クリーク・アンド・リバー社は25年2月期予想を下方修正、自己株式取得も発表

2025年1月10日 09:31

(決算速報)  クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は1月9日に25年2月期第3四半期累計連結業績を発表した。第1四半期に発生した大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、医療分野における構造改革の影響などで減益だった。そして通期連結業績・配当予想を下方修正した。25年2月期は下方修正して減益予想となったが、積極的な事業展開で26年2月期の収益拡大を期待したい。なお自己株式取得(上限40万株または5億円)を発表した。株価は上値が重くモミ合う形だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性があるが、自己株式取得が支援材料となって下値は限定的だろう。

■25年2月期3Q累計減益、通期連結業績・配当予想を下方修正

 25年2月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比0.7%増の381億02百万円、営業利益が14.2%減の29億86百万円、経常利益が13.2%減の30億59百万円、親会社株主帰四半期純利益が10.8%減の20億31百万円だった。

 売上高は横ばい、各利益は減益だった。日本クリエイティブ分野において第1四半期に発生した大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、日本クリエイティブ分野および会計・法曹分野における人材紹介サービスの成約長期化の影響、医療分野において前期後半から実施した営業体制見直し等の構造改革の影響のほか、AI/DX領域への先行投資、オリジナルコンテンツ開発投資(IZON、電子書籍等)なども影響した。

 日本クリエイティブ分野(6社)は売上高が0.5%増の263億04百万円、営業利益(全社費用等調整前)が18.0%減の18億54百万円だった。大手ゲームパブリッシャーの案件縮小、人材紹介サービスの成約長期化の影響などで売上高が伸び悩み、オリジナルコンテンツ開発投資による費用増加も影響した。韓国クリエイティブ分野(2社)は売上高が14.9%減の23億26百万円、営業利益が9百万円の損失(前年同期は25百万円の損失)だった。TV局向け派遣が減少したが、Webtoonの伸長などにより営業損失が縮小した。

 医療分野(2社)は売上高が2.0%減の43億72百万円、営業利益が10.9%減の11億38百万円だった。営業体制見直し等の構造改革の影響で成約数が減少した。会計・法曹分野(2社)は売上高が1.7%減の18億55百万円、営業利益が18.2%減の1億円だった。人材紹介サービスの成約長期化が影響した。

 その他事業(新規事業18社)は売上高が26.3%増の32億43百万円、営業利益が85百万円の損失(同1億52百万円の損失)だった。投資段階事業が多いため全体として営業損失だが、前年比では損失縮小した。営業利益増減の内訳は増益の10社合計で1億72百万円増益、投資が増加した6社合計で76百万円減益、新規設立・グループ化2社合計で18百万円減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高128億54百万円で営業利益12億61百万円、第2四半期は売上高129億82百万円で営業利益9億34百万円、第3四半期は売上高122億66百万円で営業利益7億91百万円だった。なお医療分野の営業利益は上期(特に第1四半期)に偏重する特性がある。

 通期連結業績予想は1月9日付で下方修正し、売上高が24年2月期比1.4%増の505億円、営業利益が6.2%減の38億50百万円、経常利益が5.7%減の39億円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の25億円としている。配当予想は1月9日付で期末2円下方修正し、24年2月期と同額の41円(期末一括)としている。予想配当性向は35.1%となる。

 前回予想(24年4月11日付で公表した期初予想値、売上高550億円、営業利益48億円、経常利益48億円、親会社株主帰属当期純利益31億円)に対して、売上高を45億円、営業利益を9億50百万円、経常利益を9億円、親会社株主帰属当期純利益を6億円、それぞれ下方修正した。営業利益9億50百万円下方修正の内訳は、大手ゲームパブリッシャーの案件縮小等の影響で3億円、医療分野における構造改革影響で3億50百万円、人材紹介サービスの成約長期化の影響で1億円、AI/DX領域への先行投資で1億円、オリジナルコンテンツ開発投資(IZON、電子書籍等)で1億円としている。

 25年2月期は下方修正して減益予想となったが、積極的な事業展開で26年2月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は上値が重くモミ合う形だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性があるが、自己株式取得が支援材料となって下値は限定的だろう。1月9日の終値は1568円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS116円73銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の41円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS713円59銭で算出)は約2.2倍、そして時価総額は約361億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事

最新記事