【QAあり】日本PCサービス、構造改革が奏功 各段階利益は予想比でプラス、営業利益率は2期連続上昇

2024年10月25日 09:19

ご挨拶

家喜信行氏(以下、家喜):日本PCサービス代表取締役社長兼グループCEOの家喜です。本日はお忙しい中、ご参加いただきましてありがとうございます。2024年8月期の決算についてご説明します。

エグゼクティブサマリー

まずはエグゼクティブサマリーです。売上高は62億6,400万円と、前年同期に比べて減収となってしまいました。売上総利益は24億1,600万円、営業利益は1億1,600万円で、ともに増益という結果になっています。

売上に関しては、スライドにも記載していますが、前期のVR機器販売特需の終了やリペアネットワークの株式譲渡により減収しました。また、構造改革等をいろいろと進め、赤字になっている事業、利益率が厳しい事業を見直ししたことによって、大きな売上が減収となってしまいました。しかし、そちらが功を奏して、売上総利益は増えています。

減価償却およびのれんも償却が減少し、営業利益もしっかりと業績予想どおりの数字を出すことができました。

2024年8月期 連結業績

連結業績です。売上高が62億6,400万円、営業利益が1億1,600万円、経常利益が9,500万円、当期純利益が1億600万円です。

先ほどご説明したとおり、売上は減収となってしまいましたが、構造改革により、営業利益、経常利益、当期純利益は業績予想よりもプラスで着地することができました。

売上高推移(過去5期)

この5期間の売上高です。2024年8月期は先ほどの理由で減収となってしまいましたが、2022年8月期の赤字状態から見直しを進めてきて、構造改革の効果が出ています。売上総利益率は、前期36.8パーセント、今回の決算は38.6パーセントと、2年連続でしっかりと回復させています。

今回、売上総利益率を順調に上げられましたので、この進行期に関しては売上を上げられるよう、注力していきたいと思っています。

営業利益推移(過去5期)

営業利益です。先ほどご説明した2022年8月期の赤字のところで構造改革を進め、前期は少し黒字になりました。今期は1億1,600万円と、まずは2020年、2021年のペースに戻してきたところです。ここからまた、しっかりと伸ばしていきたいと考えています。

サポートインフラ

サポートインフラです。全国276の拠点から、自宅や会社を訪問しています。持込は、133店舗で対応しています。コールセンターは5施設、キッティングセンターは1拠点です。

現在、全国395拠点で、さまざまなサポートサービスを提供しています。

提携ネットワーク

企業との提携も順調に増えています。この決算期で、800社を超える提携となっています。

年間対応実績

年間対応実績です。トラブルがあった時に緊急で駆けつける、駆けつけサポートが約6万800件、企業の代わりに設定にお伺いする設定サービスが約3万500件と、訪問、サポート両方で約10万件となっています。

この訪問サービスは、引き続き業界トップクラスとなっています。3年に一度、シェアの調査をしていますが、今回も決算説明資料にレポートを出していますので、お時間のある時にご覧いただければと思います。

店舗持込サポートは約12万件、電話・リモートサポートは約16万件の対応、法人との取り組みであるキッティング関係の作業は5万台を超えています。

また、駆けつけサポートは約6万800件、スマホの持込は約11万8,000件と、合わせて年間約18万件の新しいお客さまに、私たちのサービスをご利用いただいているということになります。

現在、年間42万件以上のさまざまな修理サポートを、サービス提供しています。

2024年8月期 大型新規取り組み

この決算期の、大型新規取り組みをご紹介します。富士通クライアントコンピューティングの「PC家庭教師」のお客さまに、私たちの店舗持込のインフラにお持ち込みいただいて修理するという、富士通の持込修理サービスを開始しています。

こちらは富士通のホームページでサービス告知されていますので、ご覧いただければと思います。訪問は現在ご提案している状態ですが、店舗持込がまずスタートできました。

スライド右上は、大手携帯キャリアショップのSLA駆けつけ保守サポートという、SLAにコミットした取り組みです。48時間以内駆けつけなど、いろいろな条件を持った保守サービスとなっていますが、こちらも全国数千店舗でしっかりスタートすることができました。

