マルマエは下値切り上げ、25年8月期大幅増収増益予想、半導体分野での受注が回復
2024年10月24日 09:21
マルマエ<6264>(東証プライム)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開し、成長戦略として消耗品の拡大による受注安定化、市場シェア拡大、ESG経営などを推進している。24年8月期は半導体分野の市場停滞の影響で大幅減収減益だったが、25年8月期は半導体分野の受注回復により一転して大幅増収増益予想としている。収益回復基調を期待したい。株価は8月の安値圏から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工を展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開し、半導体・FPD製造装置の真空パーツを作るノウハウ、同業他社に比べて高い生産性・低コスト、急変動する半導体・FPD市場に柔軟に対応できる設備力、ワンストップ受注に対応する多工程生産能力などを強みとしている。なお作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
24年8月期の全社受注高は23年8月期比0.6%増の51億97百万円(内訳は半導体分野が13.4%増の37億94百万円、FPD分野が72.6%増の13億14百万円、その他分野が91.7%減の88百万円)だった。半導体分野の受注高を四半期別に見ると第1四半期が6億39百万円、第2四半期が8億49百万円、第3四半期が11億80百万円、第4四半期が11億26百万円で回復基調となっている。
分野別の売上高は、半導体分野が21.5%減の35億58百万円、FPD分野が30.2%増の10億08百万円、その他分野が97.0%減の41百万円だった。半導体分野は通期ベースで大幅減収だが、在庫調整進展によって消耗品の受注が回復傾向となった。FPD分野はOLED向けが好調に推移した。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注遅延が影響した。利益面は売上減少と稼働率低下で大幅減益だった。なお受注損失引当金は46百万円減少した。なお24年8月期の消耗品売上比率は半導体分野が53.2%、FPD分野が13.3%だった。
■消耗品強化で受注安定化を推進
長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、中期事業計画では成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。
中期事業計画「Innovation」の目標値(事業環境変化に伴い24年10月に修正)としては、最終年度26年8月期売上高140億円、営業利益36億円、資産ベースROIC20%、負債ベースROIC18%、配当性向35%以上、年間最低配当額20円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資額(24年8月期実績5億円)は25年8月期が16億円、26年8月期が18億円の計画としている。なお中計見直しに伴って出水事業所(本社)の新工場計画を26年8月期以降に先送りする。
売上高の目標は半導体既存顧客60億円、半導体新規顧客42億円、FPD+その他18億円としている。半導体既存顧客では半導体市場拡大や試作強化によるシェア拡大、半導体新規顧客では獲得済み顧客からのPOR獲得増加、FPDでは液晶市場拡大やEBW活用、その他では太陽光発電関連や人工衛星関連の受注拡大を見込む。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。太陽光・蓄電池導入などによりサプライチェーン全体でのGHG削減に取り組み、2040年までにネットゼロ達成を目指す。さらに人材・ガバナンス面では、人材戦略の進化、次世代経営陣の育成、全社的リスク管理強化などを推進する。
■25年8月期は一転して大幅増収増益予想
24年8月期の業績(非連結)は、売上高が23年8月期比30.9%減の47億49百万円、営業利益が81.8%減の1億56百万円、経常利益が94.6%減の42百万円、当期純利益が97.2%減の19百万円だった。概ね前回予想(24年9月12日付の上方修正値)水準で着地した。配当は23年8月期比6円減配の30円(第2四半期末10円、期末20円)とした。
全社の受注高は0.6%増の51億97百万円(内訳は半導体分野が13.4%増の37億94百万円、FPD分野が72.6%増の13億14百万円、その他分野が91.7%減の88百万円)だった。半導体分野の受注高を四半期別に見ると第1四半期が6億39百万円、第2四半期が8億49百万円、第3四半期が11億80百万円、第4四半期が11億26百万円で回復基調となっている。
分野別の売上高は、半導体分野が21.5%減の35億58百万円、FPD分野が30.2%増の10億08百万円、その他分野が97.0%減の41百万円だった。半導体分野は通期ベースで大幅減収だが、在庫調整進展によって消耗品の受注が回復傾向となった。FPD分野はOLED向けが好調に推移した。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注遅延が影響した。利益面は売上減少と稼働率低下で大幅減益だった。なお受注損失引当金は46百万円減少した。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高11億17百万円で営業利益22百万円の損失、第2四半期は売上高9億23百万円で営業利益56百万円の損失、第3四半期は売上高13億04百万円で営業利益1億02百万円、第4四半期は売上高14億05百万円で営業利益1億32百万円だった。第2四半期がボトムとなって回復傾向である。
25年8月期の業績(非連結)予想は売上高が24年8月期比60.0%増の76億円、営業利益が10倍の16億円、経常利益が36倍の15億円、そして当期純利益が56倍の10億65百万円としている。配当予想については24年8月期と同額の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は35.6%となる。
分野別売上高の計画は半導体分野が73.1%増の61億58百万円、FPD分野が21.4%増の12億24百万円、その他分野が5.3倍の2億18百万円としている。事業環境については、半導体分野では在庫調整の進展や新規顧客からの受注品種拡大を見込み、不足設備の拡充と人員採用を急ぐ。FPD分野はOLED関連の高水準の受注が継続する見込みであり、シェア拡大戦略を継続する。その他分野は、中国PV向けの引き合いが多いものの、受注が未確定のため予算への織り込みが困難としている。
25年8月期は半導体分野の受注回復により、一転して大幅増収増益予想としている。収益回復基調を期待したい。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6カ月以上継続保有株主対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年8月末日現在で6カ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象としてクオカードを贈呈している。
■株価は下値切り上げ
株価は8月の安値圏から徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。10月22日の終値は1549円、今期予想PER(会社予想のEPS84円16銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.9%、前期実績PBR(前期実績のBPS566円10銭で算出)は約2.7倍、そして時価総額は約202億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)