2024年度上半期の倒産件数、10年ぶりに5000件突破 東京商工リサーチ

2024年10月9日 09:43

 東京商工リサーチが9月の「全国企業倒産」状況を発表。円安や人件費アップなどのコスト増を背景として、企業倒産件数が増加傾向にあることが分かった。

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■9月の倒産件数は10年ぶりに800件超え

 8日、東京商工リサーチが9月の「全国企業倒産」を発表した。9月の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比12.08%増の807件となり、2カ月ぶりに前年同月を上回った。さらに9月の倒産件数としては、10年ぶりに800件台に乗せた。

 負債総額は同80.81%減の1,327億5,400万円。これは、昨年9月は、負債額5,836億円のパナソニック液晶ディスプレイの大型倒産があった反動による。

 主な大型倒産企業は、環境経営総合研究所(負債額:246億1,000万円、以下同じ)、旭機工(49億2,200万円)、オーカワ(44億900万円)、ガクエン住宅(41億800万円)、GDL(33億円)など。

 年間倒産件数は、1万件超えの可能性が再び大きくなった。今後は年末に向け企業の資金需要が活発になることから、資金調達が追いつかない息切れ企業の倒産増加が予測される。

■円安で輸入コストの増大が大きな負担に

 産業別の倒産件数は、10産業中7産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業は、サービス業他の264件(前年同月比:2.58%減、以下同じ)。次いで建設業が155件(18.32%増)で、この2業種が100件超え。

 以下は製造業が98件(44.11%増)、卸売業が97件(29.33%増)、小売業が94件(10.58%増)、情報通信業が40件(42.85%増)、運輸業が29件(19.44%減)、不動産業が23件(9.52%増)、農・林・漁・鉱業が7件(75.00%増)、金融・保険業は倒産無し(1件減)。

 円安により、飼料、資材、製品を輸入している業種ではコスト増が必須となり、資金繰りの大きな負担になっているという。

■2024年度上半期は10年ぶりに5,000件超え

 2024年度上半期(4~9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)件数は、前年同期比17.83%増の5,095件となり、3年連続で前年同期を上回り、2014年(5,049件)以来10年ぶりに5,000件を超えた。

 また負債総額は同13.82%減の1兆3,754億100万円となり、2年連続で前年同期を下回った。これは大型の企業倒産件数が減少したためで、上半期の主な大型倒産は、MSJ資産管理(負債額:6,413億円、以下同じ)、環境経営総合研究所(246億1,000万円)、ホクシンメディカル(112億4,300万円)、クレサービス(109億6,100万円)、アサヒフードクリエイト(89億9,700万円)などだ。

■サービス業他の倒産件数は1,693件

 2024年度上半期における産業別倒産件数は、10産業中9産業で前年同期を上回った。最も倒産件数が多かった産業はサービス業他の1,693件(前年同期比:15.32%増、以下同じ)で、唯一の1,000件超え。

 以下は建設業が964件(13.14%増)、卸売業が639件(31.48%増)、製造業が585件(26.34%増)、小売業が552件(19.48%増)、情報通信業が225件(27.84%増)、運輸業が223件(5.68%増)、不動産業が143件(0.70%増)、農・林・漁・鉱業が58件(26.08%増)。唯一前年同期を下回ったのは、金融・保険業の13件(27.77%減)だった。

■中小企業の倒産件数もハイペースに

 2024年度上半期(4~9月)の「負債1,000万円未満」の倒産件数は、前年同期比28.6%増の292件となり、2年連続で前年同期を上回った。2010年度以降では、2020年度の355件に次いで2番目に高い水準となった。

 産業別で最も倒産件数が多かったのは、サービス業他の133件(前年同期比:49.4%増、以下同じ)。以下は、小売業が44件(25.7%増)、建設業が37件(7.5%減)と続いている。

 小規模企業の倒産件数が増えた要因は、新型コロナ関連の各種支援策が終了したことや、円安・物価高騰、人件費の上昇によるコスト増などがある。今後は貸出金利の上昇や最低賃金アップに伴う人件費の上昇もあることから、中小企業にとって厳しい状況が続きそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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