国内株式市場見通し:28日の乱高下を警戒、政権与党が過半数確保ならば買戻し優勢か
2024年10月26日 14:25
*14:25JST 国内株式市場見通し:28日の乱高下を警戒、政権与党が過半数確保ならば買戻し優勢か
■物色の対象は決算銘柄や東京地下鉄などに限定
今週の日経平均は週間で1067.83円安(-2.74%)の37913.92円と下落。10月27日に投開票を迎える衆議院議員総選挙で、自民党、公明党の政権与党が苦戦しており、メディア各社から過半数を割り込む可能性が報じられたことで、経済政策や金融政策などの先行き不透明感が台頭。23日に上場した東京地下鉄<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0902300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9023></a>や、ニデック<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0659400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6594></a>などの決算発表銘柄への関心は強まったが物色は広がらず、日経平均は10月23日まで11日連続で陰線を残すなど上値の重さが目立った。
日経平均がじりじりと下落するなか、積極的な買いは手控えられ、終値ベースでは10月2日以来となる38000円割れとなった。プライム市場の売買代金は連日3兆円台と低迷。為替市場ではドル・円相場が一時1ドル153円台をつけるなど、週間で4円ほど円安ドル高が進行したものの、輸出関連銘柄への影響は限定的となった。
なお、10月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を457億円売り越したほか、TOPIX先物を2376億円売り越し、225先物を462億円売り越したことから、合計3295億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を630億円買い越すなど合計で1025億円買い越し。自己は現物を1504億円売り越した。
■円安進むも日本株への追い風とはならず
25日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は前日比259.96ドル安の42114.40ドル、ナスダックは同103.12ポイント高の18518.60で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比60円高の38070円で取引を終えた。ドル・円相場は、1ドル152円台前半で推移した。
足下、為替市場で円安ドル高推移が強まっているが、トヨタ自<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0720300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7203></a>、ホンダ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0726700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7267></a>などの自動車株がやや買われた程度で、今年1-3月に見られた「円安・株高」の強い展開とはならなかった。選挙結果への不透明感が高まっているため、外国人投資家が様子見姿勢を強めていることが要因と考えられる。27日の投開票の結果、政権与党が過半数割れとなれば、もう一段の株安、リスク回避の円買いが強まる可能性がある。一方、政権与党が予想外に票を集め、過半数を維持できた際は、買戻し先行で日本株は上昇するだろう。
11月5日に米国では大統領選挙、国内では東京市場の取引時間の30分延長というイベントを控えていることから、一気に日経平均40000円台回復とはいかないまでも、溜まっていた不透明感や警戒感が払しょくされた時のインパクトは大きいことから39000円水準は意識されそうだ。
■日銀会合では「展望レポート」も公表
30日から31日にかけて、日本銀行による金融政策決定会合が開催される。先だって開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、植田和男日銀総裁は「日銀はかなり緩和的なスタンスを維持しており、インフレ期待を新たなレベルに引き上げたい」「トータルで適切な正常化規模を重視」などと発言。今会合での政策金利の引き上げ観測はほぼ無いが、同時に発表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」や、会合後の植田総裁の記者会見などで、追加利上げに前向きな姿勢が確認されるかに注目が集まりそうだ。
7月から8月にかけての金融市場の乱高下によって、日銀は「ハト派」色を強めた経緯がある。9月会合で植田総裁は、市場とのコミュニケーションを綿密に行う一方、円安ドル高の一服などから、利上げ判断には「時間的な余裕がある」との姿勢を強調した。ただ、日米金利差の拡大で円安ドル高傾向が再加速するなど状況は異なってきた。米大統領選という今年最大のイベントが直前に迫っているなか、日銀が「ハト派」から一気に「タカ派」に転換することはないと思われるが、「オントラック(予定通り)」というスタンスを日銀が変更するか注目されよう。
■1日に米雇用統計、ISM製造業景気指数
来週、国内では、10月29日に9月雇用統計、30日に10月消費者態度指数、31日に日本銀行政策金利、9月鉱工業生産(速報値)、小売業販売額などが予定されている。
海外では、29日に独・11月GfK消費者信頼感調査、米・9月卸売在庫(速報値)、8月住宅価格指数、S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、9月JOLTS求人件数、10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、30日に豪・第3四半期消費者物価指数、9月消費者物価指数、独・第3四半期実質GDP(速報値)、10月消費者物価指数(速報値)、欧・10月ユーロ圏景況感指数、第3四半期ユーロ圏実質GDP、米・10月ADP雇用者数、第3四半期実質GDP(速報値)、9月中古住宅販売成約指数、週次石油在庫統計、31日に豪・9月小売売上高、中・10月製造業PMI、サービス業PMI、独・9月小売売上高、欧・10月ユーロ圏消費者物価指数(速報値)、9月雇用統計、米・第3四半期雇用コスト指数、9月個人所得、PCEデフレータ、週次新規失業保険申請件数、10月シカゴ購買部協会景気指数、11月1日に中・10月財新製造業PMI、トルコ・10月製造業PMI、米・10月雇用統計、製造業PMI、ISM製造業景気指数などが予定されている。《FA》