ビジョン:グローバルWiFi事業を中心に業績2桁成長続く、株主優待も一部変更で優待利回りも高まる
2024年12月26日 13:07
*13:07JST ビジョン:グローバルWiFi事業を中心に業績2桁成長続く、株主優待も一部変更で優待利回りも高まる
ビジョン<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0941600?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9416></a>は、グローバルWiFi事業を主力事業としており、情報通信サービス事業、グランピング・ツーリズム事業の3つを展開している。
グローバルWiFi事業は売上構成比の57.0%を占め、訪日外国人や海外渡航者向けにパケット定額制の海外用Wi-Fiルーターレンタルサービスを提供。世界200以上の国と地域をカバーしており、法人向けの需要にも対応している。特に、「グローバルWiFi for Biz」は、急な海外出張やテレワークなど、多様な利用シーンに対応することで法人顧客の信頼を得ている。また、無制限プランや5G通信対応のサービスを拡充することで、利用者に利便性を提供すると同時に、競争優位性を強化している。利用者数は累計2,100万人を超え、業界トップクラスのポジションを維持。海外利用の顧客属性は2024年12月期第3四半期累計期間で、件数ベースで法人53.9%・個人46.1%、金額ベースで法人66.5%・個人33.5%。リピートが6割程度、新規が4割程度となり、幅広い年齢層に利用されている。また、世界180以上の国と地域で利用可能なeSIMサービス「World eSIM」の販売にも注力している。
情報通信サービス事業は、売上構成比の39.1%を占め、法人や個人に向けて通信インフラやオフィス機器を提供している。特に、新規設立の法人向けサービスが強みであり、スタートアップ企業を対象とした効率的な営業戦略により、年間約14万社の法人設立に対応している。年間国内で新規設立される法人の約10社に1社と取引があるという強みを持ち、成長ステージに応じた最適なソリューションを提供するストック型ビジネスモデルとなる。さらに、固定通信や移動体通信、OA機器、Webサイト制作など、幅広い製品・サービスを通じて、顧客の成長ステージに応じたニーズに応えることで収益を拡大している。CRMを活用したアップセルやクロスセルにより、顧客満足度と継続的な収益の最大化も図っている。
グランピング・ツーリズム事業は売上構成比3.5%を占め、自然体験とプライベート空間を融合した宿泊サービスを提供しており、ドーム型テントや露天風呂などを備えた高付加価値な体験が特徴。同事業は、非日常的な体験を求める顧客層に支持されており、国内外の観光需要の回復が後押しとなっている。ただ、重点事業ではなく、積極的に施設を増加させていく予定はないようだ。
2024年12月期第3四半期累計の売上高は前年同期比9.0%増の26,111百万円、営業利益は同16.1%増の4,317百万円で着地した。主力のグローバルWiFi事業は、法人需要が堅調に推移し、特にデータ容量「無制限プラン」の需要が高い水準で推移したことが業績向上の主因となった。無制限プランの利用率は法人73%・個人62%で、「無制限プラン」の提供エリアは11月に116の国と地域へ拡大した。また、新製品「World eSIM」の販売も順調に進み、事業の競争力をさらに強化している。情報通信サービス事業も営業力の強化が奏功し、OA機器や移動体通信機器の販売が好調で、自社ストックサービスの拡販が進展して収益基盤の安定性が向上している。通期の売上高は前期比13.6%増の36,145百万円、営業利益は同33.3%増の5,707百万円の見通し。
中期的な成長イメージでは、グローバルWiFiで事業顧客基盤を拡大、海外マーケットへの展開およびM&A強化、新サービスやクロスセル商材の拡充を図っていく。現状は、日本から海外へのアウトバウンド需要が多くを占めているが、海外から日本へのインバウンド、海外から海外へのグローバル展開も想定しており、収益の拡大余地は大きい。また、情報通信サービス事業でも商品・サービス・ビジネスモデルを強化し、自社ストックサービスを最大化させていく。SaaSの展開・記帳代行サービスの拡充も想定しており、全社的にはまずは営業利益10,000百万円を目指していく。市場規模も、グローバルWiFi事業が属する国際観光市場は、2019年時点で年間14.6億人の国際観光客到着数を記録し、パンデミック後も回復基調にある。日本国内では、訪日外国人数が2030年までに年間6,000万人を目指す政府目標が掲げられており、インバウンド需要の増加が期待される。また、情報通信サービス市場では、国内での法人設立件数が年間約14万社に上り、これに伴う通信インフラ整備需要が持続的に拡大する。
直近では、株主優待制度の一部変更も発表している。「KO SHI KA | こしか」の3点セットは、原価の高騰と製造が追いつかない状況を受け、優待券(3,000 円)2枚での引き換えを廃止した。ただ、300株以上の保有者に対して「グローバル WiFi」、「VISION GLAMPING Resort & Spa」の宿泊に対する利用券3000円×3枚に加えて、クオカード15,000円分を贈呈する。このような業績好調・拡大局面かつ市場環境の追い風があるなかで、株主還元も積極的な同社の今後の動向には注目しておきたい。《NH》