スライド右下は、東邦ガス光との新規のサービスです。近日、駆けつけサポートが始まる予定になっています。

2024年8月期 ストック型会員数推移

会員サービスです。決算期で66万7,000人の会員数を突破しています。保険付き保守サービスも315社から382社ということで、少しずつ、右肩上がりで増えている状況です。

前回のご説明の際にお伝えしたように、ネット詐欺対応や置き配の保険を付けた新しいサービスの構築を行っています。いろいろな調整があって開始が遅れていましたが、こちらもようやく開始できました。

会員数は現在66万7,000人ですが、今回、新たな保証・保険付きサービスをスタートしていますので、進行期にはしっかりと伸ばしていけると思います。

2021年8月期からまた1つ成長し、次の成長というところで少し足踏みしているように見えます。しかし新しいサービスをスタートしましたので、階段を1つ上がっていくような増加になっていくと思います。引き続き、こちらを強化していきたいと考えています。

2025年8月期 期初予想と中期経営目標の修正について

2025年8月期の見通しと戦略です。進行期の期初予想と中期経営計画の最終年は、同じ年になります。中期経営計画では売上高75億円、営業利益率5パーセントを目指してチャレンジしていたのですが、構造改革で思った以上に利益率を見直す案件がありました。そのため、どうしても売上が大きくなってしまい、思ったよりも売上高が落ちてしまいました。

中期経営計画では75億円に設定したものの、今期の実績が62億6,400万円でしたので、大変申し訳ないのですが見直しをしました。売上高68億円、営業利益2億400万円、経常利益1億8,400万円、当期純利益1億2,000万円と設定し、2025年8月期の業績予想としました。

営業利益は2億400万円としていますが、今期決算が1億1,600万円で、2025年8月期は減価償却、のれん代がこの決算から5,000万円なくなります。基本的には営業利益が5,000万円積み上がっていきますので、利益は保守的に目標設定を出しました。

売上は遅れているところがありますので、少し大きなアップになっていますが、構造改革後、新たな営業に着手しています。

また、後ほどご説明しますが、法人DXサポートの見込みも立ってきていますので、しっかり見直して、業績予想を達成していけるように取り組んでいきたいと思います。

2025年8月期 アクションプラン

アクションプランです。2025年8月期の期初予想は、売上高が68億円、売上総利益が26億5,200万円、営業利益が2億400万円と設定しています。

注力施策は大きく3つあります。まず「デジタルホスピタル」戦略を積み上げてきていますので、こちらを引き続き行っていきます。また、法人DXサポートではいろいろな案件が出てきていますので、こちらのシェアを拡大していきます。さらに、中間決算でもご説明した新規事業、IoTリフォームを新たにスタートしています。こちらも順調に進んできています。

既存で取り組んできたことをさらに進め、法人DX分野のシェアを拡大させ、新規事業のIoTリフォームに取り組んでいく、この注力施策の3つをアクションプランに掲げ、進行期を進めていきたいと思います。こちらの内容については、次ページ以降でご説明します。

『デジタルホスピタル』戦略の狙い

「デジタルホスピタル」戦略です。訪問で年間約10万件、店舗持込で年間約12万件になっています。訪問は、日本PCサービスで駆けつけサービスとして行ってきた、「PCホスピタル」です。

この訪問サービスをご利用いただいたお客さまは、当然ながらPCもスマホもお持ちですが、訪問の修理は日本PCサービスにご依頼いただき、スマホの修理は他社を利用されています。

また、店舗持込後の修理は「スマホスピタル」をご利用いただいているのですが、訪問サービスは他社のサービスを利用されるということで、相互送客、シナジーがしっかり出し切れていないところがあります。

これを「デジタルホスピタル」戦略によって、双方のお客さまが自分たちのサービスを利用いただけるよう、引き続き進めていきたいと思っています。

新たなプロモーション開始

プロモーションとして、関西でテレビCMを展開し、その効果がじわじわと出てきています。岐阜など、いろいろなエリアに出店していますので、そちらでもテレビCMをテストし、どのくらいの効果があるのか効果検証を進めています。

ラジオCMに関しても効果検証を行っています。SNSは少し出遅れていましたが、「TikTok」での告知もスタートしました。こちらも閲覧数が順調に伸びていますので、引き続き進めていきたいと思っています。

