フライトソリューションズ、25年3月期は拡販効果などにより黒字予想、有望案件多数で収益回復へ

2024年12月23日 12:11

 フライトソリューションズ<3753>(東証スタンダード)はマルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築なども展開している。市販のAndroid携帯を使ってカードのタッチ決済を実現する小・中規模事業者向けの新しい決済ソリューションTapion(タピオン)も本格展開を開始した。25年3月期(非連結決算に移行)は拡販効果などにより大幅増収・黒字予想としている。有望案件が目白押しであり、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は安値圏で軟調だが調整一巡して出直りを期待したい。

■電子決済ソリューションが主力

 23年10月1日付で、旧フライトホールディングスが子会社のフライトシステムコンサルティングを吸収合併し、持株会社から事業会社に経営体制を再編するとともに、商号をフライトソリューションズに変更した。

 マルチ決済装置などの電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECサイト構築も展開し、セグメント区分は、電子決済ソリューションなどの決済ソリューション事業、システム開発・保守・コンサルティングなどのSIソリューション事業、B2B(企業間取引)ECサイト構築システムのECソリューション事業としている。

 24年3月期は、決済ソリューション事業の売上高が18億61百万円で営業利益(全社費用等調整前)が5百万円、SIソリューション事業の売上高が12億17百万円で営業利益が1億96百万円、ECソリューション事業の売上高が1億29百万円で営業利益が15百万円の損失だった。収益は決済ソリューション事業の大型案件によって変動する傾向が強い。

■決済ソリューション事業

 決済ソリューション事業は、スマートデバイスを活用したカード決済ソリューションの開発・販売を展開し、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末のIncredistシリーズを主力としている。24年4月には新モデルとしてIncredist Premium Ⅲをリリースした。24年11月にはIncredistの製造について、これまでは国内と海外の2拠点で分担して製造してきたが、25年度から岩崎通信機に集約して国内製造すると発表した。サプライチェーン改善で生産効率向上と競争力強化を図る。

 市販のAndroid携帯を使ってカードのタッチ決済を実現する小・中規模事業者向けの新しい決済ソリューションTapion(タピオン)については、自社決済センター(フライト決済センター)を構築し、NTTデータの拡張性の高い決済伝送サービス「GAFIS GlobalGEAR」に接続して運用する。カフェ、カジュアルレストラン、キッチンカー、屋台、朝市など小・中規模事業者のキャッシュレス決済およびタッチ決済の普及拡大に努める方針だ。

 本格サービスインに向けて22年11月よりTapionのパイロット運用を行ってきたが、23年7月に一般加盟店の申込受付を開始した。23年8月にはフライト決済センター拡張により他の電子決済ソリューション全般へサービスを拡大すると発表した。またTapionは23年9月にAmerican Expressのクレジットカードに対応、23年10月に交通系電子マネーに対応した。23年11月には「Tapionタブレット」を発表した。

 24年2月には、法人プリペイドカード「Tapionカード」において国際決済ネットワークがMastercardに決定し、共同印刷グループのTPSとの提携で発行開始した。またフライト決済センターでのDCC決済への対応が完了した。さらに独自認定制度「Tapion検定」において、追加でAndroid携帯6機種を認定した。24年9月にはテレビ大阪YATAIフェス!2024におけるVisaのタッチ決済にTapionが採用された。

 24年12月にはフライト決済センターにおいて非対面取引(eコマース)を開始した。これにより、対面決済と非対面決済の両方に対応可能なオールインワンプラットフォームとして、登録型継続課金サービス(リカーリング)を展開する。

 自動精算機分野では、米国ID TECH社製VP6800を国内の飲料自動販売機や駐車場無人自動精算機などに接続するため、マルチ決済端末VP6800・IFCを製品化している。19年6月にはGMOフィナンシャルゲート(GMO-FG)と接続開始し、GMO-FGを通じた決済ソリューションとして自動精算機向けVP6800・IFCの拡販を推進している。23年7月には三菱プレシジョンのパーキングシステムにVP6800が採用され、総合カタログ・WEBサイトに掲載されたとリリースしている。

■電子決済ソリューションはキャッシュレス化が追い風

 電子決済ソリューションはキャッシュレス化の流れが追い風となり、決済種類・ブランドの拡大、電子マネーブランドの拡大、決済端末製品ラインアップの拡充、決済パートナーの拡大、ストック型ビジネスモデルの拡大など、電子決済ソリューションの展開を加速している。

