アイフリークモバイル、25年3月期(非連結決算に移行)は赤字縮小予想、子会社統合による経営効率化とDX事業の拡大、新規分野へも積極展開
2024年11月21日 10:05
アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野やe-Sports関連サービスなども強化している。25年3月期第2四半期累計は全体としては概ね前期比横ばいだった。通期予想(子会社のI―FREEK GAMESを10月1日付で吸収合併して非連結決算に移行)は、前期の連結業績との比較で見ると減収だが赤字縮小の見込みとした。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は10月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■コンテンツ事業とDX事業を展開
電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業(25年3月期よりコンテンツクリエイターサービス事業の名称を変更)を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野やe-Sports関連サービスなども強化している。
24年3月期のセグメント別業績は、コンテンツ事業の売上高が1億51百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が39百万円の損失、コンテンツクリエイターサービス事業の売上高が24億19百万円でセグメント利益が2億10百万円だった。
なお、人材配置の最適化など経営合理化・組織運営効率化を図るため、24年4月にコンテンツ事業の子会社アイフリークスマイルズを吸収合併した。また24年10月にはe-Sports事業、SES事業、ゲーム関連事業の子会社I-FREEK GAMES(23年5月設立)を吸収合併した。
■コンテンツ事業は電子絵本アプリや知育アプリなど
コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」のほか、電子絵本アプリ「森のえほん館」や、知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツなども展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。なおデジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。23年6月には「Popo Kids」のチャンネル登録者数が10万人を突破した。
24年1月には、レジャー・エンターテインメント施設向けソリューションを提供するORIGRESS PARKS(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。クリエイターネットワーク「CREPOS」と、ORIGRESS PARKSのレジャー・エンターテインメント施設ネットワークを活用し、24年4月より共同事業として、エンターテインメント施設向けキャラクター活用サービス「アイフレス」を開始した。24年7月にはYouTubeチャンネル「Popo Kids」において、画像生成AIを活用したデジタル絵本動画「世界が終わる前に」の配信を開始した。
■DX事業はシステム受託開発や人材派遣など
DX事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発、人材派遣などを展開している。22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとして、AWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。
■新規分野へ展開
次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野への展開も注力している。21年10月にはUUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と戦略的業務提携契約を締結した。21年11月にはNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。
22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219カ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。22年10月には具体的内容として、知育アプリに特化したタブレットのリース事業「知育アプリ提供サービス」の開始を発表した。
22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始した。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。
23年2月には、日本のe-Sports業界における受託事業に特化したウェブサイト開設を発表した。ゲーム関連事業が有するノウハウを活用したe-Sports関連サービス(イベント企画・運営・配信・機材貸出・スタッフ派遣等)の提供を通じて、e-Sportsの発展に貢献する方針としている。23年4月には、e-Sportsプロプレイヤーとして世界的に活躍するaMSa(アムサ)選手とスポンサー契約を締結した。
24年5月には、e-Sportsキャスターとして活躍するVTuberの「ナナホシナナ」氏が、I-FREEK GAMESの専任キャスターとして所属した。24年6月にはI-FREEK GAMESが自社開発パズルゲーム「ナンバーズゴール」のiOS版をリリースした。
■25年3月期赤字縮小予想
25年3月期の業績予想(子会社のI―FREEK GAMESを10月1日付で吸収合併して非連結決算に移行)は、売上高が20億63百万円、営業利益が44百万円の損失、経常利益が36百万円の損失、当期純利益が75百万円の損失としている。前期の連結業績(売上高25億71百万円、営業利益95百万円の損失、経常利益76百万円の損失、親会社株主帰属当期純利益99百万円の損失)との比較で見ると、減収だが赤字縮小の見込みとした。なおI―FREEK GAMESと合併したことに伴い、第3四半期の特別損失に抱合せ株式消滅差損を計上予定である。
第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%減の12億40百万円、営業利益が49百万円の損失(前年同期は52百万円の損失)、経常利益が41百万円の損失(同40百万円の損失)、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が0百万円(同40百万円の損失)だった。コンテンツ事業が減収増益(損失縮小)、DX事業が増収減益となり、全体としては概ね前期比横ばいだった。
コンテンツ事業は売上高が37.5%減の66百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が12百万円の損失(同21百万円の損失)だった。売上面は利益構造最適化に向けた施策として広告宣伝費を削減した影響などで減収だが、利益面は損失縮小した。
DX事業は売上高が1.5%増の11億73百万円、セグメント利益が20.1%減の85百万円だった。売上面は既存顧客への単価改定交渉が一部結実したことも寄与して増収だが、利益面は給与水準引き上げによる人件費の増加などで減益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期(連結)は売上高が6億30百万円で営業利益が19百万円の損失、第2四半期(連結)は売上高が6億10百万円で営業利益が30百万円の損失だった。
通期は、コンテンツ事業ではBtoC向けの新しい知育アプリ開発、絵本制作、絵本レンタルのBtoB事業運営、協業パートナー拡大によるBtoB販路拡大、DX事業では生成AI・RPA・メタバース(VR/AR)・データサイエンス・ゲーム等の専門領域に特化したエンジニアの育成、既存取組案件における商流改善、高単価案件の獲得などを推進する方針だ。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。
■株価は反発の動き
株価は10月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。11月20日の終値は85円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS37円38銭で算出)は約2.3倍、そして時価総額は約15億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)