レジル Research Memo(5):2024年6月期は燃料費調整額控除後実質ベースで2ケタの増収増益を達成

2024年10月31日 16:55

*16:55JST レジル Research Memo(5):2024年6月期は燃料費調整額控除後実質ベースで2ケタの増収増益を達成
■レジル<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0176A00?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><176A></a>の業績動向

1. 2024年6月期の業績動向
2024年6月期の業績は、売上高38,709百万円、営業利益2,793百万円、経常利益2,769百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,986百万円となった。2023年6月期が15ヶ月の変則決算だったため、前期比増減率は表記していない。ただし、2023年6月期を2022年7月〜2023年6月の12ヶ月決算に換算した実質ベースで比較すると、売上高で前期比6.2%減、営業利益で同56.4%増、経常利益で同28.9%増、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.0%増となる。また、燃料費調整額は2023年6月期に一時的に急増したが、こうした影響を除いた燃料費調整額控除後実質ベースでは、売上高は同16.5%増の39,085百万円、営業利益は同56.4%増の2,793百万円、経常利益は同28.9%増の2,769百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同30.0%増の1,986百万円となる。売上高で実質2ケタ増となることから、2024年6月期の業績は好調に推移したと言える。

東京証券取引所グロース市場に上場した際に公表した業績予想に対しては、売上高で882百万円、営業利益で155百万円、経常利益で200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で178百万円上振れており、業績予想に対しても好調に推移した。

全体として、売上高はグリーンエネルギー事業を中心に全般的に順調に伸びた。利益面では、市場取引量を機動的に変えるなど細心の注意を払って調達を行ったことで、燃料費調整額控除後実質ベースで売上総利益率は前期比38.7%増の7,485百万円となり、大幅な改善となった。販管費は営業強化や上場に伴う人員増加や先行投資が増えたことで燃料費調整額控除後実質ベースで同29.9%増の4,691百万円となり、燃料費調整額控除後実質ベースの売上高の伸びを上回って増加した。しかし、売上総利益の伸びでカバーし、営業利益の大幅増加につながった。


グリーンエネルギー事業が増益をけん引

2. セグメント別の業績動向
セグメント別の業績は、分散型エネルギー事業が売上高は20,329百万円、セグメント利益2,595百万円、グリーンエネルギー事業が売上高21,196百万円、セグメント利益1,950百万円、エネルギーDX事業が売上高1,911百万円、セグメント利益340百万円となった。

2023年6月期を2022年7月~2024年6月の12ヶ月決算に換算した実質ベースで比較すると、各セグメントの売上高は分散型エネルギー事業が前期比14.6%減、グリーンエネルギー事業が同0.5%減、エネルギーDX事業が同37.6%増となった。なお、セグメント利益(営業利益)は非開示のためEBITDA(営業利益+減価償却費)で見ると、分散型エネルギー事業が同3.0%増の3,396百万円、グリーンエネルギー事業が同289.7%増の2,003百万円、エネルギーDX事業が同196.9%増の389百万円となった。減価償却費の多くは分散型エネルギー事業に計上しているようだ。

分散型エネルギー事業は期初よりマンション防災サービスを新規商材に、新規顧客の獲得活動を本格化した。しかし提案から導入まで一定程度のリードタイムが発生することから、売上高が本格化するのは2025年6月期以降と見込まれ、2024年6月期は3棟、441戸と寄与は小さかった。このため、新規顧客の獲得はマンション一括受電サービスが中心となり、導入戸数は2,245棟、178,502戸(前期末比1.5%増)となった。既存顧客については、暖冬により一時的に需要の減退が見られたものの夏の猛暑による第1四半期の販売電力量の伸びの寄与が大きく、通期でおおむね堅調に推移した。

グリーンエネルギー事業では、組織構造改革を背景に市場価格連動型料金プランを主体に営業活動を強化するとともに、2030年目標の再生可能エネルギー比率100%に向けて再生可能エネルギー利用拡大への顧客の理解と協力を得るように努めた。この結果、夏の猛暑により第1四半期の販売電力量が伸びたこと、市場価格連動型料金プランの契約数が順調に推移したこと、組織構造改革の実践により好採算取引へと入れ替えが進んだことにより、採算が改善してセグメントEBITDAが大きく伸びて通期業績が上振れた最大の要因となった。なお、契約件数は7,511件(前期末比2.0%減)、供給契約における再生可能エネルギー比率は82.5%となった。

エネルギーDX事業では、同業ながら既存顧客であるエネルギー事業者から引き続き業務を受託したのに加えて、新たに自治体が参画している地域新電力会社の業務運用などの受託を開始した。顧客であるエネルギー事業者のエンドユーザー数は425千件(前期末比4.3%減)となったが、顧客単価の上昇でカバーし、EBITDAの大幅増加につながった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《YS》

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