 18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として加盟店開拓・契約締結・管理を行い、継続的に手数料収入が得られるストック型収益となる。22年3月には三菱UFJニコスとクレジットカード決済における包括的加盟店契約を締結、22年6月にはジェーシービー(JCB)と各種クレジットカード決済および電子マネー決済における包括代理店加盟契約を締結、22年8月にはSBペイメントサービスと包括代理店加盟店契約を締結した。製品販売に加えて決済代行事業も推進する。

 22年3月には、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律の規定に基づき、マイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者として、主務大臣認定(本認定においては総務大臣と内閣総理大臣)を取得した。

 22年5月にはiPadとIncredist Premium Ⅱを活用したマイナンバーカード読取によるシンクライアント型公的個人認証サービスmyVerifist(マイ・ベリフィスト)を開始した。23年5月にはmyVerifistシリーズ第2弾「医療エディション」を発表した。マイナンバーカードの健康保険証利用とキャッシュレス決済で医療機関のDX化を支援する。24年6月にはmyVerifistの機能を拡充し、運転免許証、在留カード・特別永住舎証明書、パスポートまで本人確認が可能になった。24年12月にはmyVerifistの機能拡張に向けて、iPhoneに搭載されたマイナンバーカードを用いて本人確認を行う技術開発の開始を発表した。

■SIソリューション、ECソリューション

 SIソリューション事業は公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開している。23年4月にはGoogle CloudのServiceパートナー認定を取得、24年4月にはGoogle Cloud Partner Advantageプログラムにおいてエキスパティーズ認定を取得、24年6月にはソフトバンクが運営する法人パートナープログラムONE SHIPのソリューションパートナーとして認定された。

 ECソリューション事業は、卸売・企業間取引に特化したECサイト構築システムのEC-Rider B2Bを展開している。また伝票処理自動化ソリューションの新製品OCRiderの拡販も推進する。24年6月にはEC-Rider B2Bの新バージョンEC-Rider B2B Ⅱをリリースした。

■25年3月期は大幅増収・黒字予想

 25年3月期の非連結業績予想(当期より非連結決算に移行)は、売上高が41億50百万円、営業利益が1億円、経常利益が80百万円、当期純利益が60百万円としている。前期の連結業績(売上高32億08百万円、営業利益1億03百万円の損失、経常利益94百万円の損失、親会社株主帰属当期純利益1億05百万円の損失)との比較で見ると、拡販効果などにより大幅増収で黒字転換予想としている。

 第2四半期累計(中間期)は売上高が14億02百万円、営業利益が2億35百万円の損失、経常利益が2億53百万円の損失、四半期(中間)純利益が2億54百万円の損失だった。当期より非連結決算に移行したため、前年同期の連結業績(売上高16億15百万円、営業利益39百万円、経常利益47百万円、親会社株主帰属四半期純利益36百万円)との比較で見ると減収・赤字だったが概ね計画水準だった。

 SIソリューション事業は売上高が6億82百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が99百万円だった。連結ベースの前年同期は売上高が5億54百万円で、営業利益が77百万円だった。事業会社向けの基幹システム開発や保守などにより増収増益だった。

 ECソリューション事業は売上高が57百万円で、営業利益が15百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が66百万円で、営業利益が3百万円の損失だった。B2B向けECサイト構築パッケージの新バージョン「EC-Rider B2BⅡ」の立ち上げに注力したため減収減益だった。

 決済ソリューション事業は売上高が6億62百万円で、営業利益が1億55百万円の損失だった。連結ベースの前年同期は売上高が9億94百万円で、営業利益が1億14百万円だった。電子決済ソリューション「Incredist」シリーズ、Androidスマホによるタッチ決済ソリューション「Tapion」、無人自動精算機向けマルチ決済端末「VP6800」の開発・販売、マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス「myVerifist」の開発に注力したが、前期の「VP6800」の大型案件の反動などで減収減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億53百万円で営業利益が1億41百万円の損失、第2四半期は売上高が8億49百万円で営業利益が94百万円の損失だった。第2四半期は赤字縮小した。

 通期予想は据え置いて大幅増収・黒字予想としている。決済ソリューション事業では新しい決済ソリューションTapion(タピオン)の本格展開、マルチ電子決済端末Incredistシリーズの最新モデルIncredist Premium Ⅲの開発・拡販、無人自動精算機向けマルチ決済端末VP6800・IFCや公的個人認証サービスmyVerifistの拡販などを推進する。第2四半期累計(中間期)は赤字だが概ね計画水準だった。有望案件が目白押しであり、積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏で軟調だが調整一巡して出直りを期待したい。12月20日の終値は149円、今期予想PER(会社予想のEPS6円28銭で算出)は約24倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS47円85銭で算出)は約3.1倍、そして時価総額は約15億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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