フルテック Research Memo(4):販売・設計・製造・施工・保守サービスのワンストップ営業を実現(1)

2024年10月8日 16:14

*16:14JST フルテック Research Memo(4):販売・設計・製造・施工・保守サービスのワンストップ営業を実現(1)
■フルテック<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0654600?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6546></a>の事業概要

同社の事業セグメントは、自動ドア開閉装置の販売・設計・施工・保守サービスなどを行う自動ドア関連事業、ステンレス建具の製造・建築金物の制作・販売などの建具関連事業、駐輪システム、分煙システム、セキュリティボックスなどのシステムを販売するその他事業に区分される。

1. 自動ドア関連事業
自動ドア開閉装置の販売・設計・施工・保守サービスのほか、それを支える技術管理・商品開発・仕入れまで社内一貫体制を整備している。また、自動ドア開閉装置の取替などリニューアルも行う。北海道、東北、関東地区を中心に、施主・設計会社・ゼネコンなどに営業活動を展開しているが、顧客へのタイムリーできめ細かな対応が必要となるため2024年6月末時点で38ヶ所の拠点網を整備している。北海道に8ヶ所、東北に16ヶ所、関東に13ヶ所、九州に1ヶ所、支店・営業所を配置している。最終的には、工事を請け負うゼネコンや部材を納入するサッシメーカーから受注するケースが多い。

また、主要拠点すべてに設計要員を配置し、自動ドア開閉装置の適切な仕様決定や開口部への納まりの設計、各現場における打ち合わせなどのサポートを行っている。近年、自動ドアの用途はバリアフリー、防犯、防火、防音、衛生管理など多岐にわたっており、同社では設計部門を充実させ、顧客ニーズにマッチしたエントランス環境の提供を目指している。

同社は、自動ドア開閉装置を主要仕入先である寺岡オートドア(株)や扶桑電機工業(株)などのメーカーから、自動ドアセンサーはオプテックス(株)から仕入れ、それらの部材を建具とユニットにして自動ドア製品として施工している。また、部材のみの販売も行っている。施工は外注委託せず基本的には内製で対応している。同社では、ドアのスムーズな作動を確保し、通行者の安全を確保するため、開閉スピードやセンサーの検知エリアの確認など施工基準を定め、施工品質を確保している。施工を行う技術サービス部員を対象に教育・研修を計画的に行い、国家検定である自動ドア施工技能士(1級・2級)の資格取得養成にも注力している。2024年2月末現在で261名の有資格者がいる。

同社は、オフィスビル、公共施設、商業施設など各ビル・施設のデザイン・形態・用途などに合わせた製品をオーダーメイドで提案することができる。また、同社独自の研究開発または提携先との共同開発による自動ドア開閉装置の新商品や関連商品も積極的にリリースしている。

2014年8月には、画像認識技術と光線式センサーの組み合わせにより高度な検知機能を実現、扉に向かう人のみを検知し無駄開きを抑止する「e-セービングドア2」をリリースした。2018年5月には、フレームレスで限りなくガラスだけのデザインを実現した新型ドア「スリムドアZero」、戸袋用防護柵「フィックスサイドガードZero」をリリースした。2019年8月には、高齢者や子供などすべての利用者の安全を確保するために制定された日本産業規格JIS A 4722に対応した自動ドア「Fiプラットフォーム」と、新しい保守点検サービス「Fi-A(アラーム)」をリリースした。「Fiプラットフォーム」は開閉ワンサイクルごとにセンサーの安全性確認、各部のネットワーク監視機能を備え、故障及び故障につながる情報をインジケーターの点滅によりお知らせするほか、スマートフォン専用サイトで自動ドアの状態を確認することができる。電装品の見直し、部品の設計、強度の改善などで通常年3~4回の定期点検を年2回にした。

2019年12月には自動ドア防護柵にデジタルサイネージを組み込んだ新型防護柵「フィックスサイドガードSNG」をリリース。2021年1月には、オプテックスとの共同開発により業界初の24時間365日遠隔モニタリングを実現した保守点検サービス「Fi-R(リモート)」をリリースした。IoT技術を利用して自動ドアの個別情報や安全運行に関わる39項目のデータを遠隔モニタリングする。その結果を顧客に毎月レポート配信し、定期点検も年1回とすることで保守サービスの省人化・効率化により労務コストを低減する。また、クラウドサーバーで受信したモニターデータをWEB API※で顧客システムと連携するサービスも提供する。

※ API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェア同士が情報をやり取りするためのインターフェース。

2021年5月にはインパクトホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0606700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6067></a>の子会社(株)impactTVとの共同開発により、インフォメーション機能を搭載した非接触バリアフリートイレドアスイッチ「ソーシャル アイ」をリリースした。

2022年1月には、NECソリューションイノベータ(株)と共同開発した画像解析AIと自動ドア制御とを組み合わせた「eメディアドア」をリリースしている。このドアは、扉に向かう人のみを検知し無駄開きを抑止するとともに、開く幅も制御して開閉に伴う空調負荷を抑制する「環境負荷低減」機能、ドアへの急接近を検知したら開く速度を速め、急接近する人とドア付近の人双方に音声やサイネージで注意喚起するなど、人やモノの動きの方向や速度を判断し注意喚起する「別次元の安全性」機能、カメラ画像から通行者数だけでなく、通行者の属性(年齢・性別・様態)を判別したマーケティングデータの提供、入退店者にサイネージで案内・広告などのコンテンツを表示するなど「自動ドアの場所を活かした情報の受発信」機能を備える(特許出願済)。

2022年7月には、業界初の遮煙性能を有する特定防火設備自動ドア「FTF-CAS」をリリースした。遮炎性能と遮煙性能をあわせ持ち、避難口にも設置ができる複合防火設備の国土交通大臣認定を取得しており、特許出願中である。2024年3月には、(株)ミライロ、(株)ハウディとの共同開発により障害者にやさしいスマートフォン連携自動ドア「ミライロドア」をリリースした。「ミライロドア」は専用コントローラとスマートフォンの連携により、通行者の属性に合わせて都度開閉速度など運転方法を変更することができる。加えて、目が不自由な人が近づいたときにスピーカーで誘導アナウンスなどを再生する機能や、車いす使用者が近づいたときにタッチスイッチを押さなくてもドアが開く機能も搭載している。2024年4月1日施行の改正障害者差別解消法により、民間事業者に対して障害者への合理的配慮の提供が義務化され、公共施設のみならずオフィスや店舗などあらゆる施設において、ユニバーサルデザインの製品や設備導入の重要度が高まっていく将来を見通した開発である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)《HN》

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