中国、台湾総統「新二国論」に激しい抗議 日台関係に危機をもたらす石破発言(2)【中国問題グローバル研究所】

2024年10月15日 10:55

*10:55JST 中国、台湾総統「新二国論」に激しい抗議 日台関係に危機をもたらす石破発言(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国、台湾総統「新二国論」に激しい抗議 日台関係に危機をもたらす石破発言(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。


◆台湾メディア:石破茂が李強に「中日共同声明を堅持する」と叫んだのは日台関係に危機をもたらす
10月11日、台湾の「中時新聞網」は<石破茂は李強に中日共同声明を堅持すると叫んだ 対日関係は危険になったか?>(※2)という見出しで、石破首相の「日中共同声明堅持」発言を問題視している。

それによれば、民進党の元立法委員の沈福雄氏が石破発言に関して以下のように述べているとのこと。

●石破茂が内閣を組閣した後、日中関係は悪化するのではなく、良くなる方向に動くだろう。

●何と言っても李強との会談で台湾問題について石破は「中日共同声明を堅持する立場は変えていない」と明言したのだから。それは「一つの中国」を遵守することであり、「台湾独立を認めない」と表明したということになる。

●政治家は権力を握る前と握った後では、まったく違うことを言うこともあるが、石破茂の場合は掌(てのひら)返しがひどすぎる。

沈福雄元立法委員が出演した番組は、国民党の副総統に立候補した趙少康氏(2023年11月26日のコラム<台湾総統選、国民党支持率急上昇の謎が解けた>(※3)にある写真を参照)が主宰する「少康戦情室」というテレビ番組である。その番組では出演者が、日本の自民党総裁選挙前に台湾を訪問し頼清徳総統とも会談して民進党を喜ばせたことを踏まえ、「石破茂に期待を寄せた民進党を非常に失望させている」と述べている。

◆中文圏のネット民に広がる石破首相への不信感
中国大陸および大陸以外の中文圏のネット民の間では「石破茂への不信感」が広まっている。たとえば台湾関係では、以下のようなものがある。

●自民党総裁選の前に台湾を訪問して頼清徳にまで会ったのは、「選挙活動」のために決まってるじゃないか。親中だと当選しないから、台湾を訪問して反中の姿勢を見せただけさ。

●それでいて李強に会った瞬間にコロリと態度を変えて「台湾独立反対」を表明するために田中角栄を持ち出して「中日共同声明を堅持する」って言って見せるんだから、石破の言うことなんか、何も信じない方がいいよ。

●「中日共同声明を堅持する」と李強に誓って見せることは、きっと早くから決まっていたんだぜ。だって、その埋め合わせをするために10月10日には山東昭子が引率する「日本の国会議員団」を祝賀のための台湾に派遣してるじゃないか。(筆者注:台湾の総統府のウェブサイト(※4)によれば、10月10日、自民党の元参議院議長を務めた山東昭子氏が「国会議員祝賀団」を引き連れて台湾を訪問し、午後頼清徳総統と会ったようだが、そのホームページには「日本の石破首相の指導の下」と書いてある。双方に良い顔をしようとして双方からの信用を失っている。)

●そもそも日本の総理になったらすぐには議会解散をしないと選挙期間中にあれだけ言っていながら、その舌の根も乾かぬうちに回線宣言をしてしまったんだから、石破が何を言おうと、信頼などしちゃいけないよ。

◆馬英九元総統が頼清徳の「新二国論」を批判
10月10日、馬英九は双十節祝賀式典を欠席しただけでなく、<新二国論は違憲だ>とも述べている(※5)。報道によれば馬英九は「新二国論は違憲であるだけでなく、台湾の民衆を危険な境遇へと道連れしていく」と警告し、以下のように主張しているとのことだ。

●中華民国の現行憲法によれば、台湾と本土は2つの国ではなく2つの地域であり、互いに平和的に共存できる。頼清徳の主張は憲法に違反しており、「新二国論」を提唱し、台湾海峡に緊張をもたらしたことで、世界は頼清徳を「トラブルメーカー」だと深刻に懸念している。

●頼清徳路線を疑問視する多くの国際的な声があり、その中には頼清徳を「蔡英文前総統よりも挑発的だ」と批判するアメリカの「ワシントン・ポスト」や、ベルギーの首都ブリュッセルに拠点を置く世界的に有名な国際NGOもまた、「頼清徳は憲法や両岸人民関係条例に基づいて両岸問題を解決すべきで、挑発的な言葉を避けるべきだ」と、最近出した報告書で勧告している。

●頼清徳は一刻も早く冷静になり、崖っぷちから引き返し、全台湾人民の幸福を第一に考え、不条理で違憲の「新二国論」を放棄し、台湾人民全員を危険にさらすのをやめるべきだ。(報道からの引用は以上)

石破首相が李強首相との対談で、台湾問題について「日中共同声明の立場を堅持する」と明言したことを公開しなかったのは、日本のメディアだけのようだ。

筆者が書かなかったら、日本は「そんなことはありませんでした」のままスルーするつもりだったのだろうか。筆者がいなくなった後は、誰が真相を明かす役割を果たしてくれるのだろうかと、肌寒く思う。

この論考はYahoo!ニュース エキスパート(※6)より転載しました。


「双十節」式典で演説する台湾の頼清徳総統(写真:ロイター/アフロ)

(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://www.chinatimes.com/cn/realtimenews/20241011005009-260407?chdtv
(※3)https://grici.or.jp/4850
(※4)https://www.president.gov.tw/NEWS/28776
(※5)https://www.zaobao.com.sg/realtime/china/story20241010-5015085
(※6)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9c369c86038e2dc965dbde9d8b163fdb596830fe《CS》

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