また、「タウンページ」がもう少しで終了するというニュースも出ています。私たちの告知チラシやパンフレットがしっかり届くよう、新たにお客さまのご自宅に配布されるものへの同梱サービスをスタートし、テストしています。

店舗持込サポートインフラの拡大

店舗持込についてです。「スマホスピタル」は、雑居ビルで、インターネットで見て来店していただくような場所にありました。競合の会社は立地条件のいいところに出していますので、「スマホスピタル」も立地条件のいいところに出ていきます。

2024年3月には大阪の天王寺ミオに店舗を出したり、岐阜のメガ・ドンキ内に出したりしました。5月には、船橋、厚木の駅前のモールにある店舗をリニューアルしました。

7月には、広島駅前に日本PCサービスの「PCホスピタル」を、駆けつけの店舗と合同で、移転してリニューアルというかたちで出しました。9月には大森のメガ・ドンキ内への出店と、立地条件がいい、見て来店していただけるような場所への出店を着実に増やしています。

2023年8月の段階では全国114店舗でしたが、出店のし直しやM&Aもあり、2024年8月期には133店舗にまで拡大しています。

店舗の増加で集客数を増やしていくことはもちろんですが、133店舗あるため、先ほどご紹介した富士通との提携のように、持込修理の店舗としての提携、あるいは買取の会社などともコラボして、この133店舗自体を有効利用していくようなサービスを開始しています。これからも、このような提携を増やしていきたいと考えています。

自社顧客の会員化戦略

先ほどご説明したように、当社のブランドイメージを「デジタルホスピタル」で統一していきたいと考えています。従来どおり、当社と提携先の両社でお互いに紹介し合ったり、チラシを配り合ったりして、サービスをお客さまにご紹介しても、トラブルに遭った時にしか触れないことが多いため、私たちのサービスを必要な時になかなか思い出してもらえない状況がありました。

もちろん、そのような告知も続けていくのですが、ここはやはり、両社でしっかりお客さまを会員化していくことが大事ではないかということで、自社と提携先両方でお客さまを会員化する戦略を考えています。

先ほどストック会員数が66万7,000人であるとご紹介しましたが、先ほどの66万7,000人のうち、自社の会員は今1.7パーセントと、企業と提携して会員化している会員数が大半を占める状態になっています。提携先企業を通して、新たな提携会員を増やすべく引き続きサービス提供していくのですが、自社の会員も、着実に増加させていく方針です。

現在、100万人の会員のうち約67万人は提携企業の会員ですが、今後、残り30万人から40万人は自社で獲得した会員となるような展開に持っていきたいと考えています。

先ほど、駆けつけサポートは約6万件、店舗持込サポートは約12万件とお伝えしましたが、この約18万件のお客さまに、自分たちの「デジタルホスピタル会員」にしっかりと入っていただき、サービスをご利用いただけるよう、改革を進めていきます。

個人も法人もDX化がどんどん進んでいく中で、スマホやPCが壊れたり、インターネットがつながらなくなったりすると、いろいろと不便なことも出てきます。私はもともと「パソコンのJAF」をコンセプトに起業して、サービスを始めてきました。ですので、この「デジタルホスピタル会員(デジホ)」についても、JAFのようなかたちで、しっかり入っていただいて、何かトラブルがあれば、速やかに解決していけるよう、新しい文化づくりを進めていきたいと思っています。

自社顧客の会員化戦略[個人向け定額会員サービス]

「デジタルホスピタル会員(デジホ)」という個人向け定額会員サービスを、新たにリリースしています。

入っていただく方法としては、訪問した際に入っていただく方法と、店舗持込で入っていただく方法があります。それは、サポートで最初にお付き合いする内容が、PCなのかスマホなのか、家のネットワーク構築なのか、入口がさまざま違うためです。ですので、入口に合わせた会員制サービスとなっています。また、私たちのグループをすべて利用いただけるような内容にしています。

自社顧客の会員化戦略[法人向け定額会員サービス]

法人向けには「デジタルホスピタルBIZ(デジホBIZ)」をリリースしました。この「デジホBIZ」は、PC1台からでも加入していただける内容になっています。

このような方法で、「デジタルホスピタル」のブランディング、相互送客、自社顧客の会員化を進めていきたいと思っています。

法人DXサポート領域のシェア拡大

法人DXサポートについては、市場が本当に大きくなっています。「Windows 10」のサポート終了やGIGAスクール構想が数年前にありましたが、「NEXT GIGA」という学習用端末の一括入替など、さまざまなかたちで特需が起きています。このタイミングに、LCMサポートでシェア拡大を進めていきたいと考えています。

