井関農 Research Memo(2):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(1)

2024年10月17日 16:02

*16:02JST 井関農 Research Memo(2):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー(1)
■井関農機<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0631000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6310></a>の会社概要

1. 会社概要
1926年8月創立の同社は「農家を過酷な労働から解放したい」という理念の下、日本農業の近代化、省力化、効率化に貢献し、海外にも事業展開している。1926年の全自動籾すり機の開発を皮切りに世界初・業界初となる独創的な農機を数多く開発してきた。近年はさらなる農業の省力化、効率化を目指しロボットトラクタなどICTを活用した「スマート農機」の開発に着手している。ICTを活用し省力化・効率化を推し進めることにより、儲かる農業の実現に貢献すると同時に同社農機の魅力を高め、競争力の向上を目指している。また、農機販売に留まらず、「顧客の夢ある(=儲かる)農業を応援する」というコンセプトの下に様々な形で営農支援を行っている。2015年に設立した「夢ある農業総合研究所」においては、行政・研究機関・大学・企業などの外部ステークホルダーと連携し、ロボット技術やICTを活用したスマート農業の研究・実証・普及活動を行っているほか、有機農業やJ-クレジットの活用などによる環境保全型農業の提案、ホームページやポータルサイト「Amoni」を通じた農業経営に役立つ営農情報の発信などの活動も行っている。このようにハード・ソフトの両面から顧客である農家とその経営をサポートしている点が同社の大きな特徴の1つと言えるだろう。

同社は、日本やアジアでは、農家、大規模農業法人などを中心に、欧州や北米では、景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などを対象にトラクタ・乗用芝刈機などの整地用機械、コンバインなどの収穫調製用機械、田植機・野菜移植機などの栽培用機械の開発・製造・販売・アフターサービスを行っているほか、作業機・部品等の販売、OEMによる製品の販売など多岐にわたって事業を展開している。日本農業に関しては、耕耘から稲刈り、乾燥調製まですべてのフェーズにおいて製品を提供していることが特徴だ。国内においては系列販売会社11社(うち直系広域6社)を全国に展開し、日本全国の顧客に農機の販売を行いながら現場のニーズを的確に吸い上げている。なお、「プロジェクトZ」で定める国内営業深化の施策の1つとして、国内販売会社に関しては2025年1月に経営統合することを予定しており、北海道、東北、関東甲信越、関西中部、中四国、九州の広域販売会社を1社に統合する計画だ。

海外においては、北米、欧州、アジアを3つの重点地域として定めて事業を展開している。PT ISEKIインドネシアなどの生産拠点やISEKIフランスなどの販売拠点を設け、グローバルにビジネスを展開している。2024年12月期第2四半期の地域別売上高は、欧州が262億円で最も多く、それに北米が63億円、アジアが31億円と続いている。海外事業に関しては、同社のブランドが浸透し、高シェア・高利益率である欧州事業を中心に今後も業績を拡大させていく方針を掲げており、「プロジェクトZ」で掲げる海外成長戦略の1つとして英国代理店PREMIUM TURF-CARE LIMITED(以下、PTC社)の株式追加取得による連結子会社化を決定している。既に同社の連結子会社であるISEKIフランス、ISEKIドイツに加えて、さらに今回、PTC社を連結子会社化することにより、欧州子会社間での事業シナジーをより一層創出し、業績の拡大につなげていく狙いだ。また、アジアに関しては、2012年に同社はグローバル生産拠点となるPT ISEKIインドネシアを設立(2023年には生産体制を増強)し、2020年にはタイの販売代理店IST Farm Machinery Co., Ltd.(以下、IST社)を子会社化するなど、同地域でのプレゼンスを着実に高めてきている。

2023年12月期末時点の資本金は、23,344百万円、グループ全体の従業員数は5,457名、関係会社は、連結子会社20社(国内販売会社9社、製造関連会社6社、その他5社)と持分法適用関連会社1社となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HN》

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