EG Research Memo(4):2024年9月期は下期業績回復傾向も減収減益で着地

2024年12月26日 15:34

*15:34JST EG Research Memo(4):2024年9月期は下期業績回復傾向も減収減益で着地
■イー・ガーディアン<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0605000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6050></a>の業績動向

1. 2024年9月期の業績
2024年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.3%減の11,391百万円、営業利益が同4.1%減の1,705百万円、経常利益が同5.4%減の1,708百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.0%減の1,057百万円と減収減益となった。売上高に関しては、修正計画値(11,503百万円)に対して99.0%とわずかに届かなかった。好調だったのは、EC・フリマサイト向けのカスタマーサポートが堅調に推移したほか、下期以降は既存顧客の新規案件獲得が進捗した。また、脆弱性診断やWAFの拡販によりサイバーセキュリティが大きく伸長した。一方で、既存顧客の売上高の減少を吸収できず、減収となった。なお、チェンジHDとの協業に関しては、ソーシャルサポート等の主力事業及びサイバーセキュリティ事業において、チェンジHDグループの既存外注業務の同社への移管、相互の顧客基盤を活用した共同提案を既に開始している。四半期ごとの売上高では、2024年9月期4Q単独では前年同期比で2.8%増加しており、業績の底打ちが確認できる。

利益面では、営業利益で修正計画値(1,758百万円)を53百万円下回った。営業利益率では前期を0.1ポイント上回る15.0%となった。原価管理の徹底、新規案件の価格設定を厳格化、AIを活用したセンターのオペレーション効率改善などを通じて収益力の向上に取り組んでおり、売上総利益率で1.4ポイント増加した。

2024年9月末の財務指標では、自己資本比率87.7%、流動比率688.1%と安全性が極めて高い。現預金10,402百万円、有利子負債ゼロと資金(調達)余力も十分あり、今後の業界再編、M&A戦略をリードするうえで財務基盤は健全である。

2. 2025年9月期の業績予想
2025年9月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.5%増の12,365百万円、営業利益が同6.7%増の1,819百万円、経常利益が同6.8%増の1,824百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同15.4%増の1,220百万円であり、前期の底打ちから回復軌道に戻り、増収増益基調を確認できる予想である。

既存BPO領域では、市場の成長、新たなサービスや技術の登場、規制強化などの契機を捉えるとともに、誹謗中傷やなりすまし広告などの被害の拡大や人手不足などの社会情勢を背景に、継続的な成長を見込んでいる。EC・フリマ、Fintech関連、ゲームサポートにおけるSNS運用、風評調査などに成長の余地がある。また、引き続き営業組織の体制強化に取り組み、顧客の潜在的なニーズを汲み取り提案を強化することで、新たな案件創出に注力する。チェンジHDグループの既存外注業務の同社への移管を拡大するとともに、チェンジHDグループの顧客基盤を活用してサービスの拡販・提供に取り組むこと大企業や自治体などのエンタープライズ向けデジタルBPO領域を拡大する。

サイバーセキュリティ事業においては、サイバー攻撃による情報漏えいやウェブサイトの改ざんなどの被害拡大を背景に企業、学校、病院、地方自治体などあらゆる組織のサイバーセキュリティ対策に関する旺盛な需要を受け、既存サービスである脆弱性診断、WAF、コンサルティングサービスを軸に、市場の需要に応じてワンストップを提供する。さらなる成長に向けて、新卒、中途の両軸での人材の確保に注力し、同社のノウハウとチェンジHDが有するデジタル人材育成力を活用することで、セキュリティ人材として成長できる体制を構築する。また、マーケティング施策に引き続き注力することで、業績拡大につなげるとともに、同社のブランドイメージ向上を目指す。

弊社では、BPO及びサイバーセキュリティ領域における外部環境がおおむね良好であること、営業力・マーケティング力の底上げが前期に行われたことで新規案件が足元増加していること、チェンジHDとの相乗効果が顕在化することが予想できることなどの要因で、売上高・各利益の上乗せ可能性もあると考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《HN》

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