法人DXサポート事例(予定)

法人DXサポートの事例(予定)です。「Windows 11」への1万5,000台の入替サポート、病院での業務端末の、「Windows 11」への入替サポート、大手居酒屋チェーン全国900店舗へのPOSレジ導入サポート、農業DXにおけるAIカメラの1,500ヶ所設置、また、自動車業の車検時のOBD検査が義務化されていく中で、スキャニングツールを1,300ヶ所に設置していくニーズがあります。また、大手証券関連では、業務用Surfaceの修理などの相談も増えてきています。

このように、多くの法人DXサポートの予定が、計画としてすでに立ってきているため、予定どおり進めていきたいと思います。

新規事業 IoTリフォームの拡大

新規事業における IoTリフォームの拡大についてです。中間決算時にもご説明した内容ですが、順調に進んでおり、この決算期では、スマートホーム導入設定サポート約450戸を達成することができました。

スライドのとおり、建材商社・電材商社など、日本PCサービスの得意としている企業との提携を強化することで、IoTリフォームの案件獲得が進んでいます。あわせて、先ほど言及した、毎年約18万件の利用があるお客さまに関しても、このIoTリフォームの提案を行い、両面から進めていきたいと思っています。

ビジネス展開イメージ

中期VISIONについてです。私たちのビジネス展開イメージですが、「修理・トラブル解決サポート」を集客窓口としています。「パソコンが壊れた」「スマホが壊れた」「家のインターネットがつながらない」など、お客さまのさまざまなトラブルをきっかけに、私たちのサービスをご利用いただくかたちです。ここがお客さまとの最初の接点になっています。

こちらの接点により、確実に会員化し、お客さまの状況を十分に把握することで、新たなサービスの提供を進めていきたいと思っています。

事業成長に向けた中長期のアクションプラン

事業成長に向けた中長期のアクションプランについてです。私たちの強みは、年間約6万件、お客さまに駆けつけ訪問し、年間約12万件、店舗にお持ち込みいただいているという実績です。

年間約18万件、新規のお客さまにご利用いただける上場企業は、他には、そこまでたくさんあるものではないと思っています。日本PCサービスのサポートインフラが全国にあることを強みとし、このような新規のお客さまにご利用いただいている状況です。

そのお客さまの問題を着実に解決し、満足度の高いサービスを提供することで、お客さまに会員になっていただきます。会員になっていただけなくても、お客さまのデジタルライフの状況を把握し、お客さまに必要なものを新たに提案していきます。

これにより、最初はお客さまのトラブルをしっかり解決させ、その次には会員化します。また、ご利用いただいたお客さまには新たなサービスを提供します。このリペアマーケティングから第1弾の売上、第2弾の売上、第3弾の売上というかたちで拡大させていきたいと考えています。

修理を通して新たなお客さまを獲得していくと、事業成長の好循環が起こります。このようなことを、確実に進めていきたいと思っています。

最後のIoTリフォームのご提案に関しても、海外のほうではかなり進んでいますが、カーテンを自動で閉める、お風呂を外出先から沸かすなど、いろいろなIoTリフォーム事例があります。ですので、お客さまのご自宅に訪問しながら、便利さをアピールしていきます。

最近は、電力から高齢者の見守りサービスができるというサービスもありますので、そのようなインフラ企業ともしっかりパートナーシップを組みます。そして、電力管理から高齢者の見守りサービスまでのサービスを提供していきます。

私たちはこのように、修理・トラブルの入口からデジタルライフを十分にサポートし、日本PCサービスの強みを活かしたサービスの提供を着実に進めていきます。法人DXにおいても、多くのニーズがありますので、両面をしっかりと進めていくことで、さらに事業を拡大させていきたいと考えています。

日本PCサービスは、自分たちの強みをさらに伸ばしつつ、法人DXのシェア拡大を図ります。この両面で、しっかりと取り組んでいきたいと考えていますので、引き続き、ご支援、ご指導をいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

