ソフトクリエイトホールディングス、25年3月期2Q累計が計画超で通期も上振れ余地、EC・ITソリューション事業が好調

2024年11月6日 09:33

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。25年3月期第2四半期累計(中間期)は、前期の一過性収益の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅営業・経常減益だったが、期初計画を上回る水準で着地した。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第2四半期累計が計画超だったことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

 24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における市場シェアは16年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。

 24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX-point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

 成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。

■25年3月期2Q累計が計画超で通期も上振れ余地

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。

 第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比9.5%増の151億71百万円、営業利益が2.8%減の26億15百万円、経常利益が3.4%減の27億56百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が6.9%増の17億68百万円だった。

 前期の一過性収益(サイト運用収益3.3億円)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅営業・経常減益だったが、期初計画(売上高144億45百万円、営業利益24億14百万円、経常利益25億36百万円、純利益15億64百万円)を上回る水準で着地した。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。

 ECソリューション事業は、売上高が5.7%増の81億49百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が8.8%減の19億47百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が8.6%増の55.2億円、デジタルマーケティングが11.5%減の16.0億円、ECクラウドサービスが26.1%増の10.1億円だった。

 ITソリューション事業は、売上高が14.3%増の70億21百万円で、経常利益が9.3%増の14億10百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が4.3%増の31.5億円、ITパッケージが35.6%増の11.2億円、ITクラウドサービスが22.4%増の13.4億円、IT機器が17.5%増の13.8億円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が70億99百万円で営業利益が10億67百万円、第2四半期は売上高が80億72百万円で営業利益が15億48百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人的資本投資による人件費の増加などを吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。経常利益(24年3月期比3.3億円増)の増減要因分析は売上総利益増加で8.1億円増、人件費増加で2.1億円減、研修費増加で0.2億円減、広告費増加で0.4億円減、研究開発費増加で0.3億円減、その他経費増加(税金等)で1.8億円減としている。

 通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高51%、営業利益48%、経常利益49%、純利益51%と順調だった。期初時点で下期偏重の計画だったこと、第2四半期累計が計画を上回る水準で着地したことを勘案すれば、通期予想にも上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は上値試す

 8月5日付で発表した自己株式取得(上限30万株・5億円、取得期間24年8月6日~24年10月31日)については、24年10月31日時点で終了した。買付株式数は17万2900株、買付総額は約3億23百万円だった。

 株価は年初来高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月1日の終値は2094円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約577億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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