STIフードHD Research Memo(3):セブン-イレブン向けシェアが87.7%を占める
2024年9月30日 12:33
*12:33JST STIフードHD Research Memo(3):セブン-イレブン向けシェアが87.7%を占める
■STIフードホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0293200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><2932></a>の事業概要
1. 事業内容
同社は食品製造販売事業の単一セグメントだが、販売先別や製品別の分類を行っている。販売先別では、セブン-イレブングループ向けの売上高が87.7%(2023年12月期)を占め、セブン-イレブン以外は12.3%(同)である。セブン-イレブン向けの内訳は、チルド惣菜やおにぎり具材のほか、冷凍食品、缶詰など常温食品である。セブン-イレブン以外は、自社ECサイトやamazonなどで扱う食品や、外食チェーン向けイクラや白子、食品スーパー向け缶詰や珍味などで、OEMの受託やキャットフードの生産も行っている。製品別では、魚惣菜やカップデリなどチルド惣菜や缶詰、レトルト製品など食品が大半を占めるほか、おにぎり・弁当・パスタ・サラダ向けに生産・販売される水産具材など食材を生産している。なお、セブン-イレブングループ向けの商流は、食品についてはセブン-イレブン各店への販売(物流は各地共同配送センターへの配送)、食材については食材商社への卸売となっており、食材はその後、おにぎりなどを生産するデイリー惣菜メーカー(コンビニベンダー)へと運ばれる。
(1) 食品
チルド惣菜の素材となるサーモン、サバ、ホッケ、イカ、タコ、赤魚などは、旬の時期に国内外で水揚げされた高品質の原材料を、自社による徹底した検品体制のもとに調達し、徹底した温度管理のもとで下処理から骨取り、加熱調理、冷却、包装など一貫生産を行うことで、おいしさを逃がさないようにしている。また、チルド惣菜は一般に消費期限が短いため、販売機会ロスやフードロス(廃棄)につながりやすいという課題を抱えているが、同社は商品包装に特殊な機械を導入し、操作方法の工夫をしたことで消費期限の大幅な延長を実現した。チルド惣菜以外では、サバ、サーモン、カツオ、マグロ等水産原材料などを使った缶詰・レトルト製品を、保存用だけでなく毎日の食卓におかず(惣菜)として食されることを前提に生産している。特にサバはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸を多く含むことから、ヘルシー食品として需要が伸びている。同様に健康志向から、オリーブオイルを豊富に使用した缶詰やカルシウム豊富な骨をそのまま食べられる缶詰なども注目されている。
(2) 食材
コンビニエンスストアのおにぎりの素材となるサーモンやイクラ、辛子明太子などに関しても、食品と同様、旬の時期に国内外で水揚げされ、検品と温度管理を徹底した高品質の原材料を使用している。売れ筋のサーモンフレークは、特許取得済みの特殊な製法により家庭での焼きたての味や食感を再現でき、日本人のみならず外国人からも好評である。イクラに関しては、菌管理の問題からおにぎりの具材として使用が難しいと考えられてきたが、これも特許取得済みの同社独自の静菌管理技術(細菌の発育・増殖を抑制する技術)によって使用が可能となり、着色料などを使用せずに、熟成したサーモン卵本来のおいしさを引き出すことを実現した。辛子明太子についても、熟成による自然なおいしさに加え、着色料・添加物を使用しない安全・安心な食材として消費者に好評である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《EY》