質疑応答:配当方針と今後の見通しについて

司会者:「配当方針と今後の見通しを教えてください」というご質問です。

家喜:配当については、2022年に赤字があったため、累損がまだ解消できていない状況があります。そのため、まずはこの累損を早期に解消し、配当にしっかり回していける程度に内部留保を貯めていき、できる限り早期に配当を始めたいと考えています。

現状では、累損並びに配当に回していく内部留保がまだ貯められていないため、しっかり配当を開始できるような状態に早期に持っていきたいということです。

私たちとしては、東証への上場が、さらなる成長になると考えています。配当方針の直接のお答えになるかどうかわかりませんが、配当に関しては、配当できる状態に早く持っていきたいと考えています。それとともに、東証の上場を早期に実現していきたいと考えています。

質疑応答:ジャパンベストレスキューシステムとの関係について

司会者:「MBOしたジャパンベストレスキューシステムが大株主ですが、関係を教えてください」というご質問です。

家喜:これについてはリリースも出していますが、結論から言いますと、ジャパンベストレスキューシステムが保有していた株は元代表の榊原氏が引き継ぎ、そのまま当社の株主となっている状況です。

資本関係があるかどうかはそれほど重要ではありません。ジャパンベストレスキューシステムとは、20年くらいお付き合いしています。引き続き業務提携を続け、MBO前と変わらないお付き合いをさせていただいています。

もともとのパソコンの事業に関しては、ご覧のリリースよりも古いリリースの内容になりますが、私たちが事業譲渡を受けています。ジャパンベストレスキューシステムの中で行われていたパソコンの事業は、私たちが事業譲渡で受けている状態になっています。そのため、これによって、私たちの業績に影響があるとか、これから影響があるということは、特にありません。

業務提携は継続しており、関係性としてはMBO前と変わらないという回答になります。

質疑応答:中期経営計画達成の手応えについて

司会者:「中計に対して今のままで計画が達成できる手応えなのか、今の段階で会社側はどう捉えているのか気になります」というご質問です。

家喜:先ほど中計のところでもご説明しましたが、今回の決算について、利益は十分に改善できているのですが、売上の状況を見て、この中計の最終年、進行期の業績予想については、変更しました。もともと予定していたものができていないことに関しては、本当に大変申し訳ないのですが、会社としては、さらに成長したいと考えています。

法人DX領域をもう少し強化すると、売上も利益もより拡大していけると思います。しかし日本PCサービスとしては、このDX社会において、お客さまのあらゆるお困りごとを解決していくという、自分たちの本来の主力事業であるサービス提供を通して、「パソコンのJAF」「家まるごとJAF」「家まるごとサポート」というところを、実現していきたいと考えています。したがって、そちらの事業も含め、強みを伸ばしながら、法人DXのシェアも拡大していきます。

ご質問のお答えになるかわからないのですが、先ほどお伝えしたように、今回の決算では計画達成できる手応えではなかったため、組み換えを行い、注力していく部分も見直しました。

今後どのような成長を描いていくかについては、現在検討中ですので、目標設定ができれば、また開示していきたいと考えています。今の段階では、この見直しした業績予想を達成していけると思っています。経営メンバーが一致団結し、業績予想をしっかり達成していくことに向かっている状況です。

質疑応答:東証上場の展望について

司会者:「将来的に東証への上場はお考えでしょうか?」というご質問です。

家喜:もともと東証への上場を考えて取り組んでいます。会社の体制構築をしっかり整えつつ、構造改革もしてきました。あとは流通時価総額が基準に対して不足しているか、ぎりぎりかというところになっています、十分に東証上場の目標設定はしつつ、IRをがんばって、基準の流通時価総額へと高めていくということです。

自分たちで高めていくことはなかなか難しいため、みなさまにも応援いただきながら、なるべく早期に東証上場を実現したいと思います。

質疑応答:機器トラブルの内容について

司会者:「依頼を受ける機器トラブルはどのようなものが多いのでしょうか? マルウェア感染からの復旧などの依頼もあるのでしょうか?」というご質問です。

家喜:機器のトラブルはいろいろなケースがありますが、訪問の場合は「電源が入らない」「データを復旧したい」「Wi-Fiがつながらない」といった、インターネットのトラブルなどが非常に多いです。

