丸運 Research Memo(1):次期成長分野に注力し、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す
2024年10月1日 13:41
*13:41JST 丸運 Research Memo(1):次期成長分野に注力し、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す
■要約
1. 会社概要
丸運<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0906700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9067></a>は2022年に130周年を迎えた老舗の運送会社で、ENEOSグループの一員である。全国各地に運送・保管等の拠点をネットワークとして張り巡らせており、連結子会社は19社を数える。国内のみならず国際貨物事業として海外にも拠点を有している。
丸運国際貨運代理(上海)有限公司、丸運物流(天津)有限公司と中国に2つの現地法人(5拠点)を有し、2017年8月にベトナム(ハノイ)で(有)丸運物流ベトナムを現地法人化、フンイエン事務所を皮切りにホーチミン支店、ハナム営業所、ティエンザン営業所を開設し、ベトナムでの足場を固めてきたが、2024年7月に現地物流梱包事業会社と資本業務提携を結びベトナム事業の拡大を目指す。
同社は貨物輸送、エネルギー輸送、海外物流、テクノサポート、の4つのセグメントで事業を展開している。このうち営業収益構成比率が最も高いのは貨物輸送であり、主力業務の位置付けだ。また、同社はENEOSグループの一員であることから、石油や潤滑油・化成品に関連するエネルギー輸送ビジネスの構成比が高いのも特徴である。このほか海外物流にも力を注いでいる。
運送業界において最近では2024年問題でドライバー不足が注目されたが、同社では社内における労働環境の改善に積極的に取り組み、採用活動の強化を図り安定したドライバーの確保によって着実な成長を目指す考えだ。
2. 業績動向
2024年3月期の連結業績は、営業収益が44,992百万円(前期比3.4%減)、営業利益が509百万円(同15.9%増)となった。主力の貨物輸送は、懸念されている原油価格急騰による燃料費の上昇に関しては、料金改定やサーチャージの導入効果があり、影響を軽微なものとしている。しかし、一般的な貨物輸送事業については、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の一巡というプラス要因はあったものの、全体的に国内の貨物輸送量が伸び悩んだことから、荷動きが鈍かったようだ。同社はBtoBのビジネスが主体で、素材物流をメインとしているが、個人消費の低迷を背景に素材産業の物流が減少し、減収を余儀なくされた。他方では運賃・料金改定の効果や基幹システムの導入費用が減少したこともあり増益を確保した。2025年3月期の連結業績予想については、営業収益が前期比1.8%増の45,800百万円と増収を見込んでおり、引き続き運賃・料金改定効果の浸透などによって、経常利益は同33.4%増の940百万円と大幅増益が見込まれている。
3. 今後の成長戦略
同社は、以前より取り組んできたCSR経営を基に、2022年3月期から事業活動と一体化させ、さらなるグループの成長に結び付けるESG経営へ移行した。加えて2022年5月には、今後の成長戦略の方向性を示し、同社グループの経営資源を重点分野に集中するために、「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定。その後、2023年5月には、「第4次中期経営計画」を策定し、長期ビジョンで示した「2030年丸運グループのありたい姿」を目指し、収益向上を図っている。また、2024年11月に資本コストや株価を意識した経営の実現を目指すべく、その一環として増配など株式還元を強化することを発表した。収支計画として最終年度の2026年3月期に連結営業収益49,100百万円、連結経常利益1,340百万円を掲げている。
■Key Points
・貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営にも強みがある老舗の総合物流会社
・2025年3月期は引き続き運賃・料金改定効果や新規顧客の獲得から大幅増益を見込むとともに連続増配へ
・「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定。成長分野の事業拡大により、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)《EY》