相場展望9月16日号 『日経平均は、米株の下落に逆行して株高』の理由 ソフトバンクGは英アーム全株売却で株高

2020年9月16日 07:20

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■I.米国株式市場

●1.米株式市況の推移

 1)9/14、NYダウは+327ドル高の27,993ドル
  ・大型M&Aのエヌビディアとアーム、ティックトックとオラクルの提携を好感し、ハイテク株主導で反発。

【前回は】相場展望9月14日号 米株式は、『買いは弱いが、金融緩和との攻防続く』 中国株式も軟調局面、日本株『2進1退⇒1進1退』へ

 2)9/15、NYダウ+2ドル高の27,946ドル
  ・原油先物高で、NYダウは一時+200ドル超えたが、銀行株やアップルが売られ下落に転じて終値は+2ドル高となった。アップルは次世代通信規格「5G」対応のiPhoneの発表がなく、材料出尽くしの売りが出た。
  ・ハイテク株の多いナスダックは+133高(+1.2%高)、SP500も+17高(+0.5%高)。ソフトウェアのマイクロソフトなど、アップル以外の主要ハイテク株はしっかり。

●2.米国・ニューヨーク連銀製造業景況指数は17.0と、予想(7.0)と前月(3.7)から大幅に上昇

●3.米輸入物価指数は、8月+0.9%上昇し、予想(+0.5%)を上回った

 1)7月の上昇率+1.2%からは下がった。

●4.米企業動向

 1)カーニバル
  ・赤字幅が予想を上回り、株価は9/15に▲10.0%安の16.06ドルを付けた。
  ・コロナ禍でクルーズ船の全てを運行停止、売却も増やすという方針が、業績の不透明感につながった。

 2)シティG(日経新聞より)
  ・リスク管理の不備や貸倒引当金の積み増しなど、コスト増につながる材料が相次ぎ、嫌気した売りが出た。
  ・9/14に▲5.65安、9/15も一時▲4.8%安と、連日で大幅安となっている。
  ・シティは、人員削減を再開してコスト削減するとの方針が9/15に伝わる。
  ・モルガン・スタンレーは9/15付けで、シティの目標株価を引き下げた。

 3)JPモルガン
  ・低金利や低調なローンの伸びのため、下方修正。
  ・第3四半期の貸倒引当金は前期並みにとどまる模様。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数は、小幅高で推移

 1)9/14は+18高、9/15は+16高。

●2.中国の8月小売売上高は前年同月比+0.5%増え、今年初めてプラスに転じた

●3.WTO(世界貿易機関)、「米国の対中国関税は貿易ルール違反」と米政府の主張を退ける(ブルームバーグより

 1)WTOの紛争処理小委員会(パネル)は、2018年に米国が中国製品を対象に課した関税は9/15の報告書で、「関税措置が暫定的に正当化されることを立証する責任を、米国は果たさなかった」と結論付けた。
 2)米政府は、60日以内に上訴することができる。
 3)なお、米政府が上訴すると、パネルの上級委員会は欠員のため開催できず、パネルの決定は確定しない状況が続く。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/14、日経平均は+152円高の23,559円
  ・英半導体設計大手のアームの売却を発表したソフトバンク・グループが大幅上昇し、1銘柄で日経平均を+113円押し上げ、本日の上昇分の7割強を占めた。
  ・先物で、外資系は買い越し転換したが、出来高が2万枚と極端な閑散取引が続く。
 
 2)9/15、日経平均は▲104円安の22,354円
  ・自民党総裁選を終え、材料出尽くしとの見方から幅広く利益確定売りがでた。

●2.日経平均は米株下落に逆行して株高

 1)理由
  (1)期末配当取り目的の買いによる先高期待
  (2)東京都のコロナ規制緩和への期待
  (3)菅新首相期待
  (4)日銀とGPIFによる買いが、外人売りを吸収するとした上昇期待
  (5)企業業績改善の先回り買い

●3.ソフトバンク・グルーブは、経営陣による自社買収(MBO)で株式非公開化計画を再考か

 1)英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)、ブルームバーグが報じた。

●4.ソフトバンク・グループ(SBG)、英アームの全株式を米エヌビディアに売却(ブルームバーグより抜粋)

 1)SBGは9/14、ビジョン・ファンドとともに保有する英半導体設計子会社のアームの全株式について、コンピューター・グラフィックス(CG)用半導体製造で最大手の米エヌビディアに最大400億ドル(約4兆2,500億円)で売却すると発表した。

 2)SBGは4年前の2016年9月にアームを約310億ドル(約3兆3,000億円)で買収した。

 3)SBGとビジョン・ファンドは売却し、現金100億ドルとエヌビディア株式215億ドル相当を受け取る。取引完了後、SBG等のエヌビディア株の保有比率は6.7%から8.1%となり、筆頭株主になる見通し。

 4)この取引完了は、米国・英国・欧州連合(EU)・中国などの規制当局の承認が必要なため2022年3月ごろとなる見込み。

 5)ソフトバンクGの株価は、この発表で+9.3%高となった。

 6)米エヌビディアが英アームを傘下に収めることで、半導体製造業界の構造に変化を与える可能性がある。

●5.日銀は、9/16~17開催の金融政策決定会合で、「金融緩和策の維持」の方向と予想

 1)政府と日銀は、(1)デフレ脱却と(2)持続的な経済成長の実現に向けて、2013年1月に共同声明を発表し、日銀は2年程度で2%の物価上昇率を達成するという明確な目標を掲げていた。

 2)その後に日銀総裁に就任した黒田総裁は、「異次元と称した大規模金融緩和」に踏み切ったが、(1)円安と(2)株高は進んだが、(3)2%の物価上昇率は実現していない。

 3)黒田総裁の記者会見は9/17にあり、9/16発足の菅政権との連携に、市場は注目している。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

  ・4592 サンバイオ   再生細胞薬の脳梗塞治療薬が臨床試験で進展。
  ・7203 トヨタ     中国での新車販売好調。
  ・6113 アマダ     中国の自動車向け中心に工作機械の受注期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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