バリュエンスホールディングス:業者向けリユース事業を展開、小売・海外展開に注力で再成長局面へ
2024年11月14日 15:09
*15:09JST バリュエンスホールディングス:業者向けリユース事業を展開、小売・海外展開に注力で再成長局面へ
バリュエンスホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0927000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9270></a>は、ブランド品、骨董・美術品のリユース事業を手掛ける。一般消費者から仕入れた商品を子会社が運営しているオークションや卸売を主な販路とし、リユース業者向けに販売を行っている。また、小売も実施して一般消費者向けへの販売も行っている。2024年8月期における販路別の売上高は自社オークション関連が49.5%、卸売合計が33.7%、小売が16.7%。
買取においては、ブランド品等の買取専門店「なんぼや」「BRAND CONCIER」を国内に140店舗展開、出張・宅配・オンライン買取にも対応。骨董・美術品等の買取専門店「古美術八光堂」は骨董専門の鑑定士が出張買取を中心に対応し、海外では「ALLU」屋号でブランド品等の買取を実施、直営店のみならずパートナー店舗も世界各地で出店を拡大している。他には、自社店舗ではなく、他社との協業による買取形態で三越伊勢丹との「i’m green」、金融機関等との連携も開始している。買い取った商品は主に「STAR BUYERS AUCTION」でtoB向けに販売、世界各国からのパートナーが参加する。また、小売では「ALLU」を銀座、表参道、新宿、心斎橋に合計5店舗を展開、自社ECサイト・連携するECショッピングモールで国内外の個人向けに広く販売する。toCオークションも半期に1回程度のペースで開催中。
2024年8月期の売上高は前期比7.0%増の81,468百万円、営業損益は426百万円の赤字(前年同期は2,183百万円の黒字)で着地した。GMV(Gross Merchandise Value・流通取引総額)は同12.0%増の933億円に増加しており、オークション委託落札額が同44.5%増の152億円まで拡大。また、ALLU店舗のオープンやECでの販売力強化により、小売売上高は同49.2%増の136億円まで伸長した。2025年8月期に向けて計画どおり在庫確保を進め、小売も活用しながら売上総利益率の低い既存在庫の積極販売を継続、在庫入替えが完了したようだ。買取面では売上総利益率重視の仕入に転換したことに加え、8月には時計相場が下落したこと等から時計仕入のコントロール等も行ったことにより、仕入高は減少したが、三越伊勢丹との「i’m green」や金融機関や他業種等との提携数拡大により、アライアンスによる仕入が引き続き好調に推移。新規出店は国内5店舗、海外13店舗(退店5店舗)により店舗数は国内140店舗、海外46店舗となった。2025年8月期の通期売上高は前期比3.1%増の84,000百万円、営業損益は600百万円の黒字転換を見込んでいる。
2023年の国内リユース市場規模は前年比7.8%増の3兆1,227億円、2030年には4兆円に達すると見込まれている。うちブランド品は同19.4%増の3,656億円とされている。海外においても2023年の世界ラグジュアリーリユース市場規模は5兆円を超え、2030年には7兆円に達すると見込まれている(ドル円140円換算)。市場の拡大が続くなか、競合も増加している状況ではあるが、同社は国内で培ったノウハウを活かした海外展開を進めるとともにtoBモデルの強みを活かし小売にも注力、ビジネスモデルの強化・転換を図っている。一定の買取力・オークションでの優位性を最大限活用して小売を強化している。
新中期経営計画「To the Next Stage : For 2030 Revival Vision」を策定しており、仕入、オークション、小売、領域、海外、事業とサステナビリティの統合と6つを掲げているが、特に国内では小売拡大、海外では仕入拡大を重点戦略としている。小売ではSBAを中心としたtoB販売の強みを活かしつつ、ALLUへ優先的に商品を供給することで、在庫回転期間を悪化させることなく、小売での販売機会の最大化に取り組む。2027年度には小売売上高比率25%以上の目標数値を掲げる。海外展開では店舗投資コストや人件費が低く、GDP成長率が世界平均を上回るアジアや中東地域において、パートナー店を中心として出店を加速させる。2027年度には海外買取店舗数90店舗 、2030年度には 150店舗を掲げる。また、オークションへの海外パートナー参加誘致に引き続き注力する。今期2025年8月期は収益性改善に向けて構造改革を継続して今後の成長への礎を築く1年とするようだが、営業黒字転換からの持続的な成長に注目しておきたい。《NH》