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・ブラックスワン飛来後の戻りも、範囲を超えるかに注目
■I.米国株式市場
●1.米NYダウ、SP500は転換点を通過するか
1)NYダウ推移
NYダウ PER EPS
高値 2月21日 29,551ドル 23.01倍 1,284ドル
暴落 3月23日 18,591 14.45 1,286
戻り高値 4月30日 24,345 19.89 1,224
(注)PER:株価収益率 EPS:1株当たり利益
【前回は】相場展望5月7日号 米国・日本株の振り返りと、2~3番底の予想シナリオ 「日経平均上昇」と「1株利益(EPS)低下」の共存は矛盾
2)NYダウは2月21日高値から▲10,960ドル下落後、4月30日戻り高値24,345ドルまで+5,754ドルと下落幅に対して戻り率65.0%。黄金比61.8%を超えた。
3)転換点に立つ
・5月08日現在のNYダウは24,333ドルとダブルトップを形成。
・チャートでは、(1)全値戻しで上昇 (2)下落 の転換点に位置する。
・悪材料は無視し、好材料に反応するという市場が続いている。この転換点となるダブルトップを超えて、(1)さらに上昇するか、(2)何かのきっかけで悪材料に反応し始めるかに注意したい。
・ただ、環境は良好。
(1)過剰マネーの継続、
(2)マイクロソフト、フェイスブックなどハイテク株が好調で相場を牽引、
(3) 経済活動再開と新型コロナ薬品開発振興への期待の高まりなど。
・ファンドの中間決算に当たる6月末をにらんだ解約のリスクに注目。解約申込はファンドによって(1)45日前 (2)30日前があり、5月は解約対応の資金化の売りが出やすい。
●2.米株式市場は経済指標の悪化と、センチメントの良さという不安定な均衡のなか上昇
1)失業率4月が最悪の結果だったが、株式市場は予想数値より良かったことを『好感』して買われた。
・失業数値 予想 実績
失業率 16.0% ⇒ 14.7%
失業者数 2,200万人 ⇒ 2,050万人
2)新型コロナ影響のよる在宅勤務増加の影響もあり、ITサービス業界が好調で、増益のマイクロソフト、フェイスブックなどが米株式市場を牽引する状況が続く。
●3.4月米失業率、14.7%と急速に悪化
1)4月米雇用統計、非農業部門雇用者数は戦後最悪の2,050万人減。(3月は70.1万人減)
・新型コロナ感染拡大による経済活動停止で、過去10年分の雇用増をわずか1カ月でほぼ帳消しにした。
・3月失業率は4.4%から急上昇し、1930年代の大恐慌の25%に次ぐ深刻な事態に直面した。
・米国市場最悪のマクロ経済データ報告といえる。
・米議会予算局(CBO)は失業率が7~9月期に16%に悪化した後、年末までに11.7%まで回復すると予測。しかし、米経済の再開が順調に進まず、企業の人員整理や経営破綻が拡大した場合、失業率は高止まりするおそれがある。
2)新規失業保険申請件数は5月2日までの7週間で3,350万件。
・失業は、宿泊・飲食サービス・小売などの分野に集中する様相が強まる。
・失業が上記の業界から広範に削減が広がるなら、「不況が幅広く経済に波及」を示す。
●4.米中、貿易合意の実行で協力を誓う ⇒ 株式市場は好感して上昇
1)米中の通商交渉トップが4月8日、中国の劉副首相と米国通商代表部ライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官が電話協議した。
2)電話協議は、年初に合意した内容を改めて確認したに過ぎず、これを材料とした株価上昇は『危うさ』を感じる。
●5.企業動向
1)JPモルガン 行員の職場復帰は段階的に行うとして、行員をオフィスに戻す予定はまだない。従業員25万人余りのうち7割が3月末からテレワークに移行している。
2)GM ジャンク債(投機的水準)並みの条件で40億ドル(約4,300億円)の起債を実施した。発行利回りは7年債で米国債を6.35%も上回る水準。
3)グーグル 柔軟な在宅勤務を年末まで延長。7月からオフィスに戻ることもできる。
フェイスブック 同上。
4)マイクロソフト 1~3月期決算の純利益は、前年同期比+22%増の107.5億ドル(約1.1兆円)。
5)フェイスブック 1~3月期決算の売上高は前同期比+18%増、純利益は倍増の49億ドル。
●6.各国の状況
1)オーストラリア GDPはピークから▲10%縮小、消費も▲15%減と予測。
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