こちらのご質問をいただいて、私も資料を振り返ってみましたが、ウイルス駆除の割合が約3年前から倍ほどになっています。やはりネット詐欺、スパイウェア感染、マルウェア感染といったサイバー攻撃もかなり増えていることが表れていると思います。

したがって、マルウェア感染からの復旧の依頼は3年前から倍増してきていますし、これからもさらに増えていくと思います。またマルウェア感染からの復旧について、私たちが対応できるということをお客さまに十分にわかっていただけるようになりました。

やはり普通に問い合わせすると、「復旧できない」「初期化」となることが多くなると思いますが、「しっかり復旧できますよ」ということをお客さまにご理解いただけるように、自分たちも十分に告知していきたいと思います。また、提携企業にもお願いして告知を強化していきたいと思います。

訪問のトラブルについて、やはりヘルプデスクでは「ちょっと操作を教えてほしい」といった使い方、レッスンのようなものが多くなっています。持込のところでは、スマホやノートパソコンの画面割れ、スマホのバッテリー交換などが多くあります。

質疑応答:営業利益率の目標について

司会者:「ストック比率が高まって利益率も上がってくるイメージを持っていますが、営業利益率の目標があれば教えてください」というご質問です。

家喜:ストック比率が上昇するにしたがって利益率は高まりますが、利益率は自社会員の獲得によってさらに高まります。進行期では営業利益率3パーセントを目標に進めています。今回、減収があったものの、ストック比率を十分に高めてきていたところもあり、利益は業績予想プラスといったように、ある程度しっかり出せました。

ストック比率を上げると利益率は高くなっていきます。企業と提携して会員サービスを提供すると数は多く出ますが、会員ごとの利益率は、当然ながら低くなってしまいます。会員数をかなり多くする必要があるため、私たちとしても件数を増加できるよう、新サービスを作って、新しい企業との提携でさらに会員数を伸ばして、利益率を高めようとしています。

加えて、自社会員は会員あたりの利益率が高いため、会員化戦略については自社会員の獲得KPIを設定し、それを獲得して会員数を高めていくことで、両方の側面から利益率が高くなっていくと思います。この進行期に関しては、営業利益率3パーセントの設定で対応していきたいと思っています。

質疑応答:外部環境と売上の連動について

司会者:「今は外部環境がよい状態だと思われますが、売上は連動して増加しないものでしょうか?」というご質問です。

家喜:外部環境は非常によく、個人のお客さまでは健康保険証がなくなり、マイナンバーカードなど、さまざまな行政サービスについて、オンライン化が進んでいます。医療関係、学習・学校関係でも、今はオンライン化が進んでいます。したがって、それに連動して個人のお客さまについては、トラブルが増加しています。

法人のDXは、先ほどの資料に「予定」と書きましたが、業界ごとにかなり大きな動きが起きています。ただし個人については、トラブルが起きていても、私たちの認知がまだ足りていません。お困りになっている市場が多数あるため、さらにお客さまに認知してもらえるよう、ブランド力を十分に高めていければと思います。

今回もアンケートを取りましたが、やはり60代以上のお客さまで、非常にトラブルが蓄積されています。逆に50代くらいまでのお客さまは、トラブルが起きても「これがトラブルだ」とわかるため、いろいろな店舗に相談したり、私たちにご依頼いただいたりということが起きます。しかし60代以上のお客さまは、壊れているのかどうかがわかりません。「壊れているかどうかわからないので、修理に出していいかわからない」「トラブルがあった時に、どこに相談したらいいかわからない」という声が、データとして非常に多く取れました。

市場環境としてはよい環境にあると思いますが、60代以上の認知がまだ足りていないため、十分に認知を取っていきたいと考えています。また、個人を主体としていた中で、法人サービスを始めたのは3年前くらいになりますが、法人DXに関しては3年間で少しずつシェアが増えつつあり、好調に受注できているかと思います。

法人DXは、受注を獲得するまでの営業時間が非常に長くなります。3ヶ月から1年営業するというものがたくさんあります。加えて、先ほどの資料で「予定」と出しましたが、受注しても開始が来年からといったことがあります。そのような意味で、法人は市場環境が非常によいですが、営業も受注後の開始も、少し時間がかかってしまう印象があります。

