相場展望5月18日号 米国株式はなぜ力強いか。その疑念は? EPS(1株利益)の大幅悪化は、時間差で株価急落の前兆(2/2)

2020年5月18日 08:30

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■II.中国株式市場

●1.中国の自動車業界下位メーカーの脱落が加速

 1)湖南省の猟豹汽車(レオパルド)が長沙工場の運営を、浙江省の吉利汽車(ジーリー)に委託。

 2)猟豹汽車は国有企業・長豊集団の傘下にあり、前身は人民解放軍の軍需工場だった。1996年から三菱自動車の「パジェロ」をライセンス生産し、SUVに強い中堅メーカーとして一定の認知度を得ていた。2017年に年12万台以上を販売したが、2018年以降は深刻な販売不振に陥っていた。
 
 3)吉利汽車の親会社・浙江吉利控股集団はダイムラーとボルボの筆頭株主。董事長と親しい習近平・国家主席は「吉利を支援せずして、どの企業を支援するのか」と発言。吉利の董事長の夫人は、習近平夫人の妹と言われている。

●2.中国・環球時報は4/16付け記事で、「外交で『中国が唯々諾々と従う時代は終わった』」と言い放った。(Wedge 5/14)

(注)環球時報は、中国共産党機関紙「人民日報」系の国際版。

 1)ニューヨーク・タイムズを始めとする欧米メディアは、この記事に敏感に反応している。

 2)中国外交部の副報道局長は「戦う外交官」として強硬な発言を繰り返し、また各国駐在中国大使なども強圧的ともいえる強気の発言を行っている。

●3.米政権は、連邦職員・軍人の退職年金を運用する年金運用機関に要請

 1)近く新たに45億ドル(約4,800億円)を中国株に振り向ける計画だった。

■III.日本株式市場

●1.日経平均が下落する前兆

 1)アベノミクス相場スタート後の日経平均EPSとPERの推移
             EPS    PER
   2012年12月20日   610円  16.44倍
   2013年04月25日   594    23.41
   2020年03月16日  1,603    10.60
   2020年05月15日   728    27.50:EPSは3/16比▲54.5%安でPERを上昇
    注)PER:株価収益率、EPS:1株当たり利益

 2)EPSの大幅悪化は、時間差で株価急落の前兆となる可能性が高い。
   過去の事例
    2013年04月25日 PER   23.41倍
    2013年05月22日 日経平均15,627円 
    2013年06月13日 日経平均12,445 ・・・高いPERの後の下落率▲20.36%

 3)米NYダウとの連動性に変化
   NYダウが上昇時に日経平均は敏感に反応するが、NYダウが下落時に日経平均は鈍感

 4)PBRの1倍割れだけで、日経平均の割安さを主張するのは異常。

 5)日経平均の株価上昇のエンジンは国内大手(野村)であり、海外投資家ではない。

 6)日経平均VI(恐怖指数)は5/13 29.15と、3/16の60.67から低下したが、まだ高値圏といえる30近辺と高水準の為注意を継続したい。

●2.NYダウと日経平均との単純差が最接近 ⇒ 通常差に戻るには(1)NY株上昇か(2)日経平均下落か

 1)3/4 5,990 ⇒ 5/13 2,980pt(ポイント)
  この最接近が意味するところは、「米国株に対して日本株が強くなってきた」の意味か?

 2)早晩、5,000pt台に回帰すると思われるが、その修正方法は(1)NYダウ上昇または(2)日経平均の下落、と2通りあるが、素直にみると、いずれ(2)の日経平均株価が下落することで修正を計るだろう。理由は、PERが27.50倍と割高水準にあり、低下するEPSに合わせるのが妥当な為。

●3.企業業績

 1)武田薬品  2020年3月期の純利益は442億円(前期比▲67%減)巨額買収で。
         コロナ治療薬7月から臨床試験開始へ。
 2)ソニー   2020年3月期の営業利益8,455億円(前年比▲5.5%減)。
         2020年1~3月営業利益345億円(前年比▲57%減)。
         2021年3月期公表見送りながら、営業利益は▲3割減超と試算。
 3)三菱マテリアル 2020年3月期の最終損益▲720億円の赤字(前期+12億円の黒字)。
 4)三菱ケミカル  2020年3月期の純利益+540億円(前年比▲68%減)。
           2020年4~9月期の純利益ゼロ。2021年3月通年は+490億円。
 5)ユニ・チャーム 2020年1~3月期の営業利益+302億円(前年同期比+50.7%増)。
           2020年12月期通期見通しは据え置き。

■IV.注目銘柄(株式投資は自己責任でお願いします)

 ・4502 武田薬品   シャイヤーとの合併が良好な結果。
 ・6182 ロゼッタ   高性能翻訳機の需要が拡大。
 ・6981 村田製作所  5G関連の電子部品で強み。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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