相場展望8月11日号 米国株は材料出尽くしで、今週がピークの可能性(1/2)

2020年8月11日 07:18

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・米国は、(1)米証券市場 (2)通信分野で中国を排除
・米国の対中国の強硬策転換は2017年12月に発表済み

■I.米国株式市場

●1.米株式状況 7/31~8/10でNYダウ+1,478ドル高(+5.6%)、今週がピークの可能性高い

 1)8/5、非製造業景況指数が予想以上と、コロナワクチン好試験結果でNYダウ+373ドル高

【前回は】相場展望8月5日号 日本の8月は特異月、10年連続の外国人売越し、警戒 中国長江・淮河の流域大洪水で中国食糧危機の恐れ

 2)8/6、海外渡航勧告解除と失業保険申請件数の減少を好感し、NYダウ+185ドル高。
  ・米国務省が海外渡航勧告レベル4を解除し、航空会社や旅行社を支援する。
  ・米週次の失業保険申請件数の予想以上の減少。
  ・大統領令で経済が助けられるとの期待が強まり。

 3)8/7、雇用統計7月で雇用者数が市場予想を上回り、失業率は小幅低下、ダウは+46ドル高。

 4)8/10、追加経済対策の大統領令に署名したのを好感し、+357ドル高。
  ・ナスダック総合は2日連続で下落、8/10はアップルを除いたアマゾン・テスラ・ネットフリックス・マイクロソフト・ズームと牽引役銘柄が下落したことに注目。

 5)この追加経済対策決定が材料出尽くしとなり、今週が株価ピークの可能性高い。

●2.トランプ大統領の発言・署名

 1)8/6発言、「雇用を米国に戻すために全ての手段を用いる」。

 2)大統領令に8/8署名。
  (1)失業保険給付の上乗せ延長(7月末までの上乗せが週600ドル、今回は週400ドル)
  (2)年収10万ドル未満の給与税の一時免除(期間は9/1~12/31まで)
  (3)家賃未払に伴う住居立ち退き猶予の延長
  (4)学生ローン返済の減免措置

●3.米株式は、決算と追加経済政策など好材料があったが、今後は不安材料に視点が向く可能性がある

 1)トランプ大統領令による「追加経済政策」で、材料出尽くしとなる可能性がでてきた。
  ・野党・民主党との合意不成立の中での大統領令のため、訴訟などが起きる懸念がある。

 2)決算発表シーズンも終わり、さらなる好材料が生まれる可能性は今後低下が予想される。

 3)むしろ、大統領選挙・米中対立・米国債の格下げ等の不安材料が多くなりそう。

●4.先週分の新規失業保険申請件数は118.6万件と、予想以上に減少

 1)米労働省8/6発表で、先週比▲24.9万件と、予想140万件を下回り3月中旬来の低水準。

 2)失業保険継続受給者数は1,617万人と、前回1,695万人から減少、予想1,690万人下回る

 3)米市場は好感し、米10年国債の利回りは+0.1%上昇、ドルも強含んだ。

●5.米国は2017年12月に、今までの対中国関与政策は失敗と断定し、『破棄』を公式文書で宣言

 1)米国による対中国の強硬政策への変更の流れ
  (1)トランプ大統領は2017年12月、『中国を、米国や自由世界の安全保障・利害・価値観に脅威を与える危険な存在と位置付ける』重要政策文書を発表した。
  (2)2018年2月に、トランプ大統領は改めて「中国を世界貿易機関(WTO)に加盟させたのが 間違いだった」と述べて、今までの米国の対中国関与政策の失敗を明言した。
  (3)2018年10月の、ペンス副大統領の「対中国への強硬演説」。
  (4)2019年10月の、ペンス副大統領は2度目の「対中国への強硬演説」。
  (5)その後のポンペオ国務長官の演説

 2)その理由
  (1)中国の不公正な経済慣行
  (2)巨額な貿易不均衡の放置
  (3)南シナ海での無法な領土拡張
  (4)チベット、ウイグル、香港での人権弾圧
  (5)米国内での中国によるスパイや違法政治工作
   など。

 3)トランプ政権による対中国への強硬政策のほとんどが新型コロナ感染拡大の前に実行されており、大統領選挙への有利な状勢転換を狙ったものと断定するのは無理筋。ただ、大統領選挙前は争点が熱くなりやすい。

●6.ポンペオ米国務長官は8/5、米企業に中国テクノロジー企業との『決別』を促す

 1)アプリ配信を手掛ける米企業に、中国製アプリが「信頼できないアプリ」として締め出しを要求。中国アプリは「米国民の個人データにとって重大な脅威」であり、中国当局による検閲の道具になっている可能性があると述べた。

 2)中国のテンセントやアリババ、バイドゥのクラウドサービスも使用を止めるように求めた

 3)この動きは、米ティックトック事業の強制売却か閉鎖かにとどまらないことを示す。

 4)対中国で、米国の通信保護のための5指針を公表。
  (1)中国発のアプリを排除
  (2)クラウドサービスから中国企業を排除
  (3)米通信網から中国の通信事業者を排除
  (4)米国製アプリを中国製スマホにプリ(事前)インストールすることを禁止
  (5)中国による諜報目的の海底ケーブル利用を禁止
  なお、ポンペオ氏は、日本など同盟国にも同様の対応を迫る姿勢を示唆した。

●7.トランプ大統領は8/6、中国の動画アプリ「ティックトック」を45日後に禁じる大統領令署名

 1)中国テンセントの「ウィーチャット」も同時に禁じると表明した。
  ・この報道を受け、テンセント株価は▲5%下落し、アリババ株も▲5.1%安。

 2)インドでは既に中国アプリを禁止している。

 3)中国では、体制批判の道具になりかねないフェイスブックやツイッターなど米企業のインターネットサイト(SNS)を既に締め出している。米グーグルもネット検閲をめぐり、2010年に中国撤退を余儀なくされた。中国外務省は、「中国市場に参入する企業は、中国の法律を順守する必要がある」と自国の行為を正当化した。

●8.中国はファーウェイの5Gで『通信傍受する』、これは米英の歴史から明らか(8/6.Newsweek)

 1)なお、中国共産党・政府の内部通達で、党・政府の情報システムから米国等の外国製品を排除し、2022年までに中国製品に切り替えよとの命令が、2019年末に発覚した。

 2)これは中国が5G等を通じて『他国の通信傍受と通信を通じて画策する』意図の逆証明とも言えよう。

 3)中国は、中国情報システムから通信傍受されないために外国製品を排除するが、他国には中国製品の5G機器を強力に拡販しようとするのは矛盾があり、隠された意図を感じる。

●9.企業動向

 1)ウェスタンデジタル株価急落、半導体メモリーの年後半の出荷減を懸念
  ・コロナ再感染拡大でサプライチェーン混乱の可能性や、年前半にクラウド需要好調で伸びたデータセンター向けが反動から弱含むとの見方。

●10.新型コロナ感染拡大

 1)米国の死者数は12月までに29.5万人の予測(ワシントン大学保健指標評価研究所)

 2)米国8/8までの死者数は累計で16万人超、感染者数が500万人超える。全世界の感染者数は1,963万人を超え、死者は72万人を上回った。

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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