個人は引き続き十分に営業するため、少しずつですが、しっかり成長させていけるかと思っています。法人はこれだけ営業してきたのに受注がなくなると、してきたことがゼロになってしまうため、そうならないよう十分に営業していかなければなりませんが、すでに受注して、これから始まる案件が出てきます。市場環境はよくて、私たちも受注していますが、売上が入ってくるのは少し時間がかかる状況です。

この進行期も「予定」と書いていますが、着実に案件が入ってくる状況だと考えており、売上は少し遅れ気味に入ってくると思ってもらえればと思います。市場環境としては、個人も法人も非常によいため、しっかりと受注していきたいと思っています。

質疑応答:会員数の増減について

司会者:「会員数の増減の詳細を教えてください」というご質問です。

家喜:会員数の増減の詳細は、ストック売上の資料に記載があります。会員数はグラフの濃い青色、保証・保険付きサービスは薄い水色です。このグラフが現在の増減です。

個別の開示については、日本PCサービスオリジナルの会員数は開示可能ですが、1.7パーセントしかなく、それ以外のところは提携企業の取り組みであり、提携企業の会員数も含まれていることもあるため、個別の開示は控えたいと思います。

質疑応答:売上および営業利益率の見通しについて

司会者:「売上の減収は構造改革による影響とのことですが、進行期以降の売上について今後の見込みを教えてください。また、営業利益率は2期連続上昇していますが、こちらも今後の見込みを教えてください」というご質問です。

家喜:営業利益率については、構造改革が済んだことで、適正な利益を十分に確保していくような体制・構造として、営業での受注、生産側での見積もりがしっかりできています。ですので、利益率はかなり改善してきました。ここから急激に改善することはないかもしれませんが、毎年のように利益率をさらに改善させていくことはできると思っており、そちらは進めています。

減収という話がありましたが、そちらよりも売上の減収を早く回復させていきたいと思っています。今までは構造改革や法人DXに、私たちの主力事業の営業や人員が割かれていたところがあります。今は十分に主力事業へ集中する体制を取っていますし、法人DXについては新たに営業を採用して、強化していこうと考えています。主力の人員を割くことなく十分に進めていくことで、売上をしっかり増収させていきたいと思います。

今は「予定」となっていますが、法人向けに注力しており受注はできています。もともとの主力事業である個人向けの営業に遅れが出ているため、こちらに集中して遅れを取り返し、売上をしっかりと戻したいと考えています。

そのような意味合いでは、すでに構造改革は行ったため、今は人員を売上を上げていくほうに注力させていっています。売上については、決算期は構造改革で減収となっていますが、進行期はしっかり伸ばしていけると思っています。

総利益も、まだ改善の見込みがあると思います。こちらも2期連続となっているため、3期連続で利益を高め、売上が遅れた分、この進行期で十分に取り返していきたいと思います。

もちろん、売上はしっかり取り組んでいこうと考えていますが、日本PCサービスの強みは、やはり訪問サポートとして約10万件、ご自宅や会社に私たちのサービスを呼んでもらえることです。また約12万件、店舗持込としてご来店いただいいること、そして年間約18万件、新規顧客との接点を創出していることです。

訪問サポートの約10万件については、特に駆けつけサポートの件数を、さらに着実に伸ばしていきたいと思います。店舗持込サポート、企業との提携会員も伸ばしていきたいと考えていますが、自社の会員化戦略も、しっかり伸ばしていきたいと考えています。

結果として、売上をしっかり上げていきたいと思いますが、日本PCサービスが常に指標としてきている訪問数や店舗来店数、電話・リモートサポート件数、会員数といった数値を着実に高めていきたいと思います。また、この強みをしっかりと高めることが、売上にもつながることだと思います。

売上だけを目指してしまうと、法人DXのみに取り組むことになります。日本PCサービスの存在意義といいますか、クラシアン、JAF、セコムのように、「デジタルライフで困ったら日本PC」というような、新しいサービス構築をしていくというもともとのビジョンから、少し違う方向にいってしまうこともあります。

ただ、私たちとしては、もちろん売上もしっかり伸ばしていきたいと思っています。そのため、訪問サポートや店舗持込、会員の数字を十分に高めていくとともに、新しく法人DXのシェアを確保していくことのバランスをしっかり取って、トータルで売上が上がっていくようにしていきたいと考えています。

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