生化学工業は23年3月期1Q大幅減益、通期予想は未定

2022年8月8日 14:50

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  生化学工業<4548>(東証プライム)は8月5日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。海外はコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。通期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は5月の年初来安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期1Qは前期の反動で大幅減益、通期予想は未定

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比29.5%減の83億07百万円、営業利益が74.7%減の11億26百万円、経常利益が62.8%減の17億14百万円、親会社株主帰属四半期純利益が59.1%減の14億93百万円だった。

 海外はコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は2億48百万円減少の16億87百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了した。営業外収益では為替差益4億15百万円を計上した。

 医薬品事業は売上高が43.5%減の54億88百万円、営業利益が94.2%減の2億27百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が22.9%減の29億65百万円、海外医薬品が12.5%増の17億88百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が1.7%増の7億32百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国においてコロナ禍影響から市場が概ね回復し、為替の円安も寄与した。中国ではコロナ禍に伴うロックダウンの影響で減少した。8月から出荷再開予定である。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が増加したが、ダルトン社の医薬品受託製造が減少した。

 LAL事業は売上高が35.7%増の28億19百万円、営業利益が79.8%増の8億99百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 23年3月期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)のショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 期初時点の想定としては、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は戻り試す

 株価は5月の年初来安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。8月5日の終値は866円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約492億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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