老化により男女とも49.1歳を境に身体運動能力が急激に低下 東科大の研究
2024年10月26日 17:12
東京科学大学は22日、同大学の室伏広治特命教授などの研究グループが、ヒトの身体運動能力は加齢によって低下し、特に男女ともに49.1歳を境に急激に低下することを明らかにしたと発表した。
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特に女性は男性に比べて加齢により上半身の身体運動能力の急激な低下がみられるという。
研究には他に、獨協医科大学埼玉医療センター、早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授、苑田会苑田第三病院が共同して参加しており、その成果は、国際科学誌「Scientific Reports」に8月14日付で公表されている。
今回の研究で使われたKAテストを使えば、特別な道具を使わず、誰でも手軽に、自分の身体運動能力をセルフチェックできるという。研究グループでは、定期的にKAテストで自分の身体運動能力をチェックし、低下がみられる身体運動機能を改善するためのエクササイズを行うことで、健康寿命を伸長することができるとしている。
■KAテストとは?
KAテストは、東京科学大学の室伏広治特命教授が開発したものだ。室伏氏は、2004年のアテネオリンピックのハンマー投げで金メダルを獲得し、現在は、スポーツ庁長官を務めている。
KAテストは、この室伏氏が開発したもので、11の項目からなり、特別な道具を使わず、誰でも手軽に、自分の身体運動能力をセルフチックすることができる。詳しいやり方については、室伏氏のオフィシャルwebサイトで公開されている。
今回の研究はこのKAテストを使って行われた。
■加齢により男女とも49.1歳を境に身体運動能力が急激に低下
研究グループは、723名(女性523名、男性209名)にKAテストを実施。男女別に全身、上半身、体幹、下肢についてスコアを算出し、年齢との関係を統計的に解析した。
その結果、男女ともに加齢に伴って、全身、上半身、体幹、下肢のすべてについて身体運動能力の低下がみられた。特に男女ともに全身について49.1歳を境に急激な身体運動能力の低下がみられたという。
また女性については、上半身について男性よりも急激な運動能力の低下がみられた。
研究グループでは、KAテストを活用して、低下がみられる運動機能についてこれを改善するためのエクササイズを適切に実施することで、サルコペニアやロコモティブシンドロームなどの発症を予防し、健康寿命を伸長できる可能性があるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)