サクサ Research Memo(6):事業変革を加速させ、新たな成長ステージへ

2024年9月30日 12:06

*12:06JST サクサ Research Memo(6):事業変革を加速させ、新たな成長ステージへ
■サクサ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0667500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6675></a>の成長戦略

1. 2024-2026中期経営計画「共に創る未来」
同社は2024年5月に2024-2026中期経営計画「共に創る未来」を策定した。前中期経営計画「サクサは変わる。」(2021-2023年)においては、3つの戦略「事業を変える。」「財務を変える。」「ガバナンスを変える。」という3つの戦略を推進し、その結果として最終年度の2024年3月期に、長期目標値である2026年3月期の売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上を前倒しで達成した。しかし、サプライチェーンの混乱や急速な円安による原価上昇など厳しい事業環境の中で、収益の柱である事業の維持拡大を最優先した結果、成長事業への投資が不十分となり、事業ポートフォリオの変革が遅れた。このことを課題として捉え、新中期経営計画策定においては、2030年のありたい姿として「中堅・中小企業のDX推進のサポーター」を掲げ、事業ポートフォリオの変革を加速させる。

「中堅・中小企業のDX推進のサポーター」の実現に向けては、2つのPhase(2024-2026年、2027-2029年)で経営計画を策定・実行することとした。Phase1となる2024-2026中期経営計画「共に創る未来」は、事業ポートフォリオ変革を実現していくための「充電」期間と位置付け、数値目標には3ヶ年計画の最終年度である2026年度の売上高500億円(内訳は既存事業で430億円、ソアー+新規事業で70億円)、営業利益27億円、営業利益率5.4%、ROE8.0%を掲げた。このPhase1の後、Phase2を経て、長期目標として2030年度に売上高750億円(内訳は既存事業で470億円、ソアー+新規事業で280億円)、営業利益60億円、営業利益率8.0%、ROE8.0%を目指す。

同社は新中期経営計画の下、「お客様・パートナー・SAXAとの共創」を通じ、「中堅・中小企業のDX推進のサポーター」として、新たな価値提供を実現していく方針だ。なお「共に創る未来」という基本テーマは、コアとなる成長戦略、成長戦略を支える経営基盤(「DXで支える」「資本で支える」「人財で支える」)、及びその土台としての社会的責任(サステナビリティへの取り組み)という3つの要素で構成される。

そして、成長戦略を実現する事業変革テーマは「モノづくり as a Service」とした。「お客様・パートナー・SAXAとの共創」を通じ、「多様なサービスを生み出すフレキシブルなモノづくり」と「モノのコト売りに留まらないデータ活用サービス」を適切に組み合わせた新たな価値提供によって事業ポートフォリオの変革を実現し、お客様の成長を促す新たな価値提供の実現を目指す。具体的には、既存事業の選択と集中をバリューチェーン変革によって加速させることで、サプライチェーンマネジメントの最適化や開発の高度化を行い、得意なモノづくりをさらに洗練させる。またオープンイノベーションを志向することで、既存ビジネスにおける延長線上のデータ活用サービス創出につなげる。このバリューチェーン変革とオープンイノベーションが共創エンジンとなり、この共創エンジンを中心に既存事業の選択と集中、新規事業デザイン思考、モノづくり洗練化、データ活用サービスの4つの象限がクロスするようにサイクルを回していくというのが「モノづくり as a Service」の考え方である。

経営基盤の「DXで支える」は共創の実現に向けて、統合データベースとしての共通データ基盤などDX環境の整備を推進する。具体的には、共通データ基盤の土台となる2つのDXプラットフォーム(社内データを管理するDX事業推進プラットフォーム、社外からのデータを管理するSAXA-DXサービスプラットフォーム)を整備する。DX事業推進プラットフォームは、バリューチェーン全体をデジタル化し、顧客接点で得られた情報を開発や生産にフィードバックすることで、顧客ニーズに応える製品・サービスを提供するための事業基盤となる。SAXA-DXサービスプラットフォームは、顧客情報から取得する課題やビジネスパートナーとのAPI連携により、課題解決に向けたオープンイノベーション創出のためのサービス基盤となる。この2つのDXプラットフォームに顧客の声やビジネスパートナーからの情報を蓄積・分析することで、新たなサービスを生み出す「モノづくり as a Service」のサイクルを回すことが可能になる。

経営基盤の「資本で支える」では、資本コスト・株価を意識した経営として、株主資本コスト(現状のCAPM6.0〜7.0%)を上回るROE8.0%を2026年度に達成し、2027年度以降も持続的な達成を目指す。キャピタルアロケーションの計画(3ヶ年合計)は、キャッシュインが営業キャッシュ・フロー(費用計上分の成長投資除く)で50〜60億円、有利子負債の活用(財務健全性を確保しつつ活用)で40〜60億円、保有資産有効活用(政策保有株式の継続的縮減)で10〜20億円、キャッシュアウトは戦略的M&Aも含めて成長・育成領域への投資に30〜50億円、DX投資に10〜20億円、人的資本投資(2023年度対比上昇分)に5〜10億円、ESG投資を含む設備の維持・更新投資に30〜40億円、株主還元に約23億円(配当総額)としている。なお2030年度までの投資は総額300億円以上を狙う。

経営基盤の「人財で支える」の取り組みの方向性としては、新卒採用の強化、DXスキルとデザイン思考を有するDX人財の育成、行動指針に沿った挑戦が評価される制度作りなど、2024-2026中期経営計画「共に創る未来」を推進する人財の採用・育成及び風土作りの実現を目指す。

なおグループ各社の事業展開の方向性としては、事業持株会社の同社はグループ管理と新規ビジネスの検討及びマーケティングの強化、システム・ケイは映像・AI技術を生かした事業展開、ソアーはODM/EMS事業の強化、サクサシステムエンジニアリングはソフトウェア開発への特化、サクサテクノは米沢再編を軸にファシリティの最適配置及びスマート化、サクサビジネスシステムはコンパクトな形態への移行を推進する。また、同社グループの生産拠点は山形県米沢市に集中しているが、一部の設備の老朽化が進んでいることもあり、生産拠点の再編等も検討する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《EY》

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