アイリック Research Memo(7):2024年6月期は前回予想を上回る大幅増収増益で着地
2024年10月17日 15:07
*15:07JST アイリック Research Memo(7):2024年6月期は前回予想を上回る大幅増収増益で着地
■アイリックコーポレーション<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0732500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7325></a>の業績動向
1. 2024年6月期連結業績の概要
2024年6月期の連結業績は売上高が前期比31.9%増の7,921百万円、営業利益が同163.7%増の495百万円、経常利益が同176.6%増の538百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2,092.2%増の351百万円となった。また、EBITDAは同65.8%増の752百万円だった。全セグメントの売上高が大幅に伸長し、前回予想(2024年6月14日付の上方修正値、売上高7,853百万円、営業利益416百万円、経常利益447百万円、親会社株主に帰属する当期純利益216百万円)を上回る大幅増収増益で着地した。
売上面は、保険販売事業の直営店部門、LA(2024年6月期第2四半期より新規連結)及びソリューション事業のFC部門では、認知度向上や店舗数増加等により「保険クリニック」の集客数が増加し、資産形成商品の販売が好調に推移した。ソリューション事業の「AS」シリーズやシステム事業の「スマートOCR」の導入増加も寄与した。利益面は積極的な採用、ベースアップ、LAの連結により人件費が増加したが、増収効果で吸収した。売上総利益は前期比24.2%増加したが、売上総利益率は同4.9ポイント低下して78.6%となった。販管費は同18.8%増加したが、販管費率は同8.0ポイント低下して72.4%となった。この結果、営業利益率は同3.2ポイント上昇して6.3%となった。営業利益308百万円増加の増減分析は、保険販売事業の直営店舗増加・LA子会社化で820百万円増加、ソリューション事業の「AS」シリーズ大型契約・FC店舗への送客増で376百万円増加、システム事業の増収で18百万円増加、人件費増加(積極採用、LA子会社化等)で733百万円減少、広告宣伝費減少(TVCMからWeb広告へのシフト等)で125百万円増加、システム利用料などの支払手数料増加で107百万円減少、その他販管費(賃料など)の増加で190百万円減少した。なお、特別損失では前期計上の減損損失及び投資有価証券評価損が減少した。
2. セグメント別の動向
セグメント別の動向については全セグメントの売上高が伸長した。また、ストック売上比率は全社ベースが34.2%、セグメント別では保険販売事業の直営店部門が16.1%、法人営業部門・RM部門が25.1%、LAが20.2%、ソリューション事業のAS部門が69.1%、FC部門が34.1%、システム事業が58.6%となった。
(1) 保険販売事業
保険販売事業は、売上高が前期比43.5%増の4,529百万円(直営店部門が同13.4%増の2,905百万円、法人営業部門・RM部門が同26.9%減の435百万円、第2四半期より新規連結したLAが1,190百万円)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が同119.1%増の601百万円と、大幅増収増益となった。法人営業部門は前期の大型契約獲得の反動で減収だが、直営店部門はSNSを活用した積極的なプロモーション効果等によって集客数が増加したことに加え、LAを新規連結したことも寄与した。重要KPIとして、直営店の店舗数は前期末比17店舗増の79店舗(うちLAが13店舗)、直営店の新規来店数は前期比17.7%増の17,531人、再来店数は同49.5%増の6,703人、1世帯当たり成約単価は同2千円増の171千円、成約件数は同16.9%増の9,762件、成約率は同3.1ポイント低下して55.7%となった。
(2) ソリューション事業
ソリューション事業は、売上高が前期比21.4%増の2,241百万円(AS部門が同20.1%増の1,298百万円、FC部門が同23.4%増の944百万円)で、セグメント利益が同31.4%減の559百万円となった。利益面は積極的な人財投資の影響等で減益だが、売上面は両部門とも大幅伸長した。なお同社によると、有価証券報告書ならびに決算短信で開示されている制度会計ベースのセグメント利益は、2024年6月期より本社経費の一部を各セグメントへ振り替えて計上しているため減益の形となったが、本社経費の一部を振り替えない管理会計ベースのセグメント利益は増益だったとしている。
AS部門の売上高の内訳は初期登録料・月額利用料が前期比9.8%増の700百万円、OCR売上が同38.9%増の341百万円、保険コンサルティング(教育含む)売上が同31.4%増の242百万円、その他のソリューション売上が同8.5%増の15百万円となった。重要KPIとして「AS」シリーズID数は前期末比2.1%増の12,166(代理店・銀行が同10.4%増の6,609、保険会社が同6.4%減の5,557)となった。保険会社1社の組織変更に伴う解約で保険会社ID数が減少したものの、地方銀行の導入増加などで全体としては順調に増加した。「AS」シリーズのサブスクリプション利用料は前期比11.4%増の666百万円、「ASシステム」導入金融機関数は前期末比7行増の40行となった。
FC部門の売上高の内訳は初期登録・基本料金・店舗利用料が前期比3.5%増の363百万円、事業部運営店舗並びに共同募集に伴う保険手数料が同61.5%増の439百万円、ロイヤリティ売上が同8.4%減の77百万円、その他のサービスに伴う売上が同12.3%増の65百万円となった。重要KPIとしてFC店舗数は前期末比7店舗減(新規出店19店舗、閉店23店舗、直営店化3店舗)の193店舗となった。スクラップアンドビルドによりFC店舗数は減少したが、積極的なWebプロモーションによりFC店舗への送客数が増加し、共同募集に伴う保険手数料が大幅に増加した。
(3) システム事業
システム事業は売上高が前期比14.8%増の1,151百万円(「スマートOCR」が同58.5%増の1,035百万円、受託開発が同67.0%減の116百万円)で、セグメント利益が13百万円の損失(前期は73百万円の利益)となった。利益面は営業人員大幅強化など人財投資の影響で損失を計上したが、売上面は「スマートOCR」売上が大幅に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》