相場展望7月22日号 トランプ氏挽回で、南シナ海人工島破壊、株式市場暴落も 大統領選挙前の8月中旬~10月末は警戒(1/2)

2020年7月22日 08:05

小

中

大

印刷

■I.米国株式市場

●1.米株式市況、7/15にNYダウ26,870ドルに上昇、7/16・17は下落し、7/21は上昇

 1)ワクチン開発の期待はありながらも、米国の経済活動正常化遅れの懸念が株価の重石に。
  ・米雇用の回復鈍化を示唆する経済指標を材料にした売りが優勢だった。
  ・新型コロナ感染者数が7万人を超える過去最多の水準で推移し、経済回復の遅れ懸念。

【前回は】相場展望7月16日号 南シナ海を巡る米中対立の激化で『衝突の火種』膨らむ

 2)米中対立の激化懸念も投資家心理を冷やす。

 3)決算(4~6月期)決算を迎え不透明感が出た。

 4)だが、7/21は欧州連合(EU)で92兆円の新型コロナ復興基金の合意を好感して、米市場でも買い優勢となってNYダウは+159ドル高・26,840ドルとなる。

 5)SP500をPER(株価収益率)でみると29.9倍と割高水準にあり、株式市場は今がピーク近辺に接近しているかもしれない。

●2.米長短金利差(米国債10年債と2年債の金利差)が縮小し始めていることに今後、注目

 1)6/5 0.689% ⇒ 7/16 0.472% ⇒ 7/20 0.463%

●3.米国経済は改善率鈍化

 1)小売売上高が改善ながらも、伸び率は鈍化。7月はコロナ感染の再拡大で悪化が予想される。

●4.民主党バイデン政権が誕生した場合

 1)現在の米国選挙に関する世論調査によると、大統領にバイデン、上下両院議会は民主党が多数となる「トリプル・ブルー」の可能性がある。

 2)バイデン政権の予算の特色
  (1)社会保障費・公共事業費の増額は不可避。
  (2)軍事予算は削減し、安全保障支出は相対的に制限される懸念。
  (3)増税
   ・法人税     21% ⇒ 28%にアップ。
   ・富裕税     年収40万ドル以上の富裕層に課税。
   ・不動産投資課税 7,750億ドル(約83兆円)の財源確保、育児と高齢者ケアに充当。

 3)「トリプル・ブルー」の場合、米株式市場にとって増税という良くない影響が及ぶ可能性がある。

●5.共和党が1兆ドルの追加対策を準備

●6.ABCニュースとワシントンポスト紙が7/19発表した最新の世論調査では、バイデン候補有利

 1)バイデン候補支持55%、トランプ大統領支持40%で、その差は15%まで拡大。差は縮まるどころか、逆に開く一方である。

 2)こうした傾向が続くと、米国民の反中意識の強い高まりを背景にして、トランプ政権が11/3の投票日前の8月中旬~10月末頃に、中国の『南シナ海の人工島・軍事基地を破壊』するという局地戦争を起こす可能性が出てくる。選挙の劣勢を挽回する有力な手法で、一気にトランプ支持が高まるだろう。まして、バイデン候補は国民に痛みを伴う増税を公約に掲げ始めただけに効果的。

 3)ポンペオ米国務長官の最近の対中国への強硬な非難は、その前段階かもしれない。

 4)中国が習近平政権になって造った南シナ海の人工島は、民間人がほとんど居ないし、ハーグの国際司法裁判所(常設仲介裁判所)が『違法』と判決を下している。これを米国が攻撃しても、人道的もしくは国際法で責任を問われるリスクは少ない。

●7.金価格の高騰を予想

 1)高騰する要因
  (1)過剰流動性からのインフレヘッジ
  (2)株式市場の乱高下からの逃避(株式市場のVIX恐怖指数上昇)
  (3)米国による中国攻撃の高まりへのリスクヘッジ
  (4)FRBによる米ドルの印刷増に伴う米ドルの下落回避

 2)年末前に金価格は2,000ドル/1オンスに押し上げられる可能性がある。

 3)現在の指標からすると、金価格の調整局面は買い場になる。

●8.国際通貨基金(IMF)、(1)米国政権は早期の景気刺激策実施を (2)米FRBは資産購入拡大を

 1)米国では新型コロナ感染の再拡大のなかで、今後数週間に連邦政府の救済策の幾つかが期限切れとなり、景気回復が脅かされることを懸念して、追加策の実施を促した。
 
 2)IMFは米失業率が10~12月期で9.7%と予想しているが、これは2019年の水準の3倍。

●9.米消費者マインド指数、7月は予想外の73.2(予想79、前月78.1)と低下し、悲観的に

 1)新型コロナの感染再拡大で、経済再開により芽生えていた楽観がほぼ消滅した。

 2)調査したミシガン大学では、消費者は(1)経済の打撃拡大 (2)社会的混乱の増大 (3)家計が克服できないような傷跡が残る、ことを予想しているとした。

●10.米ジョンズ・ホプキンス大学発表の7/16新型コロナ感染者数

 1)7万人を超え過去最多だった。

 2)米経済の正常化が遅れるとの懸念は強い。

●11.米上下院で7/20から新型コロナ関連の追加の経済支援策について協議再開

 1)州・地方政府への支援や7月末で打ち切られる失業給付の増額措置などについて協議。

 2)株式市場では、この議論を見極めたいとのムードが強く、積極的な売買は手控えられた。なお、7/21は欧州の復興基金92兆円規模の合意を好感して、NYダウは+0.6%高。

続いて、「中国株式市場」「日本株式市場」の分析、「注目銘柄」へ

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

記事の先頭に戻る

関連キーワード景気アメリカ中国富裕層安全保障増税社会保障習近平南シナ海不動産投資

関連記事

広告