルをデフォルトで備えており、この取り組みは20年前から続けています。

したがって、英語のインターフェースを導入するというレベルではなく、多様な国際時差に対応し、今後10ヶ国語以上の言語に対応、「完全無停止運用」を実現するなど、この分野での対応を進めていきます。

実際に、アシックス、大創産業、NIPPON EXPRESSといった企業が、海外で「SmartDB」を利用されている実績があります。このような事例をさらに多くの企業へ広げることも、当社の重点項目となっています。

実際に、お客様にはさまざまな用途で「SmartDB」をご利用いただいています。なぜこれほど多様に活用されているのかというと、ITで業務を支援する際に重要となる「安全な状態でのデータの入力・補完・ハンドリング」と、そのデータを「プロセスとして運用・制御する」機能が、すべての業務に共通して求められるからです。そのため、「SmartDB」は幅広い分野で利用されています。

質疑応答:マイナンバー認証による効果について

司会者:「『SmartDB』がマイナンバーカードによる本人確認対応を開始した」との発表がありましたが、マイナンバー認証に対応することによって、どのような効果を想定しているのか教えてください」というご質問です。

山本:先ほども少しお話ししましたが、大企業の業務オペレーションは正社員だけで行われているわけではありません。グループ会社、子会社、アライアンスパートナー、取引先、プロジェクトパートナー、さらにはスポットのパートナーなど、多様な人々が一緒になって業務を進めています。

「SmartDB」は、プロセスをデータとともにハンドリングし、管理統括する基盤として活用されているため、ユーザー企業からグループ会社、アライアンスパートナー、取引先、スポットパートナーの方々にも「SmartDB」を利用していただくことで、業務効率を向上させたいというニーズがもともとありました。

このニーズに対する機能は従来から提供していますが、機能面だけでなく、安全性を向上させるために、本人確認が確実に行える状態が求められています。

これに対し、最も信頼性の高い本人確認といえるのがマイナンバー認証です。現在、マイナンバー認証をスマートフォンに搭載する準備が始まっており、マイナンバーカードを物理的に携帯しなくても、すべてスマートフォンで手続きができるようになっていくでしょう。マイナンバー認証と「SmartDB」が連携可能となり、今後徐々に普及していくと想定しています。

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