スカラ Research Memo(4):DX事業、人材事業、EC事業等、5つの事業を展開(2)

2024年10月2日 14:04

*14:04JST スカラ Research Memo(4):DX事業、人材事業、EC事業等、5つの事業を展開(2)
■スカラ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0484500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4845></a>の会社概要

(1) DX事業
DX事業では、Webや電話による問い合わせ、情報検索、申し込みなどのSaaS/ASPサービス(「i-シリーズ」)をはじめとした各種ITサービスの開発・提供、並びにITシステムの受託開発、カスタマーサポート事業(2025年6月期に清算予定)などで構成されている。SaaS/ASPサービスはストック型ビジネスとして安定収益基盤の役割を果たしている。

ここ数年は、DXをテーマとした新規事業や新規サービスの創出、既存事業の再定義などを加速するために、各業界、関連技術に精通したパートナーとの協業を積極的に進めている。一例を挙げると、提携先のxID(株)との協業によるデジタルIDを活用した公共施設予約システム、大塚製薬(株)と共創する次世代デジタルヘルスケアサービスなどを開発し、サービス化に向けた取り組みを推進している。

今後も社会課題の解決につながる共創型の開発プロジェクトを多く手掛け、それを横展開することで成長を加速していく戦略を掲げている。SaaS/ASPサービスについても、これら共創案件の開発プロジェクトの1メニューとして提供するケースが増えると予想される。SaaS/ASPサービスは月額10万円前後のサービス料金となるが、共創型プロジェクトになると月額200万円を超える大型ビジネスとなる可能性もある。受注からサービス提供開始までのリードタイムが長くなるため収益化までに時間を要するものの、営業効率は向上するため、共創型プロジェクトが増えてくれば収益性向上につながるものと予想される。

また、レオコネクトで展開していたカスタマーサポート事業では光通信<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0943500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9435></a>グループやその代理店を主な顧客としていたが、ここ数年は収益低迷が続いており今後も回復に時間を要しそうなことから、清算することを決定した。

(2) 人材事業
人材事業については、アスリートプランニングが体育会系学生向けの総合就職支援サービスや女子学生に特化した就活支援サービス、プロアスリートのセカンドキャリア支援などを展開している。収益源は、新卒採用向け企業合同説明会の企画・運営(オンライン開催含む)となる。同サービスは毎年6月より企業に向けて出展ブースの販売を開始し、12月から翌年3月に開催するスケジュールとなっている。また、中途採用・転職支援サービスの強化を目的に、2024年1月にGeaREmakeを新たに設立した。

(3) EC事業
EC事業では、スカラプレイスが対戦型ゲームのトレーディングカードの買取販売及び、攻略サイトの機能を備えたリユースECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」を運営している。同サイトは、中古カードの値付けで参考指標にされるほどの影響力を持ち、トレーディングカードの買取販売では業界No.1のECショップとしての地位を確立している。2020年6月期からは海外ユーザーからの買取も開始し、取引流通額も年率2ケタ成長で伸び続けている。

(4) 金融事業
金融事業は、2022年4月に子会社化した日本ペット少額短期保険が展開している。ペット保険「いぬとねこの保険」を提供しており、補償割合最大90%などの特長ある保険商品を揃えている。

(5) インキュベーション事業
インキュベーション事業については、同社による事業投資や自治体と連携した地方創生関連サービス、実務支援型M&A推進サービスのほか、ソーシャル・エックスによる官民共創プラットフォーム「逆プロポ」、SCLキャピタルによる投資ファンド運営事業などが含まれる。

「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証などをスピーディに実施したいときに活用するサービスである。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能であり、企業は多くの実証実験を行うことができる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。ソーシャル・エックスが直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステムの開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体からDX支援などほかのプロジェクトを受注する機会も増えるため、「逆プロポ」を官民共創プロジェクト拡大のための重要なフック役として